2012年4月25日 (水)

「ぼくたちは大人になる」 佐川光晴

ぼくたちは大人になる (双葉文庫)

ぼくたちは大人になる

佐川光晴

双葉文庫 2012. 1.
(original 2009)

以前からちょっと気になっていた作家の作品が丁度良い具合で文庫化していたので読んでみることにしました。

主人公の宮本達大は部活でも活躍し成績1位で医学志望の高校3年生。クラス委員に選ばれた彼はあるとき校内である事件を起こし、それを期に自分と同じように母子家庭で育った同級生の三浦との友情を育み始める。

序盤でショッキングな事件が起こるんですが、その後の処理の仕方が自分の感覚では「いやいや、そんなことはないでしょ」な展開を見せたので、ちょっと引っかかるところがあったものの、全体的にはなかなか面白い青春小説だったと思います。

三浦との友情が始まるきっかけがどうも納得いかなかったのだよねぇ。

一方で事件のきっかけとなった土屋さんと主人公の関係はなかなか巧く描けていて、主人公自身が自分が事件を起こしてしまった理由をうまくとらえきれていなくて、それがそのまま語り手としてのナレーションに現れているところは小説として非常に面白かったなぁと思います。

挫折を知らずに育ってきた優等生の少年の成長が、エピソードだけでなく、語りの中にも感じられたのが良かったです。

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2012年4月 6日 (金)

映画「グレッグのおきて」

グレッグのおきて [DVD]

diary of a wimpy kid: Rodrick rules

アメリカ

2011

日本未公開

DVD鑑賞

世界的大ヒットとなっている原作本がなぜか日本ではさっぱりなシリーズ。映画化第1作目に続いて第2作目もDVDスルー。

ミドルスクールの2年目7年生になったグレッグは転校生の美少女ホリーが気になって仕方がないけれど、相変わらず、まだまだ子供っぽさの残るいけてないグループに所属し、学校では華やかな活躍をすることができない。

一方家では兄ロドリックと喧嘩ばかりすることに母が怒り、2人が仲良くする度に現金に還元できる「ママ・マネー」を渡すことを提案。

そんな折、両親と末っ子のマニーが一泊で出かけることになり、ロドリックは家で友達を集めてパーティーを開く。最終的にグレッグも一緒になって盛り上がり、2人はこの出来事を隠すためにますます連帯感を深めていくのだが・・・。

原作のエピソードをうまく取捨選択してきれいにまとめているのは前作と同じで、原作ファンとしては嬉しい映像化。

原作も第1作目のほうが面白かったんだけど、映画版も伏線などを含めたストーリーの完成度の高さでこそ前作には劣るけれど、今回は兄弟の絆がテーマということで、自分にも丁度グレッグとロドリックと同じくらいに歳の離れた兄がいるので、自分の子供時代のことを思い返しながら兄弟のやりとりに懐かしさを感じながら観ることができて、かなり楽しめました。

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2012年3月31日 (土)

映画「ヒューゴの不思議な発明」

ヒューゴの不思議な発明 [Blu-ray]

Hugo

アメリカ

2011

2012年3月公開

劇場鑑賞

今年のアカデミー賞での話題作ということで楽しみにしていた1本。

舞台は20世紀初頭のパリ。優しかった父を亡くし、駅に住み込んで時計のメンテナンスをしている叔父に引き取られた少年ヒューゴは駅員たちには内緒で叔父に代わって駅の時計のネジを巻きながら過ごしていた。ヒューゴの唯一の楽しみは父が博物館から持ってきたカラクリ人形を再び動かせるように修理することであった。

ある日、ヒューゴは駅の玩具店からネズミのおもちゃを盗もうとしたところを店主のジョルジュ(ベン・キングスレー)に見つかり、大切にしていた父の形見のノートを取り上げられてしまう。ノートを返してもらおうとジョルジュの家までついていったヒューゴはジョルジュの養女イザベルと出会い、二人は次第に打ち解けていく。そんな折、イザベルが首からさげているペンダントについている鍵がヒューゴのカラクリ人形の鍵穴と同じ形をしていることに気が付き・・・

普通に良いお話でした。

鑑賞前は勝手にスチームパンク的なファンタジー映画だと思っていたのですが、思っていたよりもずっと現実ベースの物語で、事前にストーリーの知識を全く入れずに観に行ったこともあって、どのように展開するのかというワクワク感も味わえることができたのが良かったですね。結構予想外の方向に進んで行って、少年と機械人形の物語が最終的に映画の歴史に関わってくるのはとても面白かったです。

鑑賞後に原作も読んだのですが、映画はかなり忠実に原作を映画化していたので、この辺りは原作の良さを最大限に引き出していたように思います。

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2012年3月20日 (火)

「女だけの町 クランフォード」 ギャスケル

女だけの町―クランフォード (岩波文庫 赤 266-1)

女だけの町 クランフォード(Cranford)

エリザベス・ギャスケル
(Elizabeth Gaskell)

岩波文庫 1986

(original 1851-52)

19世紀の女流作家ギャスケルの作品。近年本国英国でジュディ・デンチ主演でドラマ化されてヒットしたとかで注目を浴びているようです。

男性がほとんどおらず、老齢の婦人達が世間の流行から離れた生活を送っている街クランフォードを舞台にそこで起こる様々なドタバタを描いていく。

一応長編なのだけれど、短いエピソードを積み重ねて展開していくので連作短編といった感じが強いです。

語り手がクランフォードに暮らす女性ではなく、外から街にやってきているという設定なので、一種独特の空気に溢れたご婦人方のパラダイスを一歩ひいた視点で描くのが良かったです。

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映画「ハーモニー 心をつなぐ歌」

ハーモニー [DVD]

하모니

韓国

2010

2011年1月公開

DVD鑑賞

長年歌っているものとしては合唱映画となったら見ないわけにはいきません。

舞台は女子刑務所。獄中で息子を出産したジョンヘは同室の仲間たちや監守らに見守られながら可愛いわが子と暮らす日々を楽しんでいた。しかし、刑務所内で子供を育てられるのは18ヶ月のみ。身寄りのないジョンヘはまもなく息子を養子に出さなくてはいけなかった。

そんな折、慰問でやってきた合唱団の歌声に魅了されたジョンヘは音大出身の同室の死刑囚ムノクを指揮者として刑務所内に合唱団を結成。成果をあげれば別れる前に息子を連れての外泊も許可すると言われ、仲間たちと共に練習を開始するのだが・・・

実際に韓国の刑務所がどのようなシステムなのかは知りませんが、ここまで自由に生活できるんですかねぇ。看守も友達感覚だし。

感動できるシーンは確かに多いし見ながら泣いてしまったのだけれど、作品全体に、さぁ泣かせてやるぞ、という雰囲気が溢れすぎていて、設定や演出、展開があまりにも作られすぎているような気がしないでもないです。

実話ベースということなんだけれど、どのくらいフィクションなのでしょう・・・。

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2012年3月 4日 (日)

映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い [DVD]

extremely loud & incredibly close

アメリカ

2011

2012年2月公開

劇場鑑賞

書店で原作を見かけたときから気になっていた作品が映画化され、それがスティーヴン・ダルドリー監督とあったら見ないわけにはいきません。

主人公の少年オスカーは、大好きな父(トム・ハンクス)と共にNYの街全体を使ったゲームをして楽しんでいた。コミュニケーションが苦手な息子のため父は、「調査探検ゲーム」と称し、オスカーが街で見知らぬ他人に聞き込みをしながら答えにたどり着けるよう様々な問題を出していた。

しかしそんな父は911のテロで帰らぬ人となってしまう。

深い悲しみの中、オスカーは父のクローゼットの花瓶の中から鍵と「ブラック」と書かれた紙を発見する。これは一体どこの鍵なのか、父が残した最後の問題に答えるため、オスカーはNYに暮らす472人の「ブラック」という名の人物を訪ね始めるのだが・・・

いやー、ダルドリー監督、ハズレなしです!今回は、「リトル・ダンサー」のように主人公の少年の複雑な感情を丁寧に描き、「めぐりあう時間たち」「愛を読むひと」のように時間軸を越えた物語を流れるように見事に演出し、これまでの集大成のように感じました。ちょっと余談ですが、ダルドリー監督は「リトル・ダンサー」舞台版の演出でトニー賞を受賞しているんですよね~。今一番観たいミュージカルです。

原作が「911文学の金字塔」なんて呼ばれているのは知っていたのですが、事前にどのような内容なのかほとんど情報を入れずに鑑賞をしたので、新鮮な気持ちで観ることができ、それだけに感動が大きかったように思います。

てか、全編にわたって涙腺ゆるみポイントが散りばめられていて、終始ウルウルでした。

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2012年2月28日 (火)

「時が滲む朝」 楊逸

時が滲む朝 (文春文庫)

時が滲む朝

楊逸

文春文庫 2011. 2.
(original 2008)

この作品の前の「ワンちゃん」も積読されていたのですが、芥川賞シーズンだったので、芥川賞受賞作であるこちらから読んでみました。

貧しい村の出身で高校でトップを争った浩遠と志強。希望を胸に北京の大学に進学した2人はやがて民主化運動の波に身を投じていき・・・

最近の純文学は私小説的な些細な日常を描くようなものが多いので、こういう激動の歴史を生きる男の半生を描くような物語性の強い作品はかえって新鮮に感じますね。

中国人である作者が自分の国を描いたものを、翻訳を通さずに読むことができるというのは日本ではとても貴重なので、それだけでも面白い作品ではあるんだけど、こういう熱い時代を生きた若者を同時代の小説として受け止めるのは自分にはちょっと難しくて、どうしても一歩ひいたところから読んでしまうので、最後まで「ふ~ん」という感じで終わってしまったかなぁ。言葉の問題もあるのかもしれないけれど、彼らの心の動きみたいなものをもっともっと深く描いてくれたら読み応えのある小説だったんですけどねぇ。

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2012年2月27日 (月)

映画「しあわせの雨傘」

しあわせの雨傘 コレクターズ・エディション<2枚組> [DVD]

potiche

フランス

2010

2011年1月公開

DVD鑑賞

カトリーヌ・ドヌーヴとフランソワ・オゾンという組み合わせにひかれて観てみました。

主人公スザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は雨傘工場を経営する夫のロベール(ファブリス・ルキーニ)と結婚して30年、ジョギングとポエムを楽しむ優雅な日々を送っていた。

そんなあるとき、ストライキを起こした労働者たちに夫が監禁され、スザンヌはかつて情事を交わしたことのある市長モリス(ジェラール・ド・パルデュー)に頼み事態を収拾するが、ロベールは事件のショックで倒れてしまう。働けなくなったロベールに代わりスザンヌは子供たちの手を借りて傘工場の再建に挑むのだが・・・

ただひたすらにカトリーヌ・ドヌーヴを愛でるための映画でしたね~。衣装も様々だし、キュートなシーンも凛とするシーンもあって、さらには歌まで歌ってくれちゃってサービス満点。

意外に扱ってる題材が社会派で単にお気楽主婦が一念発起みたいな作品になっていないのは面白いのだけれど、思っていたよりもコメディ要素も少なめで、割と普通に一人の女性が新しい道を進んでいく姿をしっかりと描く展開だったので意外性があったのだけれど、最終的に彼女が社長にとどまらずもっと高いところを目指していく展開には驚かされました。

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2012年2月26日 (日)

映画「人生はビギナーズ」

 

beginners

アメリカ

2010

2012年1月公開

劇場鑑賞

ユアン・マクレガー、メラニー・ロラン、クリストファー・プラマーとメインキャストが好きな俳優ばかりだったので気になっていた作品。

38歳独身のオリヴァー(ユアン・マクレガー)は母の死後、癌を宣告された父ハル(クリストファー・プラマー)がゲイであることをカミングアウトをし、恋人や仲間たちと共に新しい人生を謳歌している姿に戸惑いを隠すことができない。

父の死後、愛犬と寂しく過ごす彼を心配した友人たちに誘われたパーティでアナ(メラニー・ロラン)と出会い・・・

思ってたよりも淡々とした感じでもう少しコメディ色のあるヒューマン映画を期待していたので、ちょっと肩すかしだったかなぁ。でもよく考えたらこの監督は「サムサッカー」もどちらかというとヨーロッパ映画のような印象の強い作品でしたよね。

監督の自伝的な要素が強いとのことですが、監督の思いばかりが先行してしまっているような感じがして、自分はちょっと置いて行かれてしまったかなぁと。(序盤で猛烈な眠気に襲われてしまってかなり我慢していたので、そこで巧い具合にハマることができなかったというのも大きいのですが)。

ポップな演出の数々もちょっとゴチャゴチャしているように感じてしまったし・・・。

ただ、キャスト陣が期待を裏切らない好演を見せてくれて、そこまでハマれなかったけれど、ちゃんと最後まで観ることができました。

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「小さな男*静かな声」 吉田篤弘

小さな男*静かな声 (中公文庫)

小さな男*静かな声

吉田篤弘

中公文庫 2011. 11.
(original 2007.8)

吉田篤弘さんの作品が文庫化したとなったら読まないわけにはいきません。珍しくかなりの長編で、厚めの文庫本でしたね~。

百貨店の寝具売り場で働き、百科事典を執筆し、<ロンリーハーツ読書倶楽部>に通う「小さな男」。

日曜深夜の番組を担当することになった「静かな声」を持つパーソナリティ。

2人のささやかな日常が交互に綴られていくのだけれど、これ以上のあらすじといったあらすじもないのでストーリー紹介が難しい小説です。お気に入りのブログでブロガーさんの近況を読んでいるような感じで軽い気持ちでゆったりと作品世界に浸ることのできる作品でした。

感想を書くのがとても難しいのだけれど、好きか嫌いかで言えば、「かなり好き」。

吉田氏の物語は相変わらずレトロな空気の漂うアイデアが抜群に面白くて、特に卓上灯、自転車、あと百貨店の裏通路なんかはかなりお気に入りです。

メインの2人のキャラクターもとっても愛らしいのだけれど、脇役たちも非常にキャラが立っていて、読んでいるうちに全ての登場人物が愛おしく感じられてきました。

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2012年2月24日 (金)

映画「アンノウン」

アンノウン ブルーレイ&DVDセット(2枚組)【初回限定生産】 [Blu-ray]

unknown

アメリカ・ドイツ

2011

2011年5月公開

DVD鑑賞

こういう設定の作品、結構好きなんですよね。多くの場合、「なーんだ」で終わることが多いのは分かっているのですが、SFなのかサスペンスなのかハラハラしながら、ついつい観てしまいます。

アメリカの植物学者マーティン・ハリス(リーアム・ニーソン)は学会に参加するため妻のエリザベスと共にベルリンへとやってくる。ホテルで空港に忘れ物をしたことに気付いたマーティンは妻をホテルに残し1人タクシーで空港へと戻るがその途中事故にあってしまう。

4日後、病院で目を覚ましたマーティンが学会会場のホテルへと向かうと、そこには自分を名乗る別人がおり、エリザベスにも自分のことを知らないと言われてしまう。マーティンは事故を起こしたタクシーの運転手ジーナ(ダイアン・クルーガー)の助けを得ながら、不可解な出来事の真相を突き止めようとするのだが・・・

あー、20分くらいしたところで真相の主な部分が全部分かってしまいました・・・。伏線にしてはちょっとヒント出しすぎだったよね。それでも適度にハラハラして楽しませていただいたので、この手の作品としてはオチ頼みというわけでもなく結構面白かったのではないでしょうか。

移民とか東西冷戦とかドイツならではのネタが丁度良いアクセントになっていたけれど、この辺りをもう少し踏み込んだらもう少し深みのある映画になったのかなぁ。

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2012年2月20日 (月)

映画「ダーク・フェアリー」

don't be afraid of the dark

アメリカ

2011

2012年1月公開

劇場鑑賞

ギレルモ・デル・トロが製作と脚本に参加しているということで気になった1本。ホラーは苦手なんだけど頑張って観に行ってきました。

建築家アレックス(ガイ・ピアース)はかつて家主だった画家が失踪したという屋敷を買い取り、元妻のもとで暮らしていた娘のサリーと恋人のキム(ケイティ・ホームズ)と共に引っ越し、屋敷の修復作業を進めていた。

両親の離婚や、父の新恋人の存在に戸惑い、慣れない土地で寂しさを募らせるサリーは、通風孔の奥から自分に呼びかけてくる声を聴くようになる。やがて、この屋敷の地下に潜む妖精たちが姿を見せるようになり・・・

うーん、対象年齢が不明な作品だなぁというのが第一印象。

冒頭が割と痛くてグロいシーンで始まったので、その後も似たペースで進んだら嫌だなとホラーが苦手なのにこの映画を見にきてしまったことをちょっと後悔してしまったのですが、完全に杞憂に終わりました。

てか、肝心の悪の妖精さん達があまり怖くないどころか、途中から可愛らしく見えてきちゃって緊迫感が完全に冷めてしまったのですよね。もうちょっと「見せない」演出だった方が良かったなぁ。

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「楽器たちの図書館」 キム・ジョンヒュク

楽器たちの図書館 (新しい韓国の文学)

楽器たちの図書館

キム・ジョンヒュク

クオン 2011.11.

(original 1911-1947)

書店で見かけてタイトルと装丁にひかれて読んでみました。完全に「ジャケ買い」でしたが、これはなかなかの当たり。

音楽や芸術をテーマに8作を収録した短編集なのですが、日常の中でちょっとだけ不思議なできごとが起こって、どこか世間とはテンポの異なる登場人物たちがちょっとだけ前へ進む感じがなんとなく吉田篤弘氏の小説にも似た雰囲気で、結構好きな1冊となりました。

全体にどこか乾いたような冷めた視点で描かれていているのも特徴的。ちょっと理屈っぽすぎるかなぁという印象もありますが、登場人物も、小物も、エピソードのアイデアも抜群のセンスの良さが光ってます。この人の書く長編があったら読んでみたい。

以下、各作品に一言感想。特に好きだった作品には★をつけてます。

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舞台「CHESS in Concert チェス・イン・コンサート」

CHESS in Concert

青山劇場 

2012年1月

 

ミュージカル「CHESS」をコンサート形式で上演する企画の日本語版。アルバートホールでも上演されたイディナ・メンザル、ジョシュ・グローバン、アダム・パスカルといった豪華キャストのコンサートが話題になっていたのも記憶に新しく、どのような作品なのか気になっていたので観に行ってきました。

今回の舞台はあくまで「コンサート」なので、舞台上にオケが入って、最低限の芝居は入るけれど、出演者たちもマイクを持ってしっかりと歌うという形式なので、「ミュージカル」という感じはちょっと薄め。

ストーリーは・・・

舞台は冷戦中のイタリア。チェスの世界一を決定するため、アメリカのチャンピオン、フレディ(中川晃教)とソ連のチャンピオン、アナトリー(石井一孝)が対決することになる。審判(浦井健治)と、かつて東側から亡命しフレディのセコンドを務めるフローレンス(安蘭けい)が見つめる中、世紀の対決が幕を開けるのだが・・・

うーん、「コンサート形式」ってのはやっぱりオリジナルがあるのが前提なのかなぁ。日本ではオリジナルはほとんど知られていないという中で、結構大がかりなセットまで組んで何故コンサート形式で上演したのかがちょっと分からない。海外でコンサートがヒットしたからといって、日本でもコンサートにする必要はなかったのではないかと思いました。

この作品、そもそものストーリーがミュージカルにしては骨太な背景を扱っていて、なかなか面白そうなのに、それがなんだかよく分からないまま、曲だけをひたすら聞くってのはちょっとつまらなかったというのが本音です。せっかく音楽も良いし、キャストも良い人たちを集めていただけに、とてももったいない印象でした。

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2012年2月13日 (月)

映画「J・エドガー」

J・エドガー(レオナルド・ディカプリオ主演) [DVD]

J. Edgar

アメリカ

2011

2012年1月公開

劇場鑑賞

イーストウッド監督の新作ということで楽しみにしていた1本です。

主人公はFBI長官フーヴァー(レオナルド・ディカプリオ)。

1919年、米国内でも共産主義が高まっていくなか、司法長官宅が過激派に襲撃され、24歳のエドガー・フーヴァーは司法省に新たな作られた捜査チームのリーダーに任命される。

やがてエドガーは秘書のヘレン(ナオミ・ワッツ)や右腕のクライド(アーミー・ハマー)らの助けを得ながら、成果を上げていくのだが・・・。

うーん、もうちょっと予習していけば良かったかな・・・。FBIのフーバー長官の物語くらいで、事前に情報もほとんど入れずに見に行ったのだけど、歴史的な部分は「前提」として描かれている場面も多くて、20世紀のアメリカ史をざっと復習しておけばもうちょい深く楽しめたかなぁという気がします。

中盤で誘拐事件に結構大きく時間を割くんだけど、この辺りはイーストウッド監督の「チェンジリング」なんかも思い出させて、なかなか見応えがありましたね。この題材だけで映画にしても良かったのではないかという気もします。

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