2009年7月 9日 (木)

映画「コネクテッド」

保持通話

香港 中国

2008

2009年8月1日公開予定

公式サイト

試写会鑑賞

2004年のハリウッド映画「セルラー」を大まかな設定はそのままに香港を舞台にリメイクした作品です。今回のリメイクを知り気になったこともあり、つい1週間ほど前にオリジナルの「セルラー」をDVDで観たばかりなので、オリジナルと比較しつつ感想を。てか、ブログ記事、2作品連続でアップしちゃいました。

ロボット設計士のグレイスは小学生の娘を車で学校まで送った帰り、突然ぶつかってきた車から出てきた男達によって誘拐され、作業小屋のようなところに監禁されてしまう。グレイスは犯人達によってバラバラに壊されてしまった電話の配線を修復し、どの番号につながるか分からないような状態で必死に電話をかけ続ける。

サラリーマンのアボンは、海外に行くことになった息子を見送るために空港に向かう途中、携帯電話にグレイスからの電話がかかってくる。近くにいた交通係のファイ刑事に携帯を渡しグレイスが状況を説明しようとするが、警官は呼び出され、近くの警察署に行くように言われてしまう。

そして、アボンは息子との約束を気にしながらも、グレイスのため犯人の追跡を始めるのだが・・・。果たして、犯人達の狙いとは?

という物語。

オリジナル版を観たばかりだったので、リメイクの仕方によっては退屈してしまうのではないかと思っていたのですが、そんなことは杞憂に終わり、非常に満足度の高いリメイクに仕上がっていました。リメイクはがっかりすることが多いので、こういう作品は本当に貴重だと思います。かなり面白かったですよ。

オリジナルがかなりのジェットコースタームービーだったのに、それを上回るジェットコースターっぷりであっという間の2時間。自分も試写会がなかったら劇場で観たかどうかは分からないんですが、劇場で鑑賞するだけの価値は十分にある1本だったと思います。

てか、上映館数がやたら少ないのはちょっともったいなすぎでは?うまくやれば、夏休み映画の中でもかなりの健闘を見せられるんじゃないかと思うんですけどねぇ。

オリジナルにあったB級っぽさや不自然さのある場面が非常に上手く改良されている上、アクションも人間ドラマも全てがパワーアップしていて(カーアクションなんかちょっとやりすぎなくらいで逆に微笑ましい)、サービス精神に溢れて、かなりの見ごたえ。それでいて、オリジナルをしっかりと踏襲して作られているというのがとても良い。

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映画「セルラー」

セルラー [DVD]

cellular

アメリカ ドイツ

2004

2005年2月公開

DVD鑑賞

今度、香港版リメイクの『コネクテッド』という作品が公開になるということで、リメイクされるくらいならオリジナルは面白いのだろうと思い観てみることに。

てなわけで、DVDで観たのが1週間ほど前なのですが、その後、リメイク版の試写会が当たり、本日観てきました。リメイク版のほうの感想はまた後で。

小学生の息子を学校に送り出したジェシカ(キム・ベイシンガー)は突然現れた男達に誘拐され、どこかの建物の一室に監禁されてしまう。犯人は部屋にあった電話を斧で破壊して去っていったが、ジェシカは破損しバラバラになってしまった電話機の電話線をなんとか外につなげようと試し、奇跡的に一人の若者ライアンの携帯につながる。

携帯電話の通話だけをたよりにライアンはジェシカを救うことができるのか。そして、犯人達の正体とその目的とは!?

いやー、面白かったです。

冒頭3分でいきなりの衝撃展開。そこからあれよあれよと飽きさせることなく、アクションあり、笑いあり、ちょっとした人間ドラマありとお子様ランチのような怒涛の展開が続き、あっという間に最後まで。

木曜洋画劇場にぴったりな感じのちょっとB級っぽさのあるテイストもこの作品の味になっていて、ツッコミどころが多いんですが、それを含めて楽しめる作品だったと思います。

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2009年7月 5日 (日)

映画「永遠のこどもたち」

永遠のこどもたち デラックス版 [DVD]

el orfanato

スペイン メキシコ

2007

2008年12月公開

DVD鑑賞

『パンズ・ラビリンス』の監督、ギレルモ・デル・トロが製作総指揮を担当したスパニッシュホラー作品。公開時の評判が良かったので観たかったんですけど、ジャンルがホラーということで、劇場鑑賞は避け、DVDでもかなり迷った挙句に鑑賞に至りました。

思ったほど怖くなかったですよ。

主人公ラウラは、かつて自分が育った孤児院のあった屋敷を買い取り、そこを障害児のための施設にしようと、夫と息子のシモンと共に、懐かしい建物へと帰ってくる。

ラウラは息子のシモンが、屋敷で「見えない友達」たちと遊んでいることを気にしていた。そんな折、屋敷でパーティが開かれる。その日も「見えない友達」の話をしてくるシモンを、ラウラは相手にせずパーティの準備をしていたのだが、そのパーティの最中、ラウラは覆面を被った子供に襲われ、シモンがいなくなってしまう。

難病の為、薬を欠くことのできないシモンの身を案じながら、ラウラはシモンを捜し続けるのだが、やがて、かつて孤児院だった頃に屋敷で起こった事件の存在が明らかになり・・・。

音楽などで雰囲気を盛り立てたり、突如大きな音がしたりと、ホラーの定石を行く演出も見事なんですが、なんといっても、しっかりと伏線を張ったストーリーや、見事なまでの「雰囲気」の演出で見ごたえのある作品でした。

スペイン映画、良いですね~。スペイン語でホラーを観るってのもちょっと新鮮だし。

『パンズ・ラビリンス』がアリス風だったのに対し、今回の作品はピーターパンが重要なモチーフとして使われていて、ある種、ホラー風に仕立てたピーターパンの続編(しかも続編としての完成度の高さが素晴らしい)とさえ言える様な内容に仕上がっていましたね~。

色々とどんよりとした気持にさせられるんですが、ラストシーンが温かな愛で溢れた映像だったので、鑑賞後の余韻が悪くないのも良かったです。

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2009年7月 4日 (土)

「マルコヴァルドさんの四季」 イタロ・カルヴィーノ

マルコヴァルドさんの四季 (岩波少年文庫)

マルコヴァルドさんの四季
(Marcovaldo)

イタロ・カルヴィーノ
(Italo Calvino)

岩波少年文庫 2009.6.
(original 1963)

長らく入手困難になっていて、カルヴィーノを好きになってからずっと読みたいと思っていた作品が、新訳になって再発売されました。新訳を担当されたのが、古典新訳文庫でロダーリやブッツァーティを担当した関口英子さんだというのもちょっと嬉しいですね。

岩波少年文庫、たまにチェックすると嬉しい仕事っぷりが憎いですねぇ。

主人公は大都市に妻と6人の子供たちと共に暮らすマルコヴァルドさん。彼は、SBAV社で肉体労働をし、決して裕福ではないものの、自然を愛し、常に好奇心旺盛に毎日を楽しんでいる。そんなマルコヴァルドさんの日常を、5回繰り返される春夏秋冬と名づけれた20章で描いていく連作短編集。

四季が全部で5回繰り返されるというちょっと面白い章立ての構成がいかにもカルヴィーノっぽい作品なんですが、あふれるユーモアと皮肉と風刺にあふれた内容が単なる児童向け作品以上の深い味わいを感じさせるあたり、流石、という感じです。

基本的にどの話も、

「マルコヴァルドさんが町で面白いものを発見」

「なかば強引に自分の欲望を満たす」

「周囲の人がまきこまれる」

「大失敗などがあり、痛い思いをするなどの皮肉的なラスト」

という流れで展開されていて、その中に、都会生活や文明社会への皮肉をピリリと利かせるというのが基本のパターン。

どんなに貧しくても、どんなに辛い目にあっても、新しい物語が始まると、マルコヴァルドさんが常に好奇心旺盛で前向きに人生を楽しんでいる姿がとても印象的な作品でした。

で、文明批判みたいな部分が割と強い作品で、ここで描かれる大都会の姿は多少デフォルメされたものになっているのに、半世紀ほど前にイタリアで書かれたデフォルメ大都会が、21世紀を迎えた現在の日本と比べて、驚くほどに違和感のない都市の姿であるのが非常に興味深く、また、この作品のメッセージ性を際立たせていたように思います。

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2009年7月 1日 (水)

映画「アフタースクール」

アフタースクール [DVD]

アフタースクール

日本

2008

2008年5月公開

DVD鑑賞

昨年かなり話題になっていた作品。一度レンタルしていたのに、観られないまま返してしまい、しばらく時間が経ち再びレンタルしてようやく観ることができました。

中学校の教員をしている神野(大泉洋)のもとに、探偵を名乗る島崎(佐々木蔵之助)という男が訪ねてくる。島崎は神野の中学からの親友である木村(堺雅人)を探していると告げる。

木村が若い女性と2人でいる写真を見せられた神野は島崎と共に木村と女性の行方を捜し始めるのだが・・・。

ネタバレせずにストーリーが書けないよぅ・・・。

さてさて、感想ですが、うーむ、そこまで楽しめなかったかも。

三谷作品はほとんどが苦手だし、非常に評判の良かった『キサラギ』も苦手だったし、邦画のヒット作品があまり得意ではないことを再認識・・・。そもそも、実は大泉洋が苦手だしなぁ。

堺&佐々木の「オードリー」コンビは好きなんですけどねぇ。今思えば、豪華な朝ドラでした。

でも、確かに2度目を見たくなるストーリーで、思わず2回目も見て、「ほうほう、なるほど、このときのアレはそういうことなんだねぇ」みたいな楽しみ方のできる作品で、伏線の張り方はとても上手かったと思います。DVD鑑賞ならではの楽しみ方です。

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2009年6月30日 (火)

「Diary of a wimpy kid」 Jeff Kinney 

Diary of a Wimpy Kid

diary of a wimpy kid

Jeff Kinney

(original 2007)

全米の子供たちに大人気で、今年にはシリーズ4冊目が刊行され、映画化も決定しているというウェブ連載されている作品。書店の洋書売り場で見かけてパラパラとめくってみたところ、ちょっと面白そうだったので読んでみました。

「グレッグのダメ日記」の邦題で日本語訳も出ているようです。

主人公はミドルスクールに通うグレッグ少年。

グレッグは弟と兄と両親の5人で暮らし、特技はTVゲーム、運動はそこそこ、成績はちょっと良い感じで、学校では平凡なグループに属しているようなどこにでもいる少年。

下らない理由で生徒会に立候補したり、体育の授業でレスリングをやったら男子たちの間でレスリングブームになったり、お化け屋敷から戻ってきて友人と二人でお化け屋敷を作ってみたり、良い歳して超真剣にハロウィンの計画を立てたり、クリスマスプレゼントの悲劇があったり、友人のギプスに憧れたり、学芸会で大騒動があったり、グレッグ少年の1年間を彼の書いている日記という形式でイラストと共に描いていく。

メインのターゲットは小学生くらいだと思うんですが、大人が読んでも普通に声を出して笑ってしまう場面が沢山あって、非常に面白い作品でした。てか、恐らくここ数年で一番笑った本です。全米での大ヒットも納得。

こんなに面白くて邦訳も出ていると言うのに、日本では全くメジャーになっていないのが不思議でたまらないです。

イラスト入りの日記という形式の使い方が非常に上手くて、ここぞという絶妙のタイミングで挿入されるイラストでたっぷりと笑わされてしまいました。この文とイラストの間の取り方が本当に上手い。

笑いの質としては初期の「ちびまる子ちゃん」なんかに非常に近いんですよねぇ。登場するネタがそもそもよく似ているし(上の内容説明を見れば分かるかと思いますが)、子供の日常の描き方のシニカルさとかもとても近い。「いけてない」グループに属するような主人公が、自分の日記の中では言いたい放題で強気発言連発なところとかも。

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2009年6月28日 (日)

「修学旅行は終わらない」 村崎友

修学旅行は終わらない (MF文庫 ダ・ヴィンチ む)

修学旅行は終わらない

村崎 友

メディアファクトリー文庫 2008.8.
(文庫オリジナル)

たまたま見かけて、ちょっと面白そうだなと思い、何の前知識もなく読んだ1冊。『ダ・ヴィンチ』での連載をまとめた作品とのこと。

舞台はとある高校の修学旅行最終日の夜。先生達の見回り表のコピーが出回り、見回りの隙をついて、2階に宿泊する一馬、ごっちゃん、甚太の3人は女子部屋のある3階へ。甚太の彼女である葵のいる部屋になんとか潜入することに成功した3人だったが、そこに予定外の先生の巡回が!

一話ごとに語り手を変えながら、主人公達の修学旅行最後の夜の大騒動を描いていく。

厳しい指導で恐れられるカジイ先生、酒盛りをはじめて正座させらてしまうグループや、2階の部屋でマイペースに過ごす男子達といった個性豊かな脇役たちが彩る中、謎の幽霊騒動までおとずれて、彼らの修学旅行は一体どうなってしまうのか!?

サクッと読めて楽しめるなかなか面白かったです。

文学的な深さとかそういうものは薄いのかもしれないけれど、高校時代の修学旅行のワクワク感を思い出させてくれて、とても爽やかな気持になれる、まさに拾い物の1冊でした。

特にラストの爽やかさが非常に印象的で、読後には、自分の修学旅行の思い出をあれこれと思い出したりして、「修学旅行」をキーワードに気持の良い余韻がしばらくの間続いたのも嬉しかったですね~。

修学旅行って高校時代の超ビッグイベントの1つなのに、それを題材にした作品って実はそんなに多くないですよね。部活動なんかを描く青春小説でも、なぜかスルーされてしまうことが多いように思うので、この作品はなかなか貴重な存在ではないかと。

語り手を変えて、時間軸も行ったり来たりしながら、徐々に一夜の騒動の実態と、登場人物たちの人間模様が明かされていく構成は、作者が横溝正史ミステリ大賞の受賞者ということもあって、非常にしっかりとしていて、程好いテンポで、小気味良く読ませてくれました。

あと、ちょっと嬉しかったのは、文化部の子も運動部の子も満遍なく活躍する内容だったとこ。

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2009年6月27日 (土)

映画「正しい恋愛小説の作り方」

正しい恋愛小説の作り方 [DVD]

toi et moi

フランス 

2005

日本未公開

DVD鑑賞

なんとなくな感じでフレンチづいてる今日この頃。今回は日本未公開のフレンチなラブコメです。

雑誌に恋愛小説を書いている姉のアリアヌ(ジュリー・ドパルデュー)とオーケストラでチェロ奏者をしている妹のレナ(マリオン・コティヤール)の姉妹。2人とも恋人がいるのだが、結婚願望の強いアリアヌとは裏腹に彼女の恋人はいつも仕事優先、一方のレナも教師をしている恋人とはどうもしっくりときていない。

そんな2人だったが、アリアヌの暮らすマンションの補修作業をしているスペイン人や、レナのオケにソリストとしてやってくるヴァイオリニストが現れ、アリアヌは身の回りの人々を題材に小説を書いていくのだが。果たして2人は、恋愛小説のような幸せを手に入れることができるのだろうか・・・という物語。

なんだかフレンチな恋愛価値観って、ときどき戸惑いますよね。どこか上手くいってないとはいえ、婚約者がいるのに、普通に恋人作っちゃうのは流石です。

全体につまらなくはないんだけど、ものすごく面白いわけでもない、といった感じの作品ですね。

劇中に姉の書く小説が頻繁に出てくるのですが、それが色鮮やかな静止画を使った映像で、どちらかというとドンヨリとした場面の多い本編と対照的で面白いには面白いんですが、この小説の登場する意義自体がやや薄めな印象で、ちょっと冗長に感じてしまいました。

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「七つの人形の恋物語」 ポール・ギャリコ

七つの人形の恋物語 (角川文庫)

七つの人形の恋物語
(love of seven dolls)

ポール・ギャリコ
(Paul Gallico)

角川文庫 2008.8.
(original 1954)

ミュージカル化されていたりすることでも有名なギャリコの作品。文庫は名作「スノーグース」が併録されてますが、今回は、「七つの人形の恋物語」にだけ触れて記事を書きます。

主人公ムーシュはパリに出て女優になる夢が破れ、落ちるところまで落ちてしまった人生に悲観し、自らの命を絶とうとセーヌ川へと向かう。そんな彼女に声をかけたのは、人形劇の人形達であった。そして、人形達と話をするうちに、ムーシュは彼らの巡業に同行することになる。

人形達の主催している冷徹な男キャプテン・コックに怯えながらも、人形達のあたたかな愛情に囲まれて巡業を続けるムーシャであったが・・・

ネタバレせずに感想を書くのが難しい作品ですね・・・。

7体の人形たちのキャラが皆素晴らしいし、ムーシュの運命の行く末にも目の離せない作品でとても面白かったです。ギャリコ作品って一定のクオリティがありますね。しかも、ジャンルが全く違う作品で良い作品を量産しているのが純粋に凄いなぁと思う。

そんなわけでネタバレっぽくなりそうなので、以下反転して感想を。

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2009年6月23日 (火)

映画「モンテーニュ通りのカフェ」

モンテーニュ通りのカフェ [DVD]

fauteuils d'orchestre

フランス 

2006

2008年4月公開

DVD鑑賞

巴里を舞台にした人間ドラマということで、気になっていた1本。

舞台はパリ8区にあるモンテーニュ通り。

主人公は祖母と暮らしていた田舎から出てきてモンテーニュ通りにあるカフェで働くことになったジェシカ。カフェの近くのシャンゼリゼ劇場では、ピアノのコンサート、演劇の公演、オークションの3つが開催されることになり、関係者達はその準備にいそしんでいた。

ピアニストのジャンは世界的に活躍する一流の腕を持ちながら、自分が本当に演奏したい音楽に疑問を感じていた。

TVのメロドロマに主演し国民的な人気を博す女優のカトリーヌは、二流のTVドラマではなく、もっとちゃんとした舞台で活躍したいと悩む。

一代で財を築いたジャックは、自らの身辺整理をはじめ、それまでに収集してきた美術品をオークションに出そうとしていた。そこに、父のことを快く思っていないジャックの息子のフレデリックが現れる。

劇場に集う人々を見守り続けてきた管理人のクローディは退職の日を目前に控えていた。

様々な思いが交錯する中、それぞれの人生の本番が始まろうとする・・・という物語。

実在するカフェと劇場を舞台に、ほのぼのと温かい人情ドラマが繰り広げられる作品で、この手のジャンルはフランス映画は上手いよなぁというのを改めて感じさせてくれる1本でした。

ただ、この邦題はもっとカフェメインの話な感じがしてしまうんですが、カフェに集う人々の話ではあるものの、主人公が実際にカフェで働いている場面は実はそれほど長くないっていう・・・。

登場人物が多いのですが、どのキャラクターも生き生きとしていて、非常に味わい深い演技でしかっかりと見せてくれるんですが、主人公を演じたセシル・ドゥ・フランスの笑顔が本当に太陽のようで、作品全体をぱーっと照らしてくれていたのがとても嬉しかったです。

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2009年6月22日 (月)

「12歳の文学」 小学生作家たち

12歳の文学 (小学館文庫)

12歳の文学

小学生作家たち

小学館文庫 2009.4.
(original 2007)

小学館が主催している応募資格を小学生に限定した文学賞の第1回上位入賞作品を集めた1冊ということで、コンセプトの面白さにひかれて読んでみました。

大賞受賞作品が2作品を含めて全部で9作品が収録されているのですが、どの作品も文章力は未熟だと言わざるを得ないものの、しっかりと読み応えのある作品が多く、なかなか面白く読むことができました。

こういう賞って、「子供にしては」という作品ではなくて、「子供ならでは」の作品に出会えたときのほうが嬉しいですね。

でもって、とりわけ好きだったのは実は大賞受賞作品ではなく、『夏時間』、『オトナのひとへ。』、『夕日の丘に』の3作品。この3つは本当に面白かったです!!

以下気になった作品をいくつか取り上げて雑感。

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2009年6月19日 (金)

「スペース」 加納朋子

スペース (創元推理文庫)

スペース

加納朋子

創元推理文庫 2009.4.
(original 2004)

待ちに待った駒子シリーズ第3弾。僕が勝手に連作短編の魔術師だと思っている加納作品の素晴らしい構成力に期待しつつ読んてみました。

大学生の駒子は大晦日の日、母のつかいで買い物にきたデパートでアルバイトをしていた瀬尾青年と再会する。ここぞとばかりに駒子は瀬尾さんに読んでもらいたい手紙の束があると告げるのだが・・・

駒子の持っていた手紙の束に秘められた謎を描く『スペース』と、あっと驚く仕掛けで楽しませてくれる『バック・スペース』の2作を収録。

収録されてるのは2作なのですが、これまた、2作が魔法のような仕掛けで1つの長編作品として幕を閉じていく加納作品の醍醐味をたっぷりと味わえる作品でした。愛すべき登場人物たちによる温かな世界観も健在。

今回は、「謎解き」がそこまでメインではなかったのですが、このシリーズの世界観をグググッと深くしてくれて、非常に面白く読むことができました。

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2009年6月17日 (水)

映画「路上のソリスト」

The Soloist [Music from the Motion Picture]

the soloist

米 英 仏 

2009

2009年5月公開

劇場鑑賞

音楽系の映画はやっぱり良い音響で観たいので、劇場まで足を運んできました。監督は『プライドと偏見』、『つぐない』と文芸モノが続いた英国の新星ジョー・ライト。

舞台はLA。ロサンゼルス・タイムズの人気コラムニストであるスティーヴ(ロバート・ダウニーJr.)はあるとき、路上で見事なヴァイオリンを演奏するホームレスの男ナサニエル・エアーズ(ジェイミー・フォックス)と出会う。彼が名門ジュリアード音楽院に入学した過去を持ちながらも路上生活者となっていることを知ったスティーヴは彼のことを記事にしようと取材を始める。

やがて彼のコラムは評判を呼び、感銘を受けた読者からナサニエルにチェロが寄付されるまでになる。スティーヴはナサニエルに再び演奏家として歩み始める機会を与えようとするが、統合失調症を病むナサニエルは屋内に入ることを拒み、自らの生活を守ろうとする。

実際にLAタイムズに掲載され好評を博したコラムを基に人気コラムニストと天才的な音楽の才能を持った路上生活者の友情を描く。

もっとサクセスストーリー的な映画なのかと思っていたんですが、どうもすっきりしないまま強引にまとめてしまっているような部分が妙に実話っぽかったです。

つまらなくはないんだけど、どこか物足りない。そんな印象の作品でした。ただ、主演2人が素晴らしいので、この2人のおかげで映画としての価値は大分上がっているように思います。ジェイミー・フォックスは作品のたびに上手くなっている気がする。

これ、映画化するのちょっと早かったのではないでしょうか。映画がどうもすっきりしないところで終わるのは、彼らの友情の芽生えを描くだけで終わってしまい、もう一歩深い洞察やテーマ、感動を盛り込めそうなエピソードが現在進行形でまさに今育まれている、もしくは、今後の彼らの人生で起こるんだろうな、と。

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2009年6月15日 (月)

「沼地のある森を抜けて」 梨木香歩

沼地のある森を抜けて (新潮文庫)

沼地のある森を抜けて

梨木香歩

新潮文庫 2008.11.
(original 2005)

文庫刊行時に購入したものの、長らく積読になっていた1冊をようやく読みました。梨木作品は好きなものと苦手なものの差が大きいので、これほどの長編となると、果たしてどちらに転がるのかということが気になり、なかなか手が出せずにいました。

主人公の久美は叔母の死後、家族に代々伝わると言うぬかどこを預かることになる。あるとき、ぬか床から卵が現れ、数日後、その卵の中から一人の少年が現れる。

やがて、久美はぬかどこに隠された秘密を探るため、友人の酵母研究者の風野さんと共に、一族の故郷の島を訪ねるのだが・・・。

うん、これ、この時点での梨木作品の集大成的傑作ではないでしょうか。なかなかの大作長編でしたが、非常に読み応えのある内容でした。

ただ、本編の中に短い物語が挿入されているんですが、この意図がちょっと分かりづらかったです。

冒頭の数章を読んでいるうちは、主人公と幼馴染がぬか床から現れた不思議な人々との生活の中で次第に距離を縮めていく物語なのかなと思い、それはそれで結構楽しんでいたのですが、次第に物語りは深みを増し、ラストは遺伝子の存在意義にまで迫っていく内容には圧倒されっぱなし。

ま、ちょっと圧倒されすぎて、この物語の中核をなす最重要テーマだとは分かりつつも、最後のほうは、何もここまで話を広げなくても、と思ってしまったのも事実。

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2009年6月14日 (日)

「大洪水」 ル・クレジオ

大洪水 (河出文庫)

大洪水
(Le Déluge )

J.M.G. ル・クレジオ
(Jean-Marie Gustave Le Clézio)

河出文庫 2009.2.
(original 1966)

昨年、ノーベル文学賞を受賞したル・クレジオの初期長編作品が文庫化したものを読んでみました。ル・クレジオ作品を読むのは、同じく文庫になっている短編集『海を見たことがなかった少年』(集英社文庫)に次いで2冊目です。

主人公フランソワ・ベッソンが様々なものに遭遇し、人々と出会い、あれこれと考える13日間を描く作品。

ストーリーを書きづらい作品なので短めで。

なんと、これ作者が26歳のときの作品です。自分より年下の若者が書いたのかと思うと、ちょっとビックリ。

冒頭のプロローグがいきなりものすごく分かりづらくて、そこで挫折しそうになるんですが、その後に続く本編は、一気に読みやすくなったので一安心。

しかし、基本的になにやら理解が難しい作品で、文章自体は思ったよりも平易で読みやすいのですが、つかみどころのない印象。こういうのは自分の読解力の問題も大きいんだろうけど。

割と読み応えのある1冊だったのですが、なんだかどう語ればいいのかもよく分からず。読みやすくなったと思った本編もいきなり長々とテープを聞かされるし、中盤ちょっと面白いんだけど、最後はどんどん難解な方向に戻っていって、再び難しいエピローグで閉じてしまうし。

自分にとっては、ただただ、五感の描写がすさまじい作品で、視覚のみならず、聴覚、触覚など全てを刺激し、読みながら、自分の五感にその情景がガンガンと響いてきて、溢れんばかりのめくるめく描写の数々にクラクラきてしまいました。

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