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2002年7月 1日 (月)

「日曜日の夕刊」 重松清

日曜日の夕刊 (新潮文庫)

日曜日の夕刊

重松清

新潮文庫 2002.6  

12の短編で450ページくらいの本。あっという間に読み終わりました。この人、予想以上に文章が上手です。どれもテレビドラマを見ているような物語。現代ッ子の言葉やカルチャーを効果的に取り入れていて、10年もしたら読んでて恥ずかしいような感じなるかもしれないけどね。12作ともはずれくじの無いような感じで一定の水準が保たれていたが、特に良かったのは次の3本。

「カーネーション」電車の網棚に忘れられたカーネーションを見ながら、車内にいる3人の人々がそれぞれ様々な思いを巡らせる。20ページちょっととは思えない内容の濃さ。手塚治虫の短編のうようだ。

「桜桃忌の恋人」太宰治ファンに気に入られてしまった国文科生の青年。しかし彼女は太宰を信仰するあまり、自殺未遂を繰り返す女性だった。こう書くと暗い感じだが、現代っ子の大学生が語るテンポの良いやけに軽い文体でスイスイ読める。

「後藤をまちながら」題名は「ゴドーをまちながら」のパロディ。かつてクラスでいじめられていた後藤君が参加すると言われていた同窓会。主人公は今いじめられている我が子を連れて参加するのだが・・・。ストーリーが読めるのに、最後まで読ませて感動させるあたり上手いです。

他にも、夫婦喧嘩の後にテレビ出演を依頼される「すし、食いねぇ」、全くなれないサマーキャンプに父子で参加する「サマーキャンプへようこそ」などが印象的。すぐ読めるのでご一読あれ。

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