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2003年4月 2日 (水)

「罪と罰」  ドストエフスキー

罪と罰〈上〉 (岩波文庫)

罪と罰 (全3巻)

ドストエフスキー

岩波文庫 1999.11  

なによりも翻訳者の名前が気になるのだが、ロシア文学の翻訳ではかなり定評があるらしい。野球してるわけではないようだ。

この作品は新潮文庫版が広く普及してるけれど、数年前に出たばかりの新訳の方を選んで読んでみました。複数の翻訳があるときは新しいものを選ぶようにしているので。でも、新潮版では全2冊なのに、こちらは全3冊、しかも全1200ページほどの分量であり、この差はどこから来るのだろうとちょっと疑問。岩波ってどの作品も新潮に比べて冊数が多いと思う。

で、内容ですね。多くの人が救われるのならば殺人は許されるというような持論を持つ主人公がそれを実行に移し、犯行後に彼の心理がどのように変化していくかが描かれている作品。

彼の持つこの理論って、結局は死刑を認めるのと変わらないですよね。もっと言えば、キリストの贖罪なんかにもつながりそうな感じもします。しかし、作者はこれに対して否定的な答えを提示しているように思われます。これはまた主人公が無神論者であるという設定とも関わっているのかもしれません。

結局、殺人という行為がなんらかの理論で認められたとしても、それを犯した人間の精神的な苦痛は一生拭われることがないということでしょうか。

様々な人間の思惑が交錯するストーリーでこれぞ小説!っていうのが強く感じられる作品。映像化できないまさに活字のための作品という印象でした。再読してみたいとも思ったしあなどれませんね。「カラマーゾフ」も面白いのかなぁ。

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