「完訳 ナンセンスの絵本」 エドワード・リア 柳瀬尚紀訳
ナンセンスの絵本 エドワード・リア 柳瀬尚紀訳 岩波文庫 2003.5 |
19世紀のイギリス詩人の書いた作品。定番と言えば定番ですね。語尾がaabbaの形で押韻する5行詩で、ほとんどを"There was a person of ~"という形式で書き初めて、詩自体の内容はその題の示す通りナンセンスなものになっている。さらに特徴的なのは、総ての詩に作者自身によるそのナンセンスな世界を描いたかなりシュールなタッチの挿絵がつけられている点。
この翻訳版、訳者が柳瀬尚紀というところがかなりポイント。
ナンセンスな英文学を翻訳させたら彼はトップクラス。「不思議の国のアリス」もちくま文庫の彼の翻訳したバージョンは傑出した名訳。原文の内容を残して、日本語にも原文と同じ形式を持たせると言う技が冴える訳なのだ。
この「ナンセンスの絵本」でも、原文の5行詩で、aabbaと押韻するというルールを日本語に残し、さらに意味も割りと正確に翻訳していてかなり好印象。まぁ、押韻の仕方に関してはちょいと無理が感じられるのがあるといえばありますけど。
じっくりと読むのではなく、一日2,3篇を軽く味わうという読み方が適していると思います。原文と訳文が挿絵をはさんで同じページに並べられているという構成もかなり好印象な1冊。
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