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2003年5月13日 (火)

「ダロウェイ夫人」 ヴァージニア・ウルフ

ダロウェイ夫人 (角川文庫)

ダロウェイ夫人
Mrs. Dalloway

ヴァージニア・ウルフ
Virginia Wolf

角川文庫 2003.4  

今週末から公開の「めぐりあう時間たち」のテーマの基になっている作品です。この映画はアメリカで公開される前の予告を見て以来ずーっと気になっているので公開が楽しみ。

で、この作品は、かつてイギリスに旅行した際にロンドンが舞台の作品を読もうと原書で買っていたものの、内容と英語の難しさにギブアップしていたもの。映画の公開に合わせて翻訳が復刊されたので早速購入。その結果、原書でギブアップしたのは英語の問題よりも内容の問題であったことが発覚。日本語で読んでも難しい。

内容は、「意識の流れ」と呼ばれる手法を完成させた記念碑的作品で、6月のとある日に、ホームパーティーを開くことになった初老のダロウェイ夫人が、その準備のために街へ買い物に行った午前中から、パーティーを開くまでの半日くらいを描いたもの。

面白いのは、作品の進行が全て登場人物の考えていることだけで展開されるということ。街を歩く老婦人の脳裏に浮かぶ過去の思い出、街角で公園で出会ったかつての恋人、友人との思い出や、それに関する自分の見解などのみで構成されており、それがダロウェイ夫人のみならず、全ての登場人物の視点から次々と折りたたむように挿入されて最後まで続くのである。

ストーリーは全体として、とある6月の昼下がりの中にダロウェイ夫人を囲む人々の交友関係(ウルフならではの同性愛まである。)の歴史を一気に凝縮させると言う大胆なもの。この手の作品はついていくのが結構大変なので読むのが難しいが、この手法が面白いのでなんとか最後までたどり着いた感じ。最後まで読んだら、今度ロンドンに行く機会があったら片手に持って舞台を探訪したくなった。

ちなみに「意識の流れ」と言えば、フォークナーの「響きと怒り」は何度トライしても最後まで読めない。こちらは飛び飛びの時代の4日間の出来事を通して、ある家族の人々が考えたことを連ねていく作品なのだが、その登場人物の大半が精神的に問題ありという設定を持っているので正確に何が起こっているのかを把握するのが難しいのだ。

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