「ビタミンF」 重松清
ビタミンF 重松清 新潮文庫 2003.6 |
重松清の直木賞受賞作なので一応代表作になるのだろうが、今まで読んだ中では一番地味な印象。以前NHKがシリーズでドラマ化したときに見てて内容を知ってからかもしれないけどどれも今ひとつだった感じ。ドラマはかなり面白かったので、他の重松作品はもしかするとドラマ化すると内容が重過ぎるのかもしれない。
家族をテーマにした作品を集めた短編集でいつもながらの重松節が炸裂しているのだけど、直木賞はもっと他の作品がとったほうが納得かな。
重松お得意のイジメがテーマの「セっちゃん」はドラマの時はかなりのインパクトがあった(去年の12月7日の日記参照)があったけど、原作は「ナイフ」の方が完全に上だと思う。
印象的なのは「なぎさホテルにて」と「かさぶたまぶた」。
「なぎさ~」はドラマも面白かったけど、原作の方もかなりのできだと思う。大学時代の恋人と二人で泊まったホテルに家族で泊まった男のもとに一通の手紙が届くという内容なのだが、全体に流れるムードが独特で重松作品では割りと異色な印象。
「かさぶたまぶた」は「良い子」である娘が突然ひきこもってしまう父親の葛藤描いたもので微妙に共感できる自分がちょっと嫌だった。
それにしてもNHKのドラマはかなり原作に忠実だったようで台詞も割りとそのまま使っていたようでした。
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