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2003年6月

2003年6月30日 (月)

「キッドナップツアー」 角田光代 

キッドナップ・ツアー (新潮文庫)

キッドナップツアー

角田光代

新潮文庫 2003.6  

児童文学の関連で多数の賞を受賞した作品。

母親との交渉をするために2ヶ月間家に帰っていない父親が11歳の娘を「ユウカイ」し、父と過ごす一夏を通して成長していく少女を描く。

なんか映画にするとよさそうな題材。やけに大人びた主人公の少女がちょっと気にはなるが実際のところ11歳だとこんなものなのかもしれない。変におちゃらけている父親だが、本当は子供のとの距離を縮めたいんだろうなぁとか、「しょうがないなぁ」と連発しながら逃げるチャンスはあってもやはり父の下にいてしまう主人公などギクシャクした親子関係がしっかりと結ばれていくのがとても上手く書かれていたと思う。

あと、このテーマで解説が重松清なのが新潮文庫のにくいところ。最後に印象に残った台詞を引用。

父の昔の恋人に会ったあとに主人公がポツリとつぶやく一言と父の返答。

「あの人と結婚してたらきっとわたしはいなかったね。」

「だから結婚しなかったのかもな。」

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2003年6月29日 (日)

「ビタミンF」 重松清

ビタミンF (新潮文庫)

ビタミンF

重松清

新潮文庫 2003.6  

重松清の直木賞受賞作なので一応代表作になるのだろうが、今まで読んだ中では一番地味な印象。以前NHKがシリーズでドラマ化したときに見てて内容を知ってからかもしれないけどどれも今ひとつだった感じ。ドラマはかなり面白かったので、他の重松作品はもしかするとドラマ化すると内容が重過ぎるのかもしれない。

家族をテーマにした作品を集めた短編集でいつもながらの重松節が炸裂しているのだけど、直木賞はもっと他の作品がとったほうが納得かな。

重松お得意のイジメがテーマの「セっちゃん」はドラマの時はかなりのインパクトがあった(去年の12月7日の日記参照)があったけど、原作は「ナイフ」の方が完全に上だと思う。

印象的なのは「なぎさホテルにて」と「かさぶたまぶた」。

「なぎさ~」はドラマも面白かったけど、原作の方もかなりのできだと思う。大学時代の恋人と二人で泊まったホテルに家族で泊まった男のもとに一通の手紙が届くという内容なのだが、全体に流れるムードが独特で重松作品では割りと異色な印象。

「かさぶたまぶた」は「良い子」である娘が突然ひきこもってしまう父親の葛藤描いたもので微妙に共感できる自分がちょっと嫌だった。

それにしてもNHKのドラマはかなり原作に忠実だったようで台詞も割りとそのまま使っていたようでした。

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2003年6月28日 (土)

「八月の博物館」 瀬名秀明

八月の博物館

八月の博物館

瀬名秀明

角川文庫 2000.11  

「パラサイト・イブ」の著者が放つSFファンタジー。これまで「理系作家」のイメージが強かったことに対する反発というか、作者が自分で新たな道を模索しているのが強く感じられる作品。

ストーリーは3つのプロットが交錯していて、「理系作家」のイメージの強い作家が「小説を書くこと」の意味を探すもの、小学生の男の子が不思議な博物館に迷いこんで時空を越えた冒険に出るもの、19世紀のエジプトの発掘作業を描くものから成っている。この3つが最後に向けて統合していく。

既視感の強いエピソードが多く、面白いのだけど、ちょっとなぁという感じが多いのも確か。

作品は藤子・F・不二雄に捧げられていて、大の藤子ファンという作者がかなりそれをイメージしているのは、「ドラえもん」がしばしば現れたり、「T.Pぼん」色の強いストーリーがあったり、「カンビュセスの籤」があったり、「満月博士」が登場したりする辺りではっきりと分かり、同じ藤子フリークとしては嬉しかった。

また、タイムトラベルの原理にマシスンの「ある日どこかで」に言及してそれを発達させたものを採用してたり、ハヤカワと創元のエラリー・クイーンのシリーズの違い言及したり、「ソフィーの世界」ぽかったりと読書好きにはたまらないエピソードも多数。瀬名氏と僕は趣味が似ているのかもしれない。

で、これだけの要素をつめこんでつめこんでどうするのかと思っていたら「果てしない物語」的な展開になってきて、ラストの1行で「やっぱ『果てしない物語』かよっ!」と突っ込みを入れたくなるという内容。

小説家を主人公にしている部分では作者自身が自分の悩みをここまで明確に記述することは滅多にないのではと思わせるくらいにリアルな悩みがつづられていてやや重い。少年の冒険の部分も色々とつめすぎて内容についていくのがやや難だったかもね。瀬名氏はきっと頭が良いのだんぁというのはしっかりと伝わってきたけど。

あと1つものすごく気になったのは、図書委員の女の子がかなり読書してるっぽいのに宮沢賢治を知らないというのは小6とはいえあり得ないと思った。

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2003年6月26日 (木)

「蟻」 ベルナール・ウェルベル

蟻―ウェルベル・コレクション〈1〉 (角川文庫)


(les fourmi)

ベルナール・ウェルベル
(Bernerd Werber)

角川文庫 2003.6  

10年程前にそこそこのヒットを飛ばしていた作品。中学生だった当時、かなり気になっていたのだが、ハードカバーには手が出ず、ずーっと待っていたらついに文庫化。しかも「ウェルベルコレクション」ということは今後シリーズでこの作者の本が刊行さえるようだ。

作者は科学雑誌で記事を書いてきた人で、その科学・生物学知識をもとに作品を書くフランスのSF(?)作家。で、幼少の頃より蟻の研究を続けているという作者が13年間かけて完成させた作品。蟻達を主人公にした物語と、とある家庭で起きた地下室に入った人々が失踪するという事件を平行して描く。

とにかく蟻を描いた部分が面白すぎ。ヤバい。一部作者の想像も入っているそうだが、綿密な調査と観察に基づいて描かれた蟻社会の様子、その驚異的な技術、そして蟻社会でおきる戦争や建国などが3匹の蟻をメインに据えて、全て蟻の視点から描かれているあたり、作者の筆力に脱帽。実際、蟻が生物界ではかなり頂点にくるほどの力を持った生物であることは有名だが、まさに人間などとるに足らぬ相手であると感じさせられる。巣の構造もかなり複雑だし、一種の階級社会であるし、キノコの栽培などの生産的な行いもするし、何匹のもの生物が1つの巣に暮らすというのはまさに人間社会そのもの。

3部作の第1作ということで、今後刊行される続編に期待大である。騙されたと思って読んでみてください。絶対に面白い知的娯楽大作ですよ。

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2003年6月24日 (火)

「ねじの回転・デイジーミラー」 ヘンリー・ジェイムス

ねじの回転デイジー・ミラー (岩波文庫)

ねじの回転・デイジー・ミラー
the turn of the screw / Daisy Miller

ヘンリー・ジェイムズ
Henry James

岩波文庫 2003.6  

最近、読書運が良い。読んだ本が比較的当たり続きで、面白い本はスイスイ読めてしまうので読書量がかなり増えている。

この作品は19世紀のアメリカ出身でその後イギリスに帰化した作家ヘンリー・ジェイムスの代表的な中篇2つを収めた今月の新刊。「ねじの回転」は新潮文庫版を持っていたが訳が好きになれず挫折。今度の新訳は相性がよく最後まで読めそうだ。で、そのうちの1篇を読んだ感想である。ジェイムスといえば、映画化した「ある貴婦人の肖像」や「鳩の翼」が有名だが、この中篇2つが最も有名なのは間違いないだろう。

「デイジー・ミラー」

「デイジー・ミラー」というのはこの小説の主人公が恋をする女性の名前で、ストーリーはヨーロッパに滞在するアメリカ人たちを描いたもの。いかにもアメリカンな自由奔放なデイジーと、そんな彼女を快く思わない「ヨーロッパ」を強く意識して変に上流ぶる夫人たち、長期の欧州滞在で欧・米の中間的な視点を持つ主人公が描かれる。

デイジーは、伝統としきたりが残る19世紀のヨーロッパ社会の中を本当に「自由」に動き、その社交界を揺さぶる。同じアメリカ人として彼女に思いを寄せる主人公も、彼女がヨーロッパの貴公子と仲むつまじくなると一気にそれを批判する立場へ。

面白いのは、ヨーロッパに負けまいと上流風をふかす夫人たちの姿。この作品のテーマは「アメリカ」VS「ヨーロッパ」だそうで、1人の青年の固定した視点からだけで描いているにも関わらずそれが本当に上手く表現されていて面白かった。19世紀のヨーロッパの社交界は自由恋愛がまだ認められていなかったらしいですよ。

「ねじの回転」 

新潮版は最後まで読めなかったけど今回は無事読了。

家庭教師が子供達を悪へと誘う霊の存在に気づくという内容で、ジェイムズといえば、純文学のカテゴリに入ると思うが、これも幽霊小説という形をとりながらもなかなか奥深い。

解説によると、ここに現れる幽霊を家庭教師の幻影だとする説と本当に現れているという説とが対立しているそうだ。個人的には家庭教師幻影説も可能性大だと思った。霊が出という場面における家庭教師の精神的な高揚状態はかなり異常であるように見受けられ、それに対して霊によって手なづけられているとされる子供達の描き方も如何様にもとれるものの割りとあさっりして感じが強いので、妄想説が有力なのかもしれない。解釈がどのようであれ、これは「名作」であることは間違いないです。

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2003年6月23日 (月)

「ガールフレンズ①,②」 山下和美

「ガールフレンズ①,②」 山下和美 集英社

2年位前に出た連作集が、新装丁で再発売。少女漫画のカテゴリーのシリーズからの出版なので、新刊の棚に並べられているうちに買わないと流石に恥ずかしいのでまとめて2冊購入。タイトルの通り「女の友情」をテーマにした作品が集められていて、山下和美は空クジ無しだということを改めて実感させられる作品集だった。女性誌での作品掲載は久々ということで作者も気合を入れた感じ。「柳沢教授」や「不思議な少年」では設定上描けないような内容で、山下ワールドの奥深さを実感。彼女は人の己に対するコンプレックスのようなものを描くのが上手だと思う。そういうテーマの作品も多いし。その際に様々な視点をとって、何かある決定的な瞬間をズバっと表現できるのが本当に上手い。この中では、中学からの親友を心の中で殺してしまいたくなる「マーブルフレンド」、大人らしさの全く感じられない伯母と同居する「すみれちゃん」、そしてクラスのリーダー的存在と対峙する「白い花 紅い華」が特に印象的。

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2003年6月19日 (木)

「故郷」 パヴェーゼ

故郷 (岩波文庫)

故郷
paesi tuoi

チェーザレ・パヴェーゼ
cesare Pavese

岩波文庫 2003.6  

イタリアの小説。

20世紀初頭のイタリアを舞台に、刑務所から出所してきた主人公が、一緒に出所した仲間の故郷に向かい、そこで過ごす日々を描く。

あまり好きではなかったかな。数ヶ月前に読んだ「ぼくは怖くない」に良く似た雰囲気をもつ作品でイタリアの作品のパターンがつかめてきたかも。イタリアで町ぐるみとか家族ぐるみとかで隠し事することが多いのでしょうか。日本だと横溝系がそうだけど、それとは違って割りとさらっとしてるのが特徴的。

なんか「乾いた空気」をものすごく感じるのだけど、何故なんでしょうか。カルヴィーノとかタブッキもそういう空気がある気がする。

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2003年6月18日 (水)

「アシェンデン 英国秘密情報部員の手記」 サマセット・モーム 

「アシェンデン 英国秘密情報部員の手記」 サマセット・モーム ちくま文庫

イギリスの国民的人気作家だったモームの描くスパイ小説。第1次大戦のときに本当にスパイとして活躍したというモームの実体験が生かされた内容で、ヨーロッパをまたにかけるスパイ、アシェンデンの活躍を短編の形式で描いた作品。実体験に基づくということでストーリーが面白いのはもちろんのこと、読書家で知られたモームならではの厳しい文学批判や、文豪としての実力を発揮した巧みなキャラクター作りによって、400ページほどの量にもかかわらずあっという間に読了。とりわけ面白かったのは11日間かけてロシアを渡る電車の中で居合わせてしまった超おしゃべりな紳士の絵ピーソード。ラストの作り方が秀逸でおもわず微笑んでしまった。

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2003年6月16日 (月)

「二十歳の原点」 高野悦子

二十歳の原点 (新潮文庫)

二十歳の原点

高野悦子

新潮文庫   

今から30年ほどの前のベストセラー。学生運動が過熱化する中、二十歳の誕生日から半年ほどした6月24日に鉄道自殺で命を絶った1人の女性の残した日記を出版したもの。二十歳の誕生日から始まる半年ほどの日記のなかに当時の世相、文化、そして何よりもその時代を生きた一人の若者の生の声と魂が力強くこめられた一冊。

同年代の者の声として読むことができる今の自分にはかなり衝撃的な内容。日記の中で繰り返し「自由」を訴える彼女であるが、この日記を見る限り、彼女の周りには自由が溢れているように思えて仕方がない。学生運動という時代背景の中、必要以上に自由を束縛していたのは本人自身ではないのかとも考えさせられる。

鉄道自殺をはかった彼女だが、自分は「私自身のために」生きていると語り、「死ぬって言うことは結局負けだよなぁと思った」と語る彼女は果たして本当に自殺を望んだのだろうか。未遂にちかいことを繰り返しながらも、詩や音楽、失恋の中で結局は生きていることを強く実感する日々を過ごしている彼女は鉄道に飛び込んでも、いつもと同じように助かるのではないかと考えたのではないだろうか。

常に演技をして生き、そのために伊達メガネをかける彼女はなぜそこまで自分を追い詰めたのだろうか。演技などせずに自分自身と向かい会えなかったのだろうか。「生きるとは愛すること」という彼女にとって失恋は死をも意味したのだろうか。

亡くなる1週間ほど前の日記の「雲にのって遠くの知らない街に行きたい」という詩や、死の2日前の日記の「旅にでよう」で始まり、「静かに眠ろう そしてただ笛を深い湖底に沈ませよう」で終わる彼女の残した最後の言葉の残す余韻が読後にひたすら残る作品だった。

彼女は天国で自由を得ることができたのだろうか。現代の大学生達を見て、そこにあふれ、飽和状態を越えている自由を見て彼女はどう感じるのだろうか。彼女と話たいなぁと感じつつもその彼女も半世紀以上前に亡くなっているのだ。

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2003年6月 8日 (日)

映画「花嫁の父」 

花嫁の父

father of the bride

1950年

アメリカ

昼にBSでやっていたのを見ました。スペンサー・トレイシーとエリザベス・テーラーの映画。「花嫁のパパ」というリメイク作品もありましたが、娘が結婚することになり戸惑う父親を描いた傑作コメディです。

スペンサー・トレイシーって「招かれざる客」でも黒人の結婚相手を連れてきた娘に戸惑う父親を演じていたし、こういう役どころが多いみたいですね。エリザベス・テーラーは18歳とは思えない大人っぽさ。彼女は「若草物語」とか若い頃の方が輝いてると思う。内容としては、トレイシーの喜怒哀楽に溢れる演技がとても上手く、脚本もなかなか笑えて、それでいてホロッとさせるような佳作。細かいところまで色々と芸の細かい演出があって多くを語らずとも画面上に色々な小物があるのがいい感じ。特に結婚相手の家に行くシーンが面白かった☆

白黒映画ってデジタル加工技術の進歩で昔よりもずっと画面が綺麗で見やすくなったと思う。音質がザーザーするのだけは直らないみたいだけど。

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2003年6月 6日 (金)

「朗読者」 ベルンハルト・シュリンク 

朗読者 (新潮文庫)

朗読者
der vorleser

ベルハルト・シュリンク
Bernhard Schlink

新潮文庫 2003.5  

2年位前にやたらと流行っていた本がついに文庫化。新潮社のクレストシリーズって佳作が多いのにほとんど文庫化されないのは何故でしょう。しかも刊行順と文庫化する順がバラバラだし。「停電の夜に」がクレストからの初の文庫だけど、それ以前に刊行された20冊くらいはいつ文庫化するのやら。「朗読者」もかなり待ちわびたけど。

で、これは久々のドイツ文学の世界的ヒット作となったことでも記憶に新しい作品。

ストーリーは15歳の時に近所に住む15歳以上年上の女性と恋に落ち彼女のもとへ通った主人公が苦い別れを経験して数年後、思いがけず彼女とホロコーストとの関わりを知ることになるというもの。

何を見ても超前半の15歳のときに大人の女性と恋に落ちたという部分しか書かれてないんですけど、この作品の主眼はやっぱりナチスの問題なのであって、決して少年が近所の大人の女性に憧れるというチープなラブストーリーではないのだからもっと上手く宣伝してもいいかと思う。

この本の本国での大ヒットはドイツ人がナチスの問題をこのような形で認め始めてるということなのだろうけど、なんだかなぁと首をかしげるような部分があるのも事実。やはり自国の過ちと対峙するのは難しいのか。

作品自体はあきらかにドイツ文学史に名を刻むだろうなぁという完成度だと思う。伏線もしっかりと張られているし、衝撃のラストを用意してるし。なんか感想を書くよりも一読してもらったほうが良いと思います。マジで面白いです。ナチスがストーリーに絡むとは全く知らずに読んでいたので、ホロコースト関連の作品に興味があるものとしては、途中からの展開に無駄にニンマリとしてしまいました。

映画化するらしいけど誰がやるんだろう。ハンナのイメージはスーザン・サランドンかキャシー・ベイツなんだけど、前半の30代の美しい女性はちょっと無理だろうなぁ

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2003年6月 4日 (水)

「金色夜叉」 尾崎紅葉 

金色夜叉(上) (岩波文庫)

金色夜叉

尾崎紅葉

岩波文庫   

婚約者が自分を裏切り富豪と結婚。失意の中、主人公は金がものをいう世間に復讐するために高利貸しとなる。はてさて2人の恋の行方は・・・。というストーリーだが、何を見ても、「復讐のために金色夜叉となった主人公」と書かれている。しかし、「金色夜叉」という単語は作中には出てこないし、これ自体どういう意味なんでしょう・・・。

今日、一気に150ページ以上読んで読了。簡単な感想をいうと、「続金色夜叉」で終わりにすればよかったのに。というところでしょうか。この作品は新聞連載で人気が高かったので、終了しようにもそれができずにだらだらと続いてさらに未完なのだ。で、「金色夜叉」の上、中、下と、「続金色夜叉」、「続続~」、「新続~」から構成されているのだが、「続金色夜叉」のラストで普通に終わったぽかったのに、それを最後の数行で夢落ちにして次に続かせているのだ。

案の定、その後の展開はやはりあまり上手くいっていない。いくら人気でもしっかりと終わらせることも大切だよなぁと実感。内容も粘着質な登場人物が多かったけど、作者もふんぎりがつかない性格だったのか。

ストーリーの方は、自己中心的な男と女の話というところでしょうか。この人たちは2人して粘着質な性格だし、自分の本当の気持ちと過去の事件に対して素直に向かい合えていないと思う。まぁ、恋愛系のお話は皆そんなものなのかもしれないけど。

古い文体に慣れてしまえばかなり読みやすく、楽しめる作品でした。特に、熱海のお宮の松の場面がどういうものかも分かったし。

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