「金色夜叉」 尾崎紅葉
金色夜叉 尾崎紅葉 岩波文庫 |
婚約者が自分を裏切り富豪と結婚。失意の中、主人公は金がものをいう世間に復讐するために高利貸しとなる。はてさて2人の恋の行方は・・・。というストーリーだが、何を見ても、「復讐のために金色夜叉となった主人公」と書かれている。しかし、「金色夜叉」という単語は作中には出てこないし、これ自体どういう意味なんでしょう・・・。
今日、一気に150ページ以上読んで読了。簡単な感想をいうと、「続金色夜叉」で終わりにすればよかったのに。というところでしょうか。この作品は新聞連載で人気が高かったので、終了しようにもそれができずにだらだらと続いてさらに未完なのだ。で、「金色夜叉」の上、中、下と、「続金色夜叉」、「続続~」、「新続~」から構成されているのだが、「続金色夜叉」のラストで普通に終わったぽかったのに、それを最後の数行で夢落ちにして次に続かせているのだ。
案の定、その後の展開はやはりあまり上手くいっていない。いくら人気でもしっかりと終わらせることも大切だよなぁと実感。内容も粘着質な登場人物が多かったけど、作者もふんぎりがつかない性格だったのか。
ストーリーの方は、自己中心的な男と女の話というところでしょうか。この人たちは2人して粘着質な性格だし、自分の本当の気持ちと過去の事件に対して素直に向かい合えていないと思う。まぁ、恋愛系のお話は皆そんなものなのかもしれないけど。
古い文体に慣れてしまえばかなり読みやすく、楽しめる作品でした。特に、熱海のお宮の松の場面がどういうものかも分かったし。
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