「キッドナップツアー」 角田光代
キッドナップツアー 角田光代 新潮文庫 2003.6 |
児童文学の関連で多数の賞を受賞した作品。
母親との交渉をするために2ヶ月間家に帰っていない父親が11歳の娘を「ユウカイ」し、父と過ごす一夏を通して成長していく少女を描く。
なんか映画にするとよさそうな題材。やけに大人びた主人公の少女がちょっと気にはなるが実際のところ11歳だとこんなものなのかもしれない。変におちゃらけている父親だが、本当は子供のとの距離を縮めたいんだろうなぁとか、「しょうがないなぁ」と連発しながら逃げるチャンスはあってもやはり父の下にいてしまう主人公などギクシャクした親子関係がしっかりと結ばれていくのがとても上手く書かれていたと思う。
あと、このテーマで解説が重松清なのが新潮文庫のにくいところ。最後に印象に残った台詞を引用。
父の昔の恋人に会ったあとに主人公がポツリとつぶやく一言と父の返答。
「あの人と結婚してたらきっとわたしはいなかったね。」
「だから結婚しなかったのかもな。」
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