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2003年7月17日 (木)

「見えない都市」 イタロ・カルヴィーノ 

見えない都市 (河出文庫)

見えない都市
(le citta invisibili)

イタロ・カルヴィーノ
(Italo Calvino)

河出文庫 2003.7  

現代イタリア文学の代表格カルヴィーノの作品は岩波文庫の2冊に加えてこれで3冊目。相変わらず哲学的な深い純文学ワールド。マルコ・ポーロがフビライに語るという形式をとって、彼が見たという55の架空の都市の様子を描く作品。

ひとつの都市の記述が大体3,4ページで、その間にフビライとマルコ・ポーロの対話が挿入されるというスタイルなのだが、「パロマー」同様、カルヴィーノ独特の面白い章立てをしているのが印象的。

現代社会の風刺や、記号論、文学論、コミュニケーション論、社会論、政治論などある都市の一風変わった特徴を示すことで様々なテーマを語っている作品で、はっきり言ってその全てを読み取るのはかなり難しいのだが、一つ一つの都市のエピソードがとてもよくできているのでかなり面白く読むことができる。また、フビライとポーロの会話は「お見事!」と言わんばかりの傑出したできなのでかなりオススメの一冊です。

交易が盛んな都市では商人たちが互いの思い出を語ることで「思い出を商う」。ある都市では全員が何かの劇の役を演じていて、一人で何役も担うことがあるが彼らはその劇が終わりに近づいて進展していることにさえ気づいていない。ある都市は人々が自分のみた夢を正夢にするためにその景色を再現しようとして作られている。またある都市はある都市は都市と郊外との境界がつねに不明であるがそれは「車輪の轟きを狼の吠え声から隔てるものはなにか」という質問と同義である。そしてある都市では我々の使っているものと違うのは言語ではなくその指す対象そのものであり、記号と意味との関係を問いたださなくてはならない。

などなどいろいろな都市が描かれるのですが、面白いのは、フビライとポーロは身振り手振りだけで会話をしているという設定です。つまり、ポーロの語っているこの都市の物語はもしかしたらフビライの創造の産物に過ぎないのかもしれないということです。物語というものも書き手の表現方法も大切ですけど、そこに意味を見出すのは読者の想像力ですよね。

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コメント

こんばんわ、はじめまして
この本をはじめとして、カルヴィーノの作品はなんだかよくわからないところがとても気に入っています。
私のブログの記事をTBさせていただこうと思ったのですがココログとfc2はどうも相性が悪いらしくてできませんでした。ぜひ当ブログをご訪問ください。

投稿: piaa | 2006年9月14日 (木) 00時10分

>piaaさん

コメントどうもありがとうございます!
こちらからTBさせていただきました!

カルヴィーノ作品は、一作ごとでそれぞれに違った味わいがあって
どれも非常に面白いですよね。
「見えない都市」はとりわけ好きな作品です。

ブログを拝見しましたところ
共通して読んでいる本もちらほらとあるようですので
よろしければ他の記事も読んでみてください。

投稿: ANDRE | 2006年9月14日 (木) 00時59分

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