映画「シャンドライの恋」
L'assedio 1998年 イタリア |
「ラストエンペラー」の監督によるかなりの秀作。
政治活動をして夫が逮捕されたシャンドライは、1人イタリアへ渡り、音楽家の家で住み込みで働きながら医学の勉強をする。やがて、その音楽家から求愛されるようになり・・・。というお話。
主人公がアフリカ人でアフリカンミュージックが流れ、音楽家がいつも家でクラシックのピアノ曲を弾き、アフリカの語り部風ミュージシャンがいたりと、全編にわたって音楽が非常に効果的に使われている。
個人的に注目すべきは、半年ほどまえに僕が弾いていたグリーグのピアノソナタの第2楽章が使われている点。この曲はかなり知名度の低いマイナーな曲なのに、映画ではかなり重要なシーンで音楽家が弾いていて(しかも僕の一番好きな部分)、見ながら一人で感激しまくりだった。
で、この映画の何がすごいか。それは極限にまで台詞をカットしている点。94分の中で台詞のみを書き出せばおそらくA4で2枚くらいにしかならないのではないかと思うほど。大胆に言えば、5分に1回くらい2,3言の会話があるような感じ。上で書いたストーリーも台詞として語られる部分はゼロ。ひたすら映像だけで見せる。そして、画面のすみずみまでしっかり見ていないとストーリーが分からなくなったりする。もう少し語ってもいいと思うが、この映画は言葉よりも音楽が主役なのかもしれない。
ひとつ不満を言えば、不連続なカットが必要以上に多用されていてちょっと見づらいシーンもあるくらい。
ラストもハリウッドではあり得ない、結論を見せずに見ているものにゆだねるスタイルで、考えさせられる内容でした。でも見ようによってはただのモテモテ自覚なし美人のお話なのかもしれない。
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