「怪人二十面相」江戸川乱歩
「怪人二十面相」 江戸川乱歩 光文社文庫江戸川乱歩全集「大暗室」収録 2003.8 |
先日刊行が開始された乱歩全集から。昔読んだんですけど、かなり久々に読みました。
その頃、東京中の町という町、家という家では、二人以上の人が顔を合わせさえすれば、まるでお天気の挨拶でもするように、怪人「二十面相」の噂をしていました。
この冒頭だけで、ワクワクがはじまって、ストーリーとか分かるけど、やっぱり楽しめました。
子度向きに書いてあるので、ミステリーのトリックなんかは、かなりバレバレなんですけど、軽快な語り口がいい感じです。一昔前のちょっと丁寧な表現が満載なのもレトロでいいですね。
乱歩は日本を舞台に「浪漫」という形容が似合いそうな作品を残しているので、結構好きです。
で、この本の全集としての特徴がありまして、戦前に刊行されたオリジナルが、戦後の改訂版でいかに変わったのかが巻末に記されているんです。この本はオリジナルを掲載しているので、むかし読んだポプラ社版とは異なる表記が色々あったようです。
たとえば、「満州」という表記は全て「外国」に変えられたようですし、「数百万円」は「数十億円」になったようです。あとは、地名とかも時代に合わせて変更したり、軍関係の用語を全てなくしたりしたようですね。子供向けということで常に時代に合わせて変化をとげる作品だったとは知りませんでした。
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