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2003年11月16日 (日)

映画「SWEET SIXTEEN」 

SWEET SIXTEEN

Sweet Sixteen

2002年

イギリス ドイツ スペイン

イギリス映画界の巨匠ケン・ローチ監督の作品。

主人公は15歳の少年。ヤクの密売人の恋人の身代わりで母親は刑務所に服役中。同居する祖父とその恋人に嫌気がさしてシングルマザーの姉のもとに向かう。彼の望みは、母親、姉とその息子の4人で幸せに暮らすこと。ある日、親友と二人で海辺に建つ売り出し中の一軒の家を見つけ、彼はお金をためてその家を買おうと決意する。そして、親友と2人で祖父の家から盗んだヤクを売り、少年は次第に汚い大人の世界へと足を入れていく。

少年が願うことはただ1つ、「母親と一緒に平和に暮らすこと」である。その目的のために、ヤクを売り始める彼は、自分自身では決してヤクに手を出そうとはしないし、護身用に渡されたナイフも持とうとしないピュアな少年であった。

マフィアのボスにその腕を買われて、暗い世界に足を踏み入れていく少年(目的は家を買うためのお金を手に入れることのみ)、そして裏切られたと感じた親友の行動。そんな弟に無償の愛を注ぎ、育児放棄をした母親との関係を絶って自分と過ごすことを求める姉。息子の思いを感じながらも自分を捨てることができない母親。イギリスの階級社会の底辺に近いところに住む人々の日常を見事に切り取った作品でした。

「ケス」から30年以上経ったにも関わらず、同じテーマで作品を取り続けるケン・ローチ監督の上手さに脱帽です。個人的には親友の少年に一番感情移入をしてしまった。

この作品の前半で、少年が親友と2人で車を暴走させるシーンがあるのですが、そのときにラジオから流れる曲がモーツァルトの「魔笛」の「夜の女王のアリア」でした。正式なタイトルは「我が心に地獄の復讐が煮えたぎる」というもので、大人たちの都合(社会の現実)に振り回された2人の少年の複雑な思いを表現するシーンとしては屈指のできだと感じた。

ラスト、この少年に訪れる悲しい現実、その日が彼16歳の誕生日であることを覚えてくれていた人はいたのでしょうか。タイトルが示すように、16歳の彼には幸せで暖かい人生が訪れることを祈らずにはいられません。大人になった彼を待つのは貧しいけれど、母親を反面教師にして真面目にささやかな幸せをつかもうとする姉の住む世界なのでしょうか、それとも、同じグラスゴーが舞台となっている「トレイン・スポッティング」の世界なのでしょうか。

「やっぱイギリス映画こうでなくっちゃ」という典型的なイギリス映画でした。こういう作品に出会えるのはイギリス映画ファンとしてはこの上ない喜び♪

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