映画「チョコレート」
monster's ball 2001年 アメリカ |
ハル・ベリーがアカデミー賞主演女優賞を受賞した作品です。この授賞式のとき、リアルタイムでアメリカ旅行中だったのでとりわけよく覚えています。ハル・ベリーさんかなり綺麗ですね。見とれてしまいました。
刑務所で死刑の執行を行う男と夫が死刑になった女の物語。互いの素性も知らぬに惹かれあう2人を描きます。死刑で終わる映画は多数あったけれど、死刑から物語が始まるというところがなかなか新鮮です。黒人差別主義者の男(アメリカって未だにこういう差別が根強く残ってるんですね)と黒人である女はともに心に深い痛手を負って、孤独の中でひかれあっていきます。
ここで思い返されたのが谷川俊太郎の詩でした。
万有引力とは引き合う孤独の力である
宇宙はひずんでいる それ故 みんなはもとめあう
宇宙はどんどん膨らんでゆく それ故 みんなは不安である
(谷川俊太郎『二十億光年の孤独』より)
まさにこの詩で言わんとしていることを映像化した作品ではないでしょうか。この映画の全てを語っていると思います。でも「引き合う」のも限度ありますけど。この映画、知らなかったんですけどR18指定だったんですね。冒頭のシーンにも驚きましたが、終盤の激しい場面はいきなりだったので面食らってしまいました。しかも1度ならずですし。こりゃ主演女優賞もらわないとやっていけませんね。でも、この激しい場面もこの映画では、やらしさを全く感じさせません。むしろ辛さすら感じさせるシーンで、映画の中ではかなり重要な位置づけだったと思います。
ラストのなんともいえない余韻がとても印象的でした。はぁ。でも名画であることは間違いありません。淡々としている分、リアルに迫ってくる感情と、先が読めているストーリーなのに続きが気になってしまう展開の仕方であっという間の2時間。アカデミー作品賞とってもおかしくなかったのでは?
あと、珍しく秀逸な邦題のついた映画です。現代は「MONSTER’S BALL」というものでこのままカタカナにしたらホラー映画ではないかと思わせるようなものなのですが、「チョコレート」というタイトルは映画のテーマを示し、ハル・ベリーの美しい肌の色も示していましてとても上手いタイトルのつけ方だと感心しました。
最後にどうしても突っ込みたかったこと。あの子供は絶対ハル・ベリーからは生まれないぞ!!!!!
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