映画「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」
Rosencrantz & Guildenstern are dead 1990年 アメリカ |
このタイトルを見てピーンときたあなたは相当な「ハムレット」通ですね。監督、脚本は「恋に落ちたシェークスピア」の脚本でアカデミー賞を受賞したトム・ストッパード。
ストーリーは、「ハムレット」の中で、かなり脇役として登場し、一番最後に「Rosencrantz and Guildenstern are Dead」という台詞とともに、本編のストーリーとはほとんど関係ない部分で殺されてしまう2人にスポットライトを当てて、2人の視点から「ハムレット」を描くというもの。
様子がおかしいハムレットの身に何があったのかを探るために王によって召集されたハムレットの学生時代の友人である2人は、ハムレットから話を聞きだそうとはりきるのだが、劇団の一座を除いて、ほぼ全ての登場人物に無視されまくり、挙句の果てに自分たちも悲劇の一部に巻き込まれていくまでをかなりコミカルに描いていました。
「ハムレット」の本編に関わる部分はすべてシェークスピアの原典の台詞を使用し、「ハムレット」のストーリーもしっかりと全体を捉えていました。本を2回くらい読んでて、映画とかでストーリーをちゃんと把握していれば抱腹絶倒&興味津々間違いなしの1本。反対に、「ハムレット」の知識がない人には、淡々としているところもあるし、全く面白くない作品かもしれません。
面白かったのは、2人のキャラクター。
ハムレットに会う前に予行演習をするくだりはかなり良い感じ。確率の法則、万有引力、運動量保存の法則、蒸気機関、飛行機のモデルなどを直感的に次々に発見していくローゼンクランツに対して、理論家で考えてばかりで彼の発見をガン無視のギルデンスターンのボケ&ツッコミにも似たやりとりもかなり笑えます。
ローゼンクランツを演じるゲイリー・オールドマンが「レオン」とかでお馴染みのキレた役ではなく、普通にコメディ俳優なギャップも良い感じ。
喜劇ではあるものの、旅の劇団員のリチャード・ドレイファスは、しきりに2人に運命や死について語りかけ、「ハムレット」という物語の中で初めから定められいる2人の死の持つ意味を問いかけたり、2人に劇中劇を見せるあたりはかなり深い内容でした。
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コメント
こんにちは♪
この作品の感想を書いて、UPする前に1度お邪魔しながら、
またまた時間切れとなって(毎度毎度申し訳ない)
再度出直して来る前に、先にコメントをいただいてしまいました。
シェイクスピアを本当に楽しむだけの素養がないので、
この作品の楽しさを全部理解できているわけではないですが、
そんな人間にでも楽しめるような配慮かと思う、
作品の設定や構成の仕方、あるいは、
2人のお惚けな掛け合いや、見応えある劇中劇など、
それぞれ1つ1つが楽しめる作りになっていて、
それだけでも充分、満足できる面白さでした。
ああ、これで、あの言葉遊びの可笑しさについていけたら…と思うと
自分がろくに英語を勉強しなかったツケが今頃回ったかと寂しくもなりますが・・・
これは、観ることができて、本当に嬉しく楽しかったです♪
投稿: 悠雅 | 2009年11月11日 (水) 12時54分
>悠雅さん
こんな古い記事を
発掘してくださいましてどうもありがとうございます。
この映画、本当に楽しいですよね。
自分の周りでも
シェイクスピアなぞまるで知らないという友人も、
シェイクスピアを専門的に研究しているという人も、
とても面白かったと言っていたので、
本当によくできた作品なのだと思います。
これはでも
知ってれば知ってるほど、
面白さが増すんだろうなと思うので、
おっしゃられている言葉遊びの部分も含めて
全部をちゃんと理解できないのがちょっと寂しいですよね。
ブラナーの『ハムレット』は
超大作ですが、本当に豪華で、
とても面白いのでオススメですよ♪
以前、舞台を観たときに、
ハムレット映画のまとめ記事を書いてるので、
よろしかったらご覧になってみてください。
http://andrekun.cocolog-nifty.com/andres_review/2008/05/hamlet_itcl_c079.html
投稿: ANDRE | 2009年11月12日 (木) 00時43分