映画「めぐりあう時間たち」
the hours 2002年 アメリカ |
一昨年の製作発表のときからずーっと見たかった映画をついに見ました。この映画のためにダロウェイ夫人&ヴァージニア・ウルフ伝記もしっかりと予習済み。
いやぁ~、予習した甲斐ありましたね。この映画、「ダロウェイ」とヴァージニアの伝記を知ると知らないとで理解度が全く変わるんでしょうね。かなり楽しめました。ピュリッツァー賞受賞の原作も読んでみたいです。
イギリスの女流作家ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」をモチーフにして、「ダロウェイ夫人」を執筆中のウルフ(1923年)、「ダロウェイ夫人」を愛読する主婦(1951年)、「ダロウェイ夫人」と同じクラリッサという名の女性(2001年)の3人の女性のある1日を描いた作品。
もともとの「ダロウェイ夫人」が6月のとある1日を舞台に、初老の夫人がホームパーティーの準備のために買い物にでかけて昔の恋人のことなどの様々なことを思い出して、その1日を通して彼女の人生の全てを描き出すというようなスタイルの作品で、この映画もそれに倣って3人の女性の1日を描きつつ、色々な感情を交錯させて奥深いドラマを作っていました。
初めはバラバラに並列して描かれる3つの物語がパズルのピースのようにつながっていく展開がお見事!全く違うストーリーにも関わらず「ダロウェイ夫人」もパズルのごとくバラバラのピースに分解されて完全映画化された形でした。
ひとことで言えば、満たされているはずなのに、これまでの人生にふと疑問を感じてしまい、逃げ出してしまいたくなるという状況になったときにあなたはどうしますか?というお話。
ウルフ自身が「ダロウェイ夫人」のラストを書き換えたという実話があって、この映画でもこの選択が重要なテーマとなってました。3つのストーリーでは、ジュリアン・ムーアの演じた1952年のストーリーが一番印象的で考えさせるものでした。メリル・ストリープの2001年のストーリーは「ダロウェイ夫人」そのものになってますね。同性愛、精神錯乱などのウルフを語るを上でははずすこのできないテーマもしっかりと登場してました。
3つの時間の場面転換のさせかたがとても上手く、冒頭の花のシーンなんかは背筋がゾクゾクしました。この映画かなり好きです。と思っていたら、監督さんがあの傑作「リトル・ダンサー」と同じではないですか。ヤバイです。好きな監督は?と聞かれたときの答えにスティーブン・ダルドリーを加えるようにします。
最後にこの映画最大のつっこみ。チョコ地に青いクリームのケーキが究極に不味そう・・・。
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