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2004年1月25日 (日)

映画「点子ちゃんとアントン」

点子ちゃんとアントン スペシャル・コレクターズ・エディション

punktchen und anton

1999年

ドイツ

先日恵比寿で見てきた「飛ぶ教室」と同じケストナー原作の映画。ケストナー作品の舞台を現代に置き換えての映画化シリーズの第1弾となった作品。第2弾の「エーミールと探偵たち」は未公開。残念です。

さて、実はこの原作は読んでいません。岩波少年文庫の裏側のケストナー全集の広告を見て「点子ちゃん」というネーミングが幼心にやたらとインパクトがあったのを覚えています。そしてその奇抜なネーミングから読むのを敬遠していました。「点子」っていうのは少女のニックネームでドイツ語でも本当に「点子」になるようですね。「ちびまるこちゃん」みたいなもんでしょう。すると、「ちびまるこ」が英訳されたとして「little rounded girl」となっていたような感じなのでしょう。こりゃ幼心ならずともインパクト大ですね。

こんな話はさておき、この映画とてもよくできていました。

オープニングのトランポリンから、音楽も良いし、ちょっと凝ったタイトルの出し方で、とてもワクワクさせてくれます。ちなみに、このちょっと軽快な感じのBGMはその後もずっと心地よかったです。

子供にしては妙にイケメン少年のアントンは小さなアパートに病気の母と2人で暮らし、夜はバイトして貧しいながらも母親からの愛情をたっぷり受けて暮らしている。一方の点子ちゃんは、外科医の父、慈善活動にいそしむセレブな母とともに豪邸に住み、欲しい物はすべて与えられ、使用人に大切にされながらも親からの愛には飢えている女の子。なぜだか分からないが点子ちゃんは公立の学校に通っていてアントンくんと大親友。お金があれば母親を空気の綺麗な海辺の保養地で休ませたいというアントンくんの願いを助けようと点子ちゃんが大奮闘といった物語。

出てくるキャラクター、エピソードにぬかりがなくて、音楽も良い感じで、主役2人がやたらと可愛くてこの映画が苦手だなんていう人はもう一回子供時代から出直して来い!と言いたくなるような作品でしたね~。2人で買い物するシーンなんかとても微笑ましいんです。

アントンくんが出来心から犯してしまった過ちは「お母さんのため」などという理由では片付けられず、「悪いことは悪い」ともっと咎めなければいけなかったのかもしれないし、点子ちゃんだって「夜の一人歩きは危険」だともっと咎められるべきなのかもしれません。しかし、この映画は「大人から子供への愛」と「大人にこそ思い出してほしい子供時代」に満ち溢れていまして、そんなちょっと気になる展開も許せてしまいます。

あと、点子ちゃんのアイスの歌は映画史に残る名場面ですよ!!

でもって何よりもアントン君のお母さんが最高!病身ながらもフラフープ、影絵と子供を悲しませないように一生懸命な姿が印象的でした。そして下手をすれば退屈になりそうなこうした場面が圧倒的に美しい映画でした。

全体的に「飛ぶ教室」よりも完成度はずっと高いと思います。見終わった後はとにかく「胸がいっぱい」なのです。

それにしても点子さん、あなたは恵まれすぎてます。ここまで恵まれててなぜ公立校?そしてアントンの家(1DK)に行って、「居間はどこ?」と素で地雷を踏む天然さがツボにはまりました。

ちなみに、この場面で「アントーン」と階下で叫んでカメラがググッとひく場面もお気に入りです。

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コメント

こんにちは。
何度かTBを送っているのですが、反映されないみたいでごめんなさい。

大昔、つまらない理由で原作から遠ざかったまま、きっかけがなかったのですが、
お薦めいただいて観ることができて、感謝感謝です。

観ている途中から、
これはもう習性なのですが、つい、母親の立場で観てしまい、
子供からあんなに愛される「母親」という立場にいることを
誰に感謝したらいいのだろうと思ったりもしました。
そんなお話じゃないのにね。
できたら、母親の目線をすっかり忘れて、子供の心で見直したいくらいです。

きっと、これは孫が大きくなったら、娘と一緒に観てほしいと思い、
早速、娘に教えてしまいました(ちょっと早すぎ…)。

投稿: 悠雅 | 2008年6月20日 (金) 17時45分

>悠雅さん

コメントありがとうございます。

自分も、タイトルのインパクトだけでお腹いっぱいになっていて
他のケストナーはいくつか読んでいるのに、
この作品は読んでいなかったので、
映画の面白さからそのことを後悔したクチです(笑)

自分にはまったく想像もできない母親目線からのご感想、
非常に面白かったです。

子供のときにこういう映画が見られるのも
なんとも羨ましく思えるので、
自分も子供ができたら一緒に見てみたいですね。

トラックバックですが、
こちらでは管理人の承認を要するようには設定してないのですが、
たまに、勝手に「承認待ち」になってしまうことがありまして、
今回もそうでしたので、承認して反映させておきました。
これがどういうときに発動するかが全く分からないんですよねぇ。

投稿: ANDRE | 2008年6月20日 (金) 22時48分

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