映画「飛ぶ教室」
das fliegende klassenzimmer 2003年 ドイツ |
「飛ぶ教室」って知ってますか?「エーミールと探偵たち」や「2人のロッテ」で知られるドイツの作家の書いた児童文学です。僕も幼少の頃岩波少年文庫でお世話になりました。
実は言うと、ケストナーは「エーミールと探偵」は結構好きだったものの、この「飛ぶ教室」はイマイチでした。これって対象の読者が小学校くらいからなのにも関わらず舞台が高校で、共感しにくい要素を含んでいたのだろうと思います。
原作のストーリーは寄宿学校に通う子供たちが、クリスマスのための劇の練習をしていて、そこに隣の実業学校の生徒との抗争や先生との関係、子供たちの寮生活などを織り込んだ物語。
で、今回の映画化は1930年代だった原作の舞台を現代にうつしていて、全体に大胆なストーリー変更を施していました。そもそも原作では子供たちが自分たちで「飛ぶ教室」という劇を創作するのに、この映画では偶然発見した25年前の劇の台本ということになっています。さらにはそれをミュージカルアレンジし、全編ラップで上演するという始末。こうもり傘が風船になってるし、実業学校は自宅生になって、自宅生VS寮生になってるし、女の子出てくるし。そもそも主人公たちが12歳とかだし。原作に無いエピソードも満載で、割と話し事態は別物といっても良いかもしれませんがそれでもしっかりと「飛ぶ教室」という不思議なできあがりでした。
原作では美少年テオドールとして出てくる寮長がニキビを気にする3枚目リーダー少年として登場していたのが面白かったですね。あと、原作には無い設定で学校が合唱で有名な学校ということで合唱シーンがあったのも面白かったです。
ラップアレンジの「飛ぶ教室」ミュージカルシーンは個人的には結構好きでした。CG合成が強引でしたが、もっと長く見てたかったかな。
もっと内容的な感想。
設定を現代に持ってきたことでどうしても東西時代のドイツが問題として出てきましたね。ドイツの作品はこういう問題を含むので設定を現代に変えるだけで作品の奥行きっが一気に増すようなところがありますね。寮生って結局お金持ちの坊ちゃん集団という部分があるみたいで、通学生たちと着ている服も生活様式も、体力も、知識も違っていて、通学生たちがある種のコンプレックスを感じているというような姿が印象的でした。
最後のほうの展開がもはや「いまを生きる」そのものだと思っていたら、パンフに「いまを生きる」を意識したというようなことが書かれていました。机の上にも立ってたしね。
全体的に「あ~、子供時代っていいなぁ」って感じさせてくれる都会のスタンド・バイ・ミー的要素がつまっていて結構好きな映画でした。個人的にはエンドロールの音楽ところでミュージカルをフルで見せてもらいたかったです。
笑い話。
この映画には「正義先生」と「禁煙さん」というキャラが登場するのだが、映画を見る前に友人と原作のことを話していて、「あのキャラなんて言ったっけ?『げんこつ先生』と『パイプさん』だっけ?」と素で言ってしまいました。どちらも微妙にかすめてるけど全然違いますよね。映画見てるときにもこの発言を思い出して1人思い出し笑いでした。
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