« 「掌の中の小鳥」 加納朋子 | トップページ | 「チボー家の人々Ⅱ 少年園」 マルタン・デュ・ガール »

2004年2月 5日 (木)

映画「ドライビング・ミス・デイジー」 

ドライビングMissデイジー デラックス版

driving miss daisy

1989年

アメリカ

BSでアカデミー賞特集をやっていて、89年の作品賞をとった作品が放映されてました。この映画、気になってはいたのだが、「老婦人とその運転手の友情の物語」という説明を見て、勝手に食わず嫌いで敬遠してました。ところが、実際に見てみたらあっという間の1時間半。普段はビデオなのでテレビで放送されてる映画を真剣に見たのも久々。

ストーリーは上記のものが全て。1950年代~60年代くらいを舞台にして敬虔なユダヤ教徒の頑固な老婦人と彼女の運転手をすることになった初老の黒人男性の長きに渡る絆を描いた作品。小さなエピソードを積み重ねて丁寧に2人の関係を描いていました。

人種差別や、階級差別、宗教問題などもサラリと盛り込んでいるものの、あくまでもこの2人の絆がテーマなのでそれほど深入りはせず深刻な展開はありません。最高齢のアカデミー主演女優賞を受賞した主演のジェシカ・ダンディはもちろんこと、運転手を演じるモーガン・フリーマンがかなりいい味出してます。この役者さんやっぱり味がありますよね。あとは、老婦人の息子を演じるダン・エイクロイド(ゴーストバスターズでお馴染みの人)もかなりの熱演。脚本といい、役者といい素晴らしい作品でした。

車のシーンは後部座席の老婦人と運転手が斜めに座ってるのを正面から捉える映し方が多いのだが、運転手がいなくなり車内に1人残された老婦人を、正面からの構図で同じように捉えることで「ぽっかりと空いた空間」が強調され彼女の不安感を強調するような演出が憎いと思いました。あとは、2人が墓参りをする場面がかなりお気に入り。

でもこの映画の最大の魅力はなんといっても映像の美しさでしょう。冒頭から老婦人の庭の美しさに目を奪われますが、平原や満点の星空などさりげない映像がかなり美しいです。ストーリー自体淡々としていて飽きてもよさそうなのに、何故か引き込まれて最後まで見てしまう不思議な魅力を持った作品でした。もう1回見たいなぁ。

この年の作品賞って「いまを生きる」と「フィールド・オブ・ドリームス」がノミネートされてた年。受賞作のこの映画が割りと地味に歴史に埋もれつつあるのに対して、受賞を逃したこれらの2作品はどちらも名作としてよく知られてますよね。この年はかなりの大混戦だったんでしょうね。

|

« 「掌の中の小鳥」 加納朋子 | トップページ | 「チボー家の人々Ⅱ 少年園」 マルタン・デュ・ガール »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画「ドライビング・ミス・デイジー」 :

« 「掌の中の小鳥」 加納朋子 | トップページ | 「チボー家の人々Ⅱ 少年園」 マルタン・デュ・ガール »