映画「穴」
「穴」 2003年 アメリカ
この映画、いつになったら日本で公開するんだろうと思ってたら、先週ビデオレンタルがスタートしてしまいました。原作が日本でもそこそこ売れてたから絶対公開すると思ってたのになぁ。原作はアメリカで数々の児童文学の賞を受賞して、児童文学の枠を超えて大人でも十分に楽しむことができるストーリーで話題になっていたもの。映画は、ディズニーが製作して、監督は「逃亡者」の人で、製作は「サイダーハウスルール」の人、シガニー・ウィバーも出演というなかなかの豪華さでアメリカでは結構ヒットした作品です。
ストーリーは、代々呪われ続けていて運の無い家系に生まれた主人公が無実の罪で有罪になり、少年院に行く代わりに、砂漠でひたすら穴を掘り続けるという作業をするキャンプに送られるというもの。そこに、彼の呪われた家系のストーリーや、それとは全く関係のないストーリーが幾重にも挿入されて、そうした断片が折り重なることによって最後に1つにつながっていくというストーリーの展開がとにかく素晴らしい作品でした。恐らく原作で読んでたら、この見事さにもっと感動したに違いないです。「めぐりあう時間たち」も似たような手法をとってましたけど、スッキリと単純明快にまとめあげて、「なるほどねー、ここであれがつながるのねー」みたいな意外さではこっちのほうが上だと思います。本当に抜かりない構成でした。この映画、何で公開されなかったんだろう・・・。
ストーリーの面白さもさることながら、ひたすら穴を掘り続けるといったかなり不条理なテーマ(オースターの「偶然の音楽」のひたすら石を積み続けるっていうのを思い出した)や、犯罪を犯した少年の集まるキャンプを舞台に描かれる現代社会の縮図とも言えそうな不条理な人間、社会関係など風刺のきいているところも、「ハリー・ポッター」みたいな純粋な娯楽ファンタジー映画よりも深みがあったと思います。
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