「口笛吹いて」 重松清
「口笛吹いて」 文春文庫 重松清
文春文庫の今月の新刊から。重松は量産体制が続いてますねー。もう少しじっくりと練って書いたほうがいいのではと思うこともしばしばですが、ある一定の質を保って短編を書き続けることができる力量はルポライターだったという経験が効いているのかもしれませんね。今回も重松さんお得意の「家族」を主に扱った70ページほどの小編5つからなる短編集。今回の主なテーマは人生の「勝ち組」と「負け組」といったところでしょうか。どの物語も主人公たちは自分を「負け組」だと認識して、「勝ち組」にあこがれるような内容になっています。5つの作品の中では、少年時代の憧れだった近所のお兄さんが取引先の課長として現われるという第1話目が一番印象に残った。どの話も普通だったらきっと面白い部類なんだろうけど、重松氏にはもっと手ごたえのある作品を期待しているので、物足りなさが残る1冊でした。あと、子供たちの台詞に「マジ、ウザい」とかそういう最近の話し言葉が使われるんですけど、こういうのって文字化してしまうとかなり違和感感じますよね。作者の年齢から見た用法なので、若干の不自然さもありますし。まぁ、そんなことも気になりましたが、早く「流星ワゴン」が文庫化しないかなー。恐らく来年だろうなぁ。
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