映画「グッバイ・レーニン!」
「グッバイ・レーニン!」 2003年 ドイツ
恵比寿はいつもいい作品を揃えてますねー。冷戦時代の東ドイツ、父親が西側に行ってしまい、残された母親は、熱心な社会主義の信望者として生きる道を選んでいたが、壁の崩壊の直前に倒れてしまい、壁崩壊の事実を知らずに昏睡状態に陥ってしまう。やがて母親は目覚めるが、わずかなショックでも死に至る可能性があるということで、主人公は、壁崩壊の事実を母親に隠すことを決意して、すっかり資本主義が蔓延してしまった中で、必死に東時代の商品を偽造したり、架空のニュース番組を作ったりするという作品。ある意味、史上最大のマザコン映画なのかもしれない。
まぁ、「なんでばれないわけ?」っていう疑問は多少つきまといますけど、とても良くできた映画だと思いました。途中ちょっと中だるみな感じがあったり、早送りみたいな演出をやたらと多用するのが目に付いたりもしましたが、全体的にかなり好感。東西の統一というと、小学校のときにニュースで見て、その後、中学、高校でその歴史的な意義を学んだりしましたけど、我々にとっては遠い国のできごとという感じがあったのは否めません。統一によって東ドイツという国に何が起きたのかということが描かれ、その点で結構興味深いところがありました。資本主義が入ったことで、本当に一夜にして人々の生活が一変してしまったわけで、衣服や食品、文化などの表面的な面にはすぐに馴染めても、突如奪われた社会的な地位や価値観が慣れるのには時間がかかるんだろうなぁと感じました。日本から近い某国のこともチラリと頭に浮かんだり。同じニュースを流しても気づかないようなニュースとかね。
映画自体はコメディタッチのシーンも多くて、主人公の友達の映画を作る青年がかなりいい味を出してました。彼が自分で製作した映画を熱く語るシーンはかなり笑えたし。他にも、必死で隠そうとしているのにボロが出そうになるときなどのこういう映画ではお決まりの場面も、かなり面白くできてましたね。最後のニュースは圧巻でした。ところで、この映画、結局製作者の社会的な立場はどちらなのでしょう。上手いこと、捻じ込んで、主人公にとっての「理想の国家」という方向に話を持っていてましたけど・・・。
印象に残ったシーンは、巨大なレーニンの銅像がヘリでつるされて飛んでいくシーンと、主人公がとあるパーティー会場でテレビを見てるシーンです。特に前者は映画館ならではの訴えてくるものを感じました。あと、この映画、音楽が「アメリ」と同じ人で、似たような雰囲気の音楽が全編を通して流れてました。
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