「女であること」 川端康成
「女であること」 新潮文庫 川端康成
先日、某人から頂いた本。自分では絶対に買わないようなセレクションである。川端作品を読破したという彼のお墨付きらしい。内容は、多摩川沿いに住む弁護士の妻、大阪から彼女を慕って家出してきた娘、弁護士が担当している死刑囚の娘の3人の女性がメインになって展開。昔の恋人にどぎまぎしたり、後ろ髪を惹かれるようにして熱い恋愛に落ちたり、何故か同性愛的要素が現われたりで、タイトルどおりにとにかく揺れ動く女性の心理を描いていく作品。結構面白かったです。個人的には死刑囚の娘の突発的な行動が印象的。あと衝撃のラストだったね。「オイオイ」って感じです。全体に昼ドラっぽい感じで、読んでいても、ドラマを見ているような感じでスイスイと読み進めることができました。ちょっと向田邦子とかっぽい。ノーベル賞作家ということもあって人間観察も深いし。時代が時代だから仕方ないのかもしれないけど、女性に対する見方が現代から見たらちょっと蔑視的な部分もありますけどね。あと、実在する地名や、場所が豊富に出てくるので、昭和初期の東京の姿をうかがうことが出来るという点ではかなり面白い。実は某人のオススメ本は2冊目です。前は谷崎の「猫と庄三と~」でした。彼は日常を感じることの出来るような会話が生き生きした作品がすきなのかもしれませんね。
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