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2004年7月13日 (火)

「エイジ」 重松清

「エイジ」 重松清 朝日文庫

この本、先日、新潮文庫からも出たんですけど、天邪鬼な僕は古くから出ているほうを買って読みました。内容は全く同じで、今回、新潮から出たのは、作者がもう1つの代表作「ナイフ」と並べて書店において欲しいと希望したことによるみたいですね。

山本周五郎賞を受賞した作品である「エイジ」なんですが、ストーリーは、とあるニュータウンに住む14歳の中学生が主人公。膝を故障して部活を休部中、部活の仲間の親友とはちょっと疎遠になってたり、仲良し家族だったり、初恋したりとごく普通の中学生活を過ごしている。そんな彼の過ごす町で通り魔事件が頻発しているのだが、ある日、通り魔逮捕のニュースが飛び込んでくる。そして、それはクラスメートだった。というお話。98年に朝日新聞に連載された作品のようで、当時の世相がよく現われています。中学生の犯罪は明らかに97年の神戸の事件を連想させます。主人公は僕より3~4歳くらい下の世代ということになります。

少年犯罪は今でも新聞紙面でたびたび目にしますし、そういうことを扱った本も結構ありますけど、この本で描かれているのは、「クラスメートが凶悪事件を起こしたら?」ということです。自分は彼が事件を起こした理由など理解できないと言い切っていた主人公も、思春期特有の様々なことを経験するうちに、その価値観が揺らいでくる。そういう様子をかなりリアルに描いている作品でした。また主人公の周囲の友人たちや家族の描き方も秀逸。一番心に残ったのは自転車カバーのくだりですかね。重松作品は結構読んできましたが、かなり上位に食い込む作品だと思います。新聞連載とは思えない暗いテーマともいえるんですけど、読後の印象は極めて爽やか。著者の年齢的に極自然な会話調として出てくる中学生言葉「マジで」とかの用法が現役に近いものとしてはちょっと不自然な気がするところもありますけど、作品としては読んで損のない1冊だと思いますよ。

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