「青いバラ」 最相葉月
「青いバラ」 最相葉月 新潮文庫
作者はベストセラー「絶対音感」を書いた人です。徹底した調査に基づいて、バラ(とりわけ青の)が説話や小説の題材としていかに扱われてきたか、品種改良の歴史、日本におけるバラ園芸の歴史などをかなり詳細に書いています。タイトルは「青いバラ」ですけど、半分くらいはバラ一般のことを書いているといってもいいでしょう。バラのこととか全然知らなかったので、「へぇ」の連続でした。また、「青いバラ」が英語で「不可能」を意味するようになるにはそれだけ多くの人が挑戦し続けてきたという背景があるわけで、そういうドラマを割りと淡々と冷静に見つめている点が面白いと思いました。こういう本っていくらでもドラマチックにかけますからね。
本の中にうちの近所にあるバラ園が登場するんですけど、このバラ園、かなり権威があるというか、日本でも屈指のバラ園だったようで、「青いバラ」は作るのが困難だとかそんな話よりも、地元のバラ園の偉大さを知ったことのほうがインパクトがありました。今度行ってみようかな。ちなみにこの本、見てみたら装丁がクラフト・エヴィング商会でした。いろいろな仕事してるんですねー。
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