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2004年8月

2004年8月31日 (火)

「ぶらんこ乗り」 いしいしんじ

「ぶらんこ乗り」 いしいしんじ 新潮文庫

先月の新刊。もともとは児童文学のカテゴリだと思われる作品ですけど、内容はかなり大人向けというか、子供には理解が難しいと思われます。現在は高校生である私が、今亡き弟のことを回想するという形式を取ってます。で、天才的な弟(飛び級とかするし)はいつもノートにお話を作っては姉に見せていたのだが、ある日、彼は事故で声を失ってしまう。そして、その代わりに動物の話を聞くことができるようになり、ノートに動物達からきいた話を必死に書きとめていく。そんな姉と弟の下にある日、両親の飛行機事故の知らせが入り・・・。というお話。なんだかこれだけ書くとかなり悲しいですけど、お話は前半は姉と弟のほのぼの交遊録みたいな色彩が強いし、本の大半は弟の創作する物語で構成されています。

弟の書く話は天才という設定の割りに、幼い子が書くということで全部ひらがな。多少読みにくいんですけど、この中にいくつか良いお話がちりばめられています。とりわけサーカスの空中ブランコをする夫婦を描いた小話が珠玉のできて、その部分を読み終わったあとには数ページながらも、大長編に勝ると劣らない感動を覚えました。しかーし、恐らく、作者もこの小話のできのよさに気をよくしたのでしょう、物語中、何度も引用として出てくるんですよ。これはさすがにクドイ。しかも文庫の帯もここの引用。そんな点がかなり残念でした。

あとは、高校生という「私」の書いている文があまりにも幼い。児童文学ということで言葉を選んで書いているからなのかもしれないけど、ちょっと気になる。お話としては本当に素敵という形容詞が良く似合う内容だし、後半部は感動も呼ぶし、なにより、空中ブランコの部部だけで十分元は取れる本ではありますが、ところどころ気になってしまったのでした。

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2004年8月30日 (月)

映画「きょうでのできごと」 

「きょうでのできごと」 2003年 日本

傑作!なんでか分からないけどすごく充実した気分になれます。

この映画大好きです。原作の小説もとてもよかったんですけど、その雰囲気を全く壊さずに映画化しています。これは奇跡的ではないでしょうか。メインのストーリーは小説と同じで、友人の大学院進学&京都への引越し祝いをするために集まった仲間達の1日のできごとを描いています。メインは夜の友人宅での飲み会。ストーリーは本当に他愛も無い日常を描くだけ。大きな事件もないし、主人公達も数年後にはこの日の思い出すら忘れてしまっているかもしれません。で、そんな物語を、これといった主人公を決めるわけではなく、それぞれのキャラを均等に描いた群像劇に仕上がっています。小説では、7人の仲間のうちの5人の視点それぞれから描いた連作短編の形をとっていましたが、この映画では、第3者的な視点を持って描いているので、小説のときとはまた違った客観的な描き方になっています。それでいて、一人一人にドラマを与えている仕上がり方がかなり秀逸。

そして、小説には無かった、海岸に打ち上げられた鯨、壁に挟まれて動けなくなった男の2つのエピソードが映画には挿入されています。この2つのエピソードはメインの飲み会エピソードの中でテレビのニュースとして出てきたり、会話の中で出てきたりするんですけど、一部では大きなニュースであっても、彼らの中では単なる会話のネタの一部にすぎないような演出の仕方に好感が持てました。妻夫木、田中麗奈となかなかの売れっ子さんも出てるんですけど、注目すべきは10分くらいしか出ない池脇さんです。本当に少ない出演なのに、とても印象に残る演技。上手ですねー。出てくる若手の俳優さん達がみんな自然な演技で、本当に「普通っぽい」のも良いです。妻夫木、田中は自分と同じ歳だし、劇中の登場人物たちも、同級生が大学6年とか言ってるし、僕と同じ歳の設定なんですよね。そんな点も共感できる要素が多い1つだったのかもしれません。

本当に「何も起きない」映画で、日記みたいな感じなんですけど、妙に心に残るし、最後まで飽きることなく一気に見せる映画でした。見終わった後の感覚が、主人公達みたいに徹夜で飲んだりした帰りの明け方に家に向かって歩いてるような、「楽しかったな~」とか漠然と思いながら、新鮮な空気を吸うようなあの何ともいえない感じに良く似ています。ただ不満な点もありまして、「きょうのできごと」のパートは本当に面白いし、大好きでしたが、最後の数分の「あしたのできごと」が描かれるシーンは個人的には余分ではないかと思いました。他に見た人いれば、その点どう思うかきいてみたいものです。

映画を見終わってから、本をパラパラと読み返したのですが、また新しい発見がいっぱいありました。映画は台詞もそのままだし、かなり忠実な映画化だというのを再認識。そして、「寝顔が可愛い」といわれた子が車の中でわざと寝たふりをしているのが小説のときは気づかない部分でした。映画と小説の相乗効果で理解が深まったよ。そして、やっぱり、映画も小説も面白い。

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2004年8月26日 (木)

ブロードウェー・ミュージカル「キャバレー」 @国際フォーラム

ブロードウェー・ミュージカル「キャバレー」 @国際フォーラム

72年に映画化もされてアカデミー賞で8部門を獲得した舞台のリメイク版の来日公演。ミュージカルのアカデミー賞にあたるトニー賞も4部門受賞してます。このミュージカルの最大のウリは演出が、劇の部分は映画「アメリカン・ビューティー」の監督の方、歌&ダンスの部分が映画「シカゴ」の監督の方が手がけているという点。豪華すぎるよ。

ストーリーは映画版とはかなり異なっていました。登場人物がそもそも違うし。映画はボブ・フォッシーが映画には映画に合った脚本をということで大きく変更したみたいですね。舞台版のストーリーは、1930年代のベルリンが舞台で、主人公はアメリカからベルリンにやってきた作家。彼は汽車で出会ったナチ党員の青年の紹介で下宿を見つけ、ベルリンのとあるキャバレーに通うようになる。主人公はそのキャバレーの歌手兼ダンサーの女性と恋に落ちて、やがてキャバレーをクビになった彼女と暮らし始めることに。この2人の物語と平行して下宿の女主人と近所の果物屋さんのおじいさんとの老年カップルのロマンスが描かれる。時代背景は、次第に第2次大戦モードになり、結婚を考え始めた老年カップルのロマンスにユダヤ人問題という壁が立ちはだかる。物語はユダヤ人問題が登場するあたりから暗いムードを帯はじめて、最後は全くハッピーエンドではないくらい結末というお話。今回の舞台のオリジナルというラストもかなり鬱なものでしたし。映画版では結ばれるカップルもいたのにねぇ・・・。

ストーリーは違うものの、音楽は映画と同じなので予習していった甲斐は十分ありました。このミュージカル、確かに登場人物が歌う場面もいくつかあるんですけど、ほとんどの歌がキャバレーの舞台で歌われているという設定になっています。そもそも会場全体をキャバレーに見立てていて、観客はキャバレーのお客さんという設定の演出。物語も大道具とかは全く無くて、キャバレーの舞台の上にある椅子とかの配置を変えることで「汽車の中」とか「部屋の中」とかを表現。そしてキャバレーのショーの司会を務めるMCが「神の視点」を担っていて、舞台上で行われる劇を終始見つめているという作り。ミュージカルシーンは「キャバレーのショー」ということなので、本当に映画「シカゴ」と同じ演出をとっているんですね。物語のストーリーに沿ったショーが歌い踊られるわけです。今日の演出を見て、「シカゴ」の世界観をはっきりと認識できたように思いました。

映画「シカゴ」と違う点は、ショーの場面では歌うのが当の本人たちではなくて、キャバレーダンサーズ&MCという点。こうすることで、劇の部分とキャバレーでのショー部分がはっきりと区別されていました。で、舞台全体が2階建てになっていて、下のスペースでメインの劇が行われてて、上のスペースで楽団の生の演奏&ダンサーとかMCとかが劇を見下ろしているという構成。各自が勝手にセクシーポーズとったり、タバコすったり、出たり入ったりしてて、ストーリーが進んでいる舞台の下半分のスペースも重要だけど、彼らの動きを見ているだけでもかなり面白い。見るべき場所が多すぎるよ・・・。その点、全体が見渡せる2階席で良かった。さらにダンサーの人々、全員が楽団と兼任。ショーの場面で歌い踊っている人々が別の場面では楽団として演奏してるんですよ。1人でいくつの芸ができるんだ!!さすが、ブロードウェー!

かなり猥雑な部分が強調された演出で(こういうところも「シカゴ」と同じですね)、同性愛的要素もかなり強いんですけど、そういうところも1つの見所。ダンスとかも素晴らしいですし、歌も良いし、演出がまさに「シカゴ」だし、照明のライティングとかも本当によくできてるし、英語も聞き取りやすくて電光字幕をほとんど見なくてすんだし、何より、「会場全体がキャバレー」という作り方の徹底振りがお気に入りでした。だって、いきなり客席のお客さんにネタ振ったりするんですよ。完璧なるエンター・テイメントにただただ脱帽ですよ。ネオンライトも素敵だったし。映画「シカゴ」の大ファンとしては、その姉妹編(作詞、作曲も同じ)ともいえる舞台を生で見られて今年の夏は十分堪能したのでした。あ、このミュージカルで一番好きだったのは「パイナップルの歌」(正式タイトルではないですけど)だったことを加えておきましょう

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2004年8月24日 (火)

「メダラ」 ビョーク

「メダラ」 ビョーク

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や今回のオリンピックの開会式で有名な彼女ですが、今作は「楽器を使わない」というかなり実験的要素の強いコンセプトになっています。「ダンサー~」とかでもいいから一度でも彼女の歌を聴いたことある人は、ビョークの音楽とアカペラを頭の中で結びつけるのは結構困難なハズ。力強いけど細い声ですし。で、いざ聞いてみると、ヒューマン・ビート・ボックス(所謂ボイパ)を使ってるのでドラムとか「ジュクジュク」したよう音に関しては、普通の楽器を使ってるのと変わらない印象です。それよりも何よりもすごいのは、バックの音が普通に合唱っぽいところです。なんか、宗教曲なんかの勢いの荘厳ささえ感じられるアカペラコーラスとビョークの競演。背筋がゾクゾクするような感覚を覚えるCDってそんなにあるものではないと思いますが、これはまさにそういう1枚です!!あとは、1トラックまるまる彼女1人のソロのみとかもあってかなり内容の濃い1枚でした。かなり買いかと思いますよ。まぁ、かなりクセのある音楽なのは相変わらずなので苦手な人も多いとは思いますけどね。

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2004年8月23日 (月)

「香水 ある人殺しの物語」 パトリック・ジュースキン

「香水 ある人殺しの物語」 パトリック・ジュースキン 文春文庫

ドイツ人の作者による18世紀フランスを舞台にした小説。とにかく奇想天外なお話です。主人公は、生まれつき、絶対音感ならぬ、絶対嗅覚のようなものを持っていて、視覚などではなく、嗅覚を用いて世界の全てを知覚している(別に目が見えないわけではないのだが)という設定。貧しい生まれで、様々なところを点々とする人生だったのだが、あるとき彼は香水の調合に出会い、その世界にはまり込む。彼の超人的な嗅覚は、臭いを嗅いだだけで、その成分を分解することも可能で、やがて彼はどんな香りの香水でも作れるようになっていく。彼は自らの体臭が全く無いのを利用し、「体臭」を人工的に作ることさえしてしまうのだが、彼の香水作りの究極の目的は、自らを恍惚とさせる香りを作り出すこと。そして彼は処女の体臭に我を忘れるような感覚を覚え・・・。というお話。

主人公は犯罪者なんですけど、ただひたすら「臭い」をだけを追い求める彼の人生は、「社会性」などというものを学ぶに到底及ばない生い立ちもあり、純粋に臭いの追求し、その結果として犯罪が起こるわけです。とても孤独な主人公のお話。そして想像を絶する衝撃のラスト!!ドイツの人の小説って割りと理性的な文章なのに、想像力ははてしないものがあるように思います。独特(まさにドイツ特有)の世界観を作ってますよね。

「臭い」というターゲットが目新しいのでそれだけでも楽しめるんですけど、各所に散らばっている香水作りの薀蓄がなかなか面白い1冊でもあります。ストーリーとかもかなり面白いし、何より、サイドノキャラクター1人1人に物語を与えているし、18世紀ヨーロッパの世界観も好きなんですけど、個人的には翻訳があまり好きじゃなかったのでそこだけが欠点でした。それを上回る面白さがあったので最後まで読めましたけど。

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2004年8月18日 (水)

「素晴らしい世界 全2巻」 浅野いにお

「素晴らしい世界 全2巻」 小学館 浅野いにお

とても文学的な漫画。小学生~中年まで様々な年代(10~20代くらいが一番メインですが)の主人公の日常をつづった連作短編集です。どの主人公も「現代的」と称されそうな感覚を持って、周囲の環境のみならず自分や人生そのものとさえも距離を置いて生きていて、そんな彼らの日常の1コマを切り取っているんですけど、非現実的なできごとも起こるものの、極めて自然な空気が流れている作品なのですよ。小説でいうと「きょうのできごと」(柴崎友香)とか「パークライフ」(吉田修一)の空気にかなり近いのではないでしょうか。決して明るい話ではないのに読後感はかなり爽やかなシリーズ。20代くらいの人全てに読んで欲しい感じですよ。割と傑作だと思われます。しかも作者は僕と同じ歳みたいですね。絵も上手いし、構成もいいし、とにかく間の取りかたが上手いし、なかなかの実力者ですよ。

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2004年8月15日 (日)

映画「理想の結婚」

「理想の結婚」 1999年 イギリス

そんなイギリス好きな僕ですが、今日は、とりわけ好きな19世紀ロンドンが舞台の映画を見ました。原作はオスカー・ワイルドの戯曲ということで、映画なんですけど、会話がメインだし、全体のストーリー展開も「あ~、舞台作品っぽいなぁ」という感じでした。ストーリーは、19世紀末ロンドン社交界を舞台に、プレイボーイ公爵が主人公となって、彼の親友の政治家夫婦と、主人公が思いをよせる親友の妹、そして、彼らの過去を知るウィーンからやってくる魔性の夫人の5人を中心に展開。 魔性の夫人が過去のできごとをネタに政治家を脅し、イギリス議会で運河の建設に賛同するようなスピーチをするように仕向けて、それを知った主人公が彼を助けるというプロットと重なって、主人公自身の恋物語も描かれます。とにかく人の世話ばかりを焼く主人公がいい味を出してました。やはりイギリスはシェイクスピアの国だけあって、こういう人間関係ぐちゃぐちゃ喜劇を作るのが上手ですよね。非常に面白かったです。ただ、時代的な背景上仕方ないかもしれませんけど、最終的に行き着くところはかなり男性中心な結論でしたね。

最終的には喜劇であるこの映画。元が舞台作品ならではのネタも豊富でかなり「粋」な作品です。根底には「階級問題」とかしっかりとしたテーマも見え隠れしてるし。結局上流階級の人々とは言え、色々な出身の人が居るわけで、成功者とは言えそれに負い目を感じてる人もいっぱいいるというのが問題なんですよね。あと、この映画、俳優さんたちがまた素敵でした。とりわけ、魔性の女を演じるジュリアン・ムーア(「エデンより彼方に」「めぐりあう時間たち」とか)、真面目でお嬢様タイプの政治家の妻を演じるケイト・ブランシェット(「エリザベス」とか)、頭の回転の速い主人公の思い人を演じるミニー・ドライヴァー(「グッド・ウィルハンティング」とか)の女優さん3人の演技が際立ってます。特にジュリアン・ムーアとか見てるだけでムカムカするような役柄を貫禄たっぷりに演じてました。また好きなイギリス映画が増えてしまったではないですか・・・。

あ、イギリス好きとかじゃなくても普通に面白い映画なので、是非見てみてください。爽やかなラストだし、とにかくストーリーの運びや脚本が上手いし、出てる人の演技も素晴らしいし、セットや衣装も豪華だし。

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2004年8月12日 (木)

映画「モナリザ・スマイル」 

「モナリザ・スマイル」 2003年 アメリカ

宣伝などを見てて「いまを生きる」っぽいなぁと思いつつ、「いまを生きる」は好きな映画だし、ジュリア・ロバーツだしということで見に行ってきました。前日に見たという母によって、見る前にストーリーの核心を語られてしまうアクシデントもありましたがけど・・・。ストーリーは全米で最も優秀な女学生が集まる名門女子大が舞台。優秀で進歩的な生徒達が集まっていることを期待して、この大学に赴任した美術教師が主人公。そこは成績優秀な学生が集まる進歩的な大学である一方で、当時のアメリカ(1950年代)で広まっていた「良妻賢母が女性の幸せ」という保守的な考えが最も浸透している大学でもあったらしく、主人公の教師はそこで様々な壁にぶつかるわけです。どんなに優秀な成績を修めていても、「結婚して家を守る」ことが重視されて、社会進出などはもってのほかという中で、自身は結婚せずに教師をしている主人公は、もっと自由に生きることを主張しようとし、大学の運営組織や、生徒達、同窓会組織などから睨まれてしまうというお話。「モナリザ」の笑顔は果たして本当に心から笑っているものなのか?(=女性の幸せとは何か)がテーマ。

生徒達は個性豊かで、女子大ということもあって、主人公を含めて恋愛がらみのエピソードも多いんですけど、それぞれが各生徒のキャラをよく押さえていてなかなかよくできていると思いました。主人公を敵視しているクラスのリーダー格の生徒(学生結婚する)、本当は法律を学びたい生徒、自分に自身がないチェロ弾き生徒、自由に男性と付き合う生徒、そして自分自身悩み戸惑う主人公の教師となかなか盛りだくさんな内容で消化不良的な部分も残る映画ではありますが僕はそこそこ好きな作品でした。「いまを生きる」と5割くらいは内容が被ってる気もしますけど(そして「いまを生きる」の方がダントツに好きですけど)。同じ年代で「良妻賢母」を演じている女性を描いた「エデンより彼方に」とかとも見比べてみたい作品です。

これはどうやらヒラリーさんの自伝に触発されて作られたという映画らしいですね。舞台になってる大学が彼女の出身大学で、全米1保守の大学が大統領に最も近い女性を輩出するようになった背景を描きたかったようです。映画の中では「良妻賢母であること」と「自分の本当にしたいこと」のどちらを選択するのが幸せなのかという問いには曖昧な立場をとっているので、結局、主題が不明瞭な印象もありました。あとは、今の時代に何故この映画?というのもちょっと感じます。良い映画なのは確かですが。一番ラストの...(ネタバレなので、読みたい人は反転させてね。)ジュリア・ロバーツの笑顔と笑い声はほんの一瞬だけど、かなり印象に残りました。やはり「自分らしく生きる」のが幸せだということです(と僕は解釈)。その直後のクレジットでは、50年代のミスコンでは審査内容に家事をすることがあったとか、当時のCMに執拗に登場する良妻賢母像などをひたすら映すことで映画を終わらせていました。かなり皮肉なラストともとれますよね。このラストが胸にひっかかるんですよね。誰か解釈してくださいな。

この映画の魅力は出演してる女優たちの素晴らしさにつきますね。生徒達が特に印象的です。悪役風のクラスのリーダーは「スパイダー・マン」のヒロインの女優さん。パンフで知ったんですけど、彼女って「インタヴュー・ウィズ・バンパイア」の女の子だったんですね。あの映画では主役2人よりも女の子が一番印象的だったんですけど、全然知りませんでしたよ。これって常識だったのかしら??あと、イーサン・ホークの「ハムレット」とかオセローの現代アレンジの「O(オー)」とかのシェイクスピア系でヒロインをやってる女優さん(ジュリア・スタイルズ)がいいですねー。彼女のエピソードが一番好きでした☆ちなみに監督さんは「フォー・ウェディング」とかで有名なイギリス人。イギリスの女優さんも出ててイギリス映画ファンとしてはちょっと嬉しい。

最後にこの映画で最も印象に残ったこと。①イスタンブールの歌。(これ聞くためだけにサントラ欲しいくらいにハマッた)②ダンスパーティで一学生とは思えないような技を披露しているペア。映画館中の人が「おぉ」っと声をもらしてたよ。しかも脇役と思われる。

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2004年8月10日 (火)

「バッテリーⅡ」 あさのあつこ

「バッテリーⅡ」 角川文庫 あさのあつこ

結構前に読み終わってたのにレビューするの忘れてました。春ごろにパート1が出たシリーズの第2弾。児童文学界を騒がせた名作シリーズです。天才野球少年が主人公のシリーズなんですけど、前作では彼が転校してきて中学に入る前の春休みが描かれていました。今回は、彼が中学に入学して野球部に入るまでを描いています。魅力あるキャラクターが多く登場して物語の深みも増したのではないでしょうか。続編とは言え、新登場のキャラも多くてなかなか楽しめました。これでキャラが出揃ったので、3巻以降で作品の評価が決まってくるのかもしれません。孤高の天才ピッチャーの主人公が今回も良い味出しています。どんなに努力しても手に入らないような天才的な才能を持った人というのはいるもので、本人も自分の才能を信じているのですが、野球というのはどんなに1人が天才でも勝てるスポーツではないわけでして、それだからこそ起こる主人公をめぐる様々なできごとがドラマを生みます。ありきたりかもしれないし、文章も決して上手くないし、全く共感できない主人公なんですけど、何故か読ませる不思議な魅力のある作品です。一度読んでみて損はないシリーズではないでしょうか。

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2004年8月 3日 (火)

映画「逢いたくて」 

「逢いたくて」 2002年 フランス

60歳になったカトリーヌ・ドヌーヴ主演の大人のラブストーリー。フランス映画界最高の美女などと呼ばれている彼女ですが、この映画は「彼女のために作った」と監督が言っているように、彼女の登場しないシーンは皆無に等しくて、ドヌーヴのプロモーションみたいな感じです。ストーリーは、かつて好きだった人を忘れられない独身キャリアウーマンのドヌーヴが主人公。彼女は台詞を覚えてしまうくらいに映画「めぐり逢い」にはまっているのだが、そんな彼女の元に、その想い人から「エンパイアーステートビルで待ってます」という手紙が。そして、彼への思いを募らせて仕事ついでにNYに向かう彼女。だが、NYで出会ったカメラマンが気になり・・・。という、典型的なフランス恋愛映画ですね。♪揺れ~る~想~い♪みたいな。印象に残ったのは心の恋人からの手紙に悶える場面ですかね。迫真の演技でした。それにしても、フランス映画、今回も後味がスッキリしない感じでした。「?」というところで終わってしまうんですよね。

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