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2004年8月30日 (月)

映画「きょうでのできごと」 

「きょうでのできごと」 2003年 日本

傑作!なんでか分からないけどすごく充実した気分になれます。

この映画大好きです。原作の小説もとてもよかったんですけど、その雰囲気を全く壊さずに映画化しています。これは奇跡的ではないでしょうか。メインのストーリーは小説と同じで、友人の大学院進学&京都への引越し祝いをするために集まった仲間達の1日のできごとを描いています。メインは夜の友人宅での飲み会。ストーリーは本当に他愛も無い日常を描くだけ。大きな事件もないし、主人公達も数年後にはこの日の思い出すら忘れてしまっているかもしれません。で、そんな物語を、これといった主人公を決めるわけではなく、それぞれのキャラを均等に描いた群像劇に仕上がっています。小説では、7人の仲間のうちの5人の視点それぞれから描いた連作短編の形をとっていましたが、この映画では、第3者的な視点を持って描いているので、小説のときとはまた違った客観的な描き方になっています。それでいて、一人一人にドラマを与えている仕上がり方がかなり秀逸。

そして、小説には無かった、海岸に打ち上げられた鯨、壁に挟まれて動けなくなった男の2つのエピソードが映画には挿入されています。この2つのエピソードはメインの飲み会エピソードの中でテレビのニュースとして出てきたり、会話の中で出てきたりするんですけど、一部では大きなニュースであっても、彼らの中では単なる会話のネタの一部にすぎないような演出の仕方に好感が持てました。妻夫木、田中麗奈となかなかの売れっ子さんも出てるんですけど、注目すべきは10分くらいしか出ない池脇さんです。本当に少ない出演なのに、とても印象に残る演技。上手ですねー。出てくる若手の俳優さん達がみんな自然な演技で、本当に「普通っぽい」のも良いです。妻夫木、田中は自分と同じ歳だし、劇中の登場人物たちも、同級生が大学6年とか言ってるし、僕と同じ歳の設定なんですよね。そんな点も共感できる要素が多い1つだったのかもしれません。

本当に「何も起きない」映画で、日記みたいな感じなんですけど、妙に心に残るし、最後まで飽きることなく一気に見せる映画でした。見終わった後の感覚が、主人公達みたいに徹夜で飲んだりした帰りの明け方に家に向かって歩いてるような、「楽しかったな~」とか漠然と思いながら、新鮮な空気を吸うようなあの何ともいえない感じに良く似ています。ただ不満な点もありまして、「きょうのできごと」のパートは本当に面白いし、大好きでしたが、最後の数分の「あしたのできごと」が描かれるシーンは個人的には余分ではないかと思いました。他に見た人いれば、その点どう思うかきいてみたいものです。

映画を見終わってから、本をパラパラと読み返したのですが、また新しい発見がいっぱいありました。映画は台詞もそのままだし、かなり忠実な映画化だというのを再認識。そして、「寝顔が可愛い」といわれた子が車の中でわざと寝たふりをしているのが小説のときは気づかない部分でした。映画と小説の相乗効果で理解が深まったよ。そして、やっぱり、映画も小説も面白い。

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