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2004年8月26日 (木)

ブロードウェー・ミュージカル「キャバレー」 @国際フォーラム

ブロードウェー・ミュージカル「キャバレー」 @国際フォーラム

72年に映画化もされてアカデミー賞で8部門を獲得した舞台のリメイク版の来日公演。ミュージカルのアカデミー賞にあたるトニー賞も4部門受賞してます。このミュージカルの最大のウリは演出が、劇の部分は映画「アメリカン・ビューティー」の監督の方、歌&ダンスの部分が映画「シカゴ」の監督の方が手がけているという点。豪華すぎるよ。

ストーリーは映画版とはかなり異なっていました。登場人物がそもそも違うし。映画はボブ・フォッシーが映画には映画に合った脚本をということで大きく変更したみたいですね。舞台版のストーリーは、1930年代のベルリンが舞台で、主人公はアメリカからベルリンにやってきた作家。彼は汽車で出会ったナチ党員の青年の紹介で下宿を見つけ、ベルリンのとあるキャバレーに通うようになる。主人公はそのキャバレーの歌手兼ダンサーの女性と恋に落ちて、やがてキャバレーをクビになった彼女と暮らし始めることに。この2人の物語と平行して下宿の女主人と近所の果物屋さんのおじいさんとの老年カップルのロマンスが描かれる。時代背景は、次第に第2次大戦モードになり、結婚を考え始めた老年カップルのロマンスにユダヤ人問題という壁が立ちはだかる。物語はユダヤ人問題が登場するあたりから暗いムードを帯はじめて、最後は全くハッピーエンドではないくらい結末というお話。今回の舞台のオリジナルというラストもかなり鬱なものでしたし。映画版では結ばれるカップルもいたのにねぇ・・・。

ストーリーは違うものの、音楽は映画と同じなので予習していった甲斐は十分ありました。このミュージカル、確かに登場人物が歌う場面もいくつかあるんですけど、ほとんどの歌がキャバレーの舞台で歌われているという設定になっています。そもそも会場全体をキャバレーに見立てていて、観客はキャバレーのお客さんという設定の演出。物語も大道具とかは全く無くて、キャバレーの舞台の上にある椅子とかの配置を変えることで「汽車の中」とか「部屋の中」とかを表現。そしてキャバレーのショーの司会を務めるMCが「神の視点」を担っていて、舞台上で行われる劇を終始見つめているという作り。ミュージカルシーンは「キャバレーのショー」ということなので、本当に映画「シカゴ」と同じ演出をとっているんですね。物語のストーリーに沿ったショーが歌い踊られるわけです。今日の演出を見て、「シカゴ」の世界観をはっきりと認識できたように思いました。

映画「シカゴ」と違う点は、ショーの場面では歌うのが当の本人たちではなくて、キャバレーダンサーズ&MCという点。こうすることで、劇の部分とキャバレーでのショー部分がはっきりと区別されていました。で、舞台全体が2階建てになっていて、下のスペースでメインの劇が行われてて、上のスペースで楽団の生の演奏&ダンサーとかMCとかが劇を見下ろしているという構成。各自が勝手にセクシーポーズとったり、タバコすったり、出たり入ったりしてて、ストーリーが進んでいる舞台の下半分のスペースも重要だけど、彼らの動きを見ているだけでもかなり面白い。見るべき場所が多すぎるよ・・・。その点、全体が見渡せる2階席で良かった。さらにダンサーの人々、全員が楽団と兼任。ショーの場面で歌い踊っている人々が別の場面では楽団として演奏してるんですよ。1人でいくつの芸ができるんだ!!さすが、ブロードウェー!

かなり猥雑な部分が強調された演出で(こういうところも「シカゴ」と同じですね)、同性愛的要素もかなり強いんですけど、そういうところも1つの見所。ダンスとかも素晴らしいですし、歌も良いし、演出がまさに「シカゴ」だし、照明のライティングとかも本当によくできてるし、英語も聞き取りやすくて電光字幕をほとんど見なくてすんだし、何より、「会場全体がキャバレー」という作り方の徹底振りがお気に入りでした。だって、いきなり客席のお客さんにネタ振ったりするんですよ。完璧なるエンター・テイメントにただただ脱帽ですよ。ネオンライトも素敵だったし。映画「シカゴ」の大ファンとしては、その姉妹編(作詞、作曲も同じ)ともいえる舞台を生で見られて今年の夏は十分堪能したのでした。あ、このミュージカルで一番好きだったのは「パイナップルの歌」(正式タイトルではないですけど)だったことを加えておきましょう

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