映画「エーミールと探偵たち」
「エーミールと探偵たち」 2001年 ドイツ
ケストナーの同タイトルの小説が原作の映画。「点子ちゃんとアントン」(傑作です!!!)、「飛ぶ教室」と同じ制作チームが作った現代版ケストナーシリーズの1つです。「点子~」「飛ぶ~」が割りとポピュラーなのに対して、映画版「エーミール」はかなりマイナーですよね。ずっと見たかったのをついに見ることができました。
ストーリーは原作70%、オリジナル30%といったところでしょうか。両親が離婚して父と2人で暮らしているエーミール。ある日父が事故にあってしまい、入院してしまう。父が退院するまでベルリンに住む牧師の女性のもとに預けられることになったエーミールは田舎の町から電車にのってベルリンへ。しかし、その車内で彼は持っていたお金を盗まれてしまい、その犯人を追うことに。ベルリンの街で知り合った子供達とともに、犯人の大追跡が始まるというお話。親が離婚して父親と一緒とか、ベルリンの牧師の家に行くとか、子供探偵団のリーダーが少女(原作ではいとこという設定の少女で探偵団とは関係ない)とか、犯人が山高帽を被ってないとか色々と原作と異なる点も多いんですけど、原作のメインのストーリーを生かしつつ現代アレンジしているのは「飛ぶ~」や「点子~」と同じ。
この映画、クライマックスでは800人の子供達が犯人を取り囲むというなかなか迫力のある映像が待っています。子供達だけで探偵になって犯人を追うとか、現実ではあり得ないファンタジーだと非難する人もいるかもしれません。この点はインタビューで監督さんも認めています。しかし、監督さんは、このような大冒険は子供の夢であり、それを映像化するのは意味のあることと続けます。ケストナー自身も、こうした物語を通して一番伝えたいことは子供のときのこの気持ちをいつまでも忘れないでいて欲しいといようなことを訴えたいと何かの序文で書いてたように記憶しています。とにかく子供視点を大切にしてるので、環境の変わった現代では現代ならではの子供アレンジをしなくてはならないのも当然。いまや若いヨーロッパっ子といえばラップ好きなので、当然ラップを歌いながら自己紹介なわけです。これに関しては「飛ぶ教室」とか「セザール」とかでもう慣れてしまったよ。家では家族の不仲とか問題があって、友達みんなで秘密基地に集まって探偵ごっこして、でもやっぱり家族が大切で、っていうそんな思いを優しく映画化してました。
でもやっぱり、探偵ごっことかは常識を逸脱している感が否めないんですよね。原作は今読んでも楽しいんだけど、こうして映像化すると割りと派手な子供達の探偵っぷりが気になってしまいました。あと最大の不満は、原作で一番好きな、物語が始まる前の10枚のイラストとその解説がなかったこと。あれをそのまま映画でも使って欲しかったかも。でもこの映画、結構好きです。「点子ちゃんとアントン」には負けますけど。「点子~」、「飛ぶ~」を見た人、是非これも見てください。ところで原作どおりに続編も作られるんですかね。
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