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2004年12月

2004年12月31日 (金)

映画「デイ・アフター・トゥモロー」

「デイ・アフター・トゥモロー」 2003年 アメリカ

こんな時期に超不謹慎な映画ですが、借りてきたのは地震前だったから仕方ありません。地球温暖化で氷山が解けて、世界中を津波が襲い、海流が変化した影響で暖流が北半球に流れ込まなくなり、地球が氷河期に突入というお話。監督は「インディペンデンス・デイ」(←高校のとき映画館で見たけど、今だったら絶対見ないだろうなぁ。)の人でした。

こんな時代なだけに本当にありそうな設定なのが怖いです。CGの使い方が上手で、災害シーンは非常に緊迫感を持ってそれらしく描かれています。ストーリーは気象学者と、病院勤務するその妻、NYの図書館に閉じ込められた息子の3人を中心に描かれていきます。この人間ドラマの部分がちょっと薄いのが難点でしたねー。もはや狼を登場させるのは異常気象とか関係ないしさ。不必要にハラハラ感を叩き売りしてる感じです。まぁ、実際そこでハラハラしたわけですけど・・・。

この手の映画にしては珍しく「アメリカが世界を救った!!」っていう姿勢が見られないのは好感。まぁ、相手が異常気象じゃ戦いようがありませんけどね。「これまでバカにしてきたけど、第3世界の皆さんありがとぅ~」(ネタバレなので反転させてね)っていう大統領演説はこの手の映画としてはかなり頑張りましたね。

こういうパニックもの、自分の中では「ディープ・インパクト」がベストです。「アルマゲドン」よりも断然好きです。でも、ちょっと古い「タワーリングインフェルノ」とか「ポセイドンアドベンチャー」とかもいいですよねー。

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2004年12月27日 (月)

「ルート225」 藤野千夜 

「ルート225」 新潮文庫 藤野千夜 

新潮文庫、今月の新刊です。以前に読んだ「ぶらんこ乗り」(いしいしんじ)や「キッドナップツアー」(角田光代)と同様に、理論社から出ている、中高生を対象にしたシリーズから新潮文庫に入った作品のようです。もともとが中高生に読書の楽しみを知ってもらおうという意図で企画されているものなので、色々と工夫がされている作品が多いのがこのシリーズの特徴。どうでもいいけど、文庫の表紙のイラストが漫画っぽくてちょっとなぁと思いました。

この作品のストーリーです。主人公は中学2年の少女。ある日彼女は母親にせかされて、帰りの遅い1歳下の弟を探しに行くことになり、家から少し離れた公園で彼を見つける。弟はどうやらイジメにあった様子で母親にそれを知られるのが嫌で家に帰るのを渋っていた様子。主人公の姉は弟を説得し公園を出て家へと向かう。しかし、どうも様子がおかしい。風景もまるで変わっていて国道が通っているはずのところに大きな川が流れていたりする。道を間違えたのかもと思い、2人は公園へ戻り再び帰路につく。今回は無事帰宅できたのだが、どうも様子がおかしいことに気づく。両親が消えてしまい、何日待っても帰ってこない、そして、数年前に死んだはずの同級生が生きているし、仲違いしたはずの友人が親しげに話しかけてきたりする。はたまた、弟曰く、高橋由伸がちょっとだけ太っている。つまり2人は限りなく現実に近いパラレルワールドに迷いこんでしまったらしいのだ。弟の持っているテレカで電話をかけると両親が待つ家につながるのだが、度数が少ないので頻繁に電話はできない。さてさて2人の運命やいかに。というもの。

全体の雰囲気は北村薫の「スキップ」と「ターン」を足して2で割ったような感じ。異界に迷い込んだ主人公が、現実を受け止め生きていく様子を描いています。ありえない状況なのに、元の世界に戻ろうとやっきにならずに2人が淡々と日常を過ごすというのが現代的なんでしょうね。ラストが、とても個性的というか、後味が悪いというか、なんともいえない余韻を残す作品でした。自分は「スキップ」のラストとか結構好きだったんですけど、この作品は、限りなく切なかったです。読後に残る妙な余韻としては、屈指の作品と言えるでしょうね。

文体が、主人公の中学生の独白の形式をとっていて、やたらと若者にこびた話し言葉とかメール文章のような感じで書かれていて、読み始め数ページはかなり読みづらい印象を受けるものの、ストーリー自体の面白さで、とにかく続きが気になるので一気に読めてしまいました。文体がどれだけ読みづらいかというと、小説なのに、「クラスの○○ちゃん(ユニクロ好き)」のようにやたら括弧で説明をいれたり、語り手が自分のコメントに対して「○○(←これって××だと思うわけ)」のように矢印まで入れて突っ込みをいれたり、「ていうか」がやたらと登場したりするわけです。まぁ、若者に読書の楽しみをというシリーズなので、普段は本を読まないような読者の気をひくのに一役買っているのかもしれませんが。

文体とあわせてもう1つ気になった点。固有名詞が非常に多いのです。企業名、人名、商品名が実名でバシバシ出てきます。以前「パークライフ」の感想を書いたときにも同じことを言った気がしますが、固有名詞が多い小説ってのは、読者を限定すると思うのです。固有名詞を使うことで、読者のイメージが限りなく限定されてしまい、その固有名詞を知らなければその情景を思い浮かべるのは難しくなってしまいます。「蹴りたい背中」なんかも割りと固有名詞が多かったですよね。「時代」を印象付けたりするのにはとても有効的だとは思うんですけど、多様すると、作品そのものが後世まで残りにくくなってしまいますよね。100年後には注だらけの小説になってしまうのではないでしょうか。なんてことも思いました。

この作品、映画化するらしいです。映画化した際のラストシーンが鮮明に浮かびます。究極に美しく余韻を残す絵が作れるのではないでしょうか。ストーリーそのものが読ませるんですけど、そういう点でも、映像化されたら見てみたいなぁと思えるような作品でした。

この作者って芥川賞の作品がゲイのカップルのお話みたいなんですけど、本人も、元男性という経歴なんですね。やたらと「やおい」という単語の多い物語だなぁと思ったらそういう背景がありましたか・・・。

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2004年12月22日 (水)

映画「ハリーポッターとアズカバンの囚人」

「アズカバンの囚人」を半分だけ視聴。前半部での感想。やっぱり字幕の人名に違和感が・・・。相変わらず卒の無いエンターテイメントですねー。でも、本を読んでも、映画を見ても、このシリーズの基本は大長編ドラえもんと同じ種類の面白さだと感じますね。そして恐らく、自分は大長編ドラ(初期のね)の方が好きだったりします。

それはさておき、ハリー君の人間世界での様子は僕はあまり好きではありません。結局のび太と一緒じゃんね。あの家族は確かに嫌だけどさ、やっぱり魔法で報復ってのはやってはいけないと思うのですよ。その辺が人間味があって現実的なのかもしれないけど。Dursleyさんたちは「つかみはOK」的な道化のイメージではなかったのになぁ。

序盤の授業シーンの山場はまんまネバーエンディングストーリーでしたねー。Quidditch、本を読んだときに自分が思ってたのと大分イメージが違うからやっぱり抵抗がある映像。

モルフォイ(マルフォイ?)君、子供のときの方が嫌味な感じの顔立ちだったと思いました。子役って成長するから難しいですよね。ハリー君はいつから、あんなにイギリスイギリスした発音に!?ていうくらいに激しいイギリス英語だし。声変わりすると、発音もより洗練されるのかねぇ。

先生たちがますます豪華キャストになってる!!!ルパン先生(ルーピン?)は「シャンドライの恋」のピアニストさんですねー。味のある方です。スネイプ氏も「ラブ・アクチュアリー」とは全然イメージが違うですね。エマトンプソン、やっぱり素敵☆あんな汚れ役をやるとは・・・。声でギリギリ彼女だと分かりましたよ。前作はブラナー出てたんですよね。この際どさも注目どころです。やっぱり元夫婦共演は無理なのかしらね。「から騒ぎ」ではあんなにラブラブだったのに。

今回けっこう面白いですねー。監督が変われば雰囲気も大分変わるってことも分かりましたし。クリス・コロンバスは好きな監督さんだったんですけどね。後半は後でみます。

<「アズカバン」後半>

やっぱりドラえもんでした。最後のオチが、これは『大魔境』かはたまた『TPぼん』かというノリでした。しかも、あの秘密道具が出現した瞬間に残り40分くらいの展開が全てよめたよ。実は「アズカバン」は途中までしか読んでいません。そして僕のハリポタライフはそこでストップしたままです。読んだもペーパーバックが出たばかりの頃なので4年前くらいで内容もほとんど覚えてないような状態だったので、純粋に楽しめました。原作を凝縮しまくって、ダイジェストのようにしてる映画ですけど、そこそこ面白かったから原作の続きも読もうかな。

コロンバス監督の優しい眼差しを通して描かれたファタジックな映画作りも作風にあっていたけれど、今回の監督さんのちょっとオドロオドロした感じで、全体的に灰色っぽい空気(イギリスっぽい)で作るのもなかなか良いですね。今回の監督さんは風景とか全体の空気を大切にしてる感じがしました。「エイリアン」シリーズみたいに監督さんたちの競作が楽しめるようなシリーズ化もなかなか面白いですね。

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2004年12月14日 (火)

「天才柳沢教授の生活」文庫版10~12巻

「天才柳沢教授の生活」文庫版10~12巻

このシリーズ、基本は読みきりの短編ですけど、先日発売になった12巻で文庫で3巻に渡る大長編「昭和20年編」が終了しました。若き日の教授が、戦後の焼け野原で、ひょんなことから戦災孤児の子供達を集めて彼らの教師をすることになる。学校として使われた一風変わったデザインの洋館と、そこに住む夫を亡くした嫁とその姑、さらには、その洋館に執着する米軍大佐などが関わり、普通の企業に就職しようとしていた柳沢が、「人間の研究」に目覚め、教授を目指すきかっけとなったできごとを描く。

作者の山下さん、ライフワークとも言っている「不思議な少年」を2年も休んで専念しただけあります。超大作です。登場するキャラクター、エピソードに無駄がない。様々な問題提起をしながら、読者もその場にいるように、その問題を考えることができます。あと、若い頃の教授は途中で、教師としての役割を完全放棄し、自分の役目は終わったと告げるのですが、そこからが、このエピソードの面白いところ。もはや主人公が登場しない漫画になるんですけど、教授自身が「人間」の面白さに気づくきっかけというだけあって、とても魅力的なエピソードが丁寧にじっくりと描かれていくわけです。でも、自分はやっぱり「教授シリーズ」は読みきりのほうが好きかな。前後編になってるのもあまり好きじゃないし。ちなみにこのエピソード、「かいまき君」というキャラの最後の扱い方がとても好きです。

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2004年12月 2日 (木)

「ゆっくりとさよならをとなえる」 川上弘美 

「ゆっくりとさよならをとなえる」 川上弘美 新潮文庫

川上さんのエッセイ集です。「センセイの鞄」とか「蛇を踏む」とか、「神様」とか独特の川上ワールドを持っている作家さんで、一体どういう人なんだろうかと常々から疑問に思っていたのですが、エッセイを読む限り、御本人も作品の持つ独特の空気そのままの方のようです。とにかく飲むこと、読むことがお好きな方みたいですね。スパナポ(作者によるスパゲティナポリタンの略称)を追い求める話とか大好きです。理科の先生をしていたらしいとか意外な過去も発覚。バリバリ理系の人だったんですね。あと、エッセイの中で紹介されている本の数も相当のもので、自分も読んでみたいなぁと思うような作品も多数。また、小川洋子とか自分も気になっている作家を彼女も気になっていることが分かったりするのも嬉しい。読んでると、御本人と一度お会いしてサシ飲みしてみたら楽しいだろうなぁと感じるようなエッセイ集です。各エピソードが3,4ページとコンパクトなのも読みやすくて良いです。とても良い読書体験でした。川上弘美、やっぱり好きな作家です。

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