« 2004年12月 | トップページ | 2005年2月 »

2005年1月

2005年1月29日 (土)

映画「深呼吸の必要」

「深呼吸の必要」 2004年 日本

超いい!!!好きな映画ランキングのかなり上位に食い込みそうです。

さとうきび畑の収穫バイトで沖縄の離島にやってきた7人の若者達が過ごす35日間を描いた作品。7人のうちの誰が主人公というわけでもなく、強いて言えば、サトウキビ畑が主役ということになるのかもしれません。彼らは何かしらの悩みを持って離島にやってきているんですけど、「言いたくないことは言わなくても良い」がそこでの決まりで、何かしらの悩みがあるであろうことは、ほのめかされるものの、誰か1人にスポットを当てて、深い人間ドラマを描くようなことはせず、淡々と、彼らが作業をする「今そのとき」を描いていました。台詞もほとんどなくて、2時間くらいあるうちの1時間くらいはサトウキビを刈っているだけかもしれません。でも、その中のちょっとした仕草や、表情、小さな会話から35日の中での彼らの変化が感じられ、静かな音楽と美しいサトウキビ畑の風景とが、素晴らしい相乗効果を生んで、いつまでもずっと見ていたいと思わせるような映像を作っていました。

35日の共同生活の中で、彼らが抱える悩みが、誰かに気づかれてしまったりもするんですけど、共同生活を送っているとは言え、やっぱり、赤の他人だし、彼らにとっては、過去がどうであったかは問題ではなくて、今そこにいるあなたが大切なわけです。相手の秘密をしってしまったときに「あっ」と少しは表情に出るものの、そんなことはすぐに気にしなくなるという距離感。この絶妙の距離感がなんだか知らないけどとんでもなく心地よい。そして、サトウキビを刈るだけの映画なのに、とても心に残るし、気分爽快になれるのは何故なんだろう。何も事件は起きなくて、ただサトウキビを刈るシーンなのに、何度か涙腺がゆるみそうになってしまうのです。とりわけ中盤にある花火シーンと終盤の10分弱、ほとんど台詞がなくて、淡々としたBGMとサトウキビを刈る映像だけが流れるシーンは素晴らしかったです。

ラスト、見ている側も達成感が感じられて、気分爽快になれるのもまた素晴らしい。最初から35日間でサトウキビを刈ってもらいますという説明が与えられるので、この映画のラストは冒頭のその時点で明らかにされるわけだけど、そのラストに向かって、予定調和的にサトウキビ畑が刈られていく爽快感がたまらないし、彼らと一緒になって何かをやり遂げた気持ちになれて感動できるのかもしれません。とにかく素晴らしい映画です。あと、主題歌がマイ・リトル・ラバーでちょっと高校時代を思い出す懐かしい感じも良いね。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2005年1月26日 (水)

「楽隊のうさぎ」 中沢けい

「楽隊のうさぎ」 中沢けい 新潮文庫

中学の吹奏楽部を舞台にした小説。主人公の少年はそれまで楽器など全く経験がなかったものの、中学に入りひょんなことから吹奏楽部に入部。そこは地区大会の優勝常連校で、全国を視野に入れ、朝練~夜練までかなり激しい練習の日々。物語は、彼が入部してから2年生の夏のコンクールまでの様子を描く。

自分も音楽系の部活だったので、共感したり、実情がよく分かる場面がとても多く、その点、かなり面白い作品でした。定演やコンクール前の練習の緊張感とか、夏休みの家族旅行に行くとその間の練習に出られず、迷惑をかけてしまうのではと悩むのとか、部長&各パートリーダーが集まって悩むのとか、音楽系の部活の醍醐味がぎっしりつまっています。作者の文章の書き方に読みづらい部分が弱冠あって(視点の変え方とかがちょっとわかりづらい)、決して読みやすくはないのですが、音楽系の部活だった人ならば絶対に楽しめる作品ではないでしょうか。

この作品の面白かった点に、実際の演奏の部分はあまり描かれていないという点があります。部活を描いた作品だと、音楽系だったら、コンクールや定演での演奏での一体感を感じる描写なんかがあるのかなぁとか思いますが、この作品は、練習場面やコンクールや定演に至るまでの人間関係をメインに描いていて、実際の演奏はほとんど描かれないのです。むしろコンクールとか結果だけが描かるだけだったりします。実際、たった1回しかない本番での演奏よりも、そこにいたるまでの過程が音楽系の部活の醍醐味であるのは確かかもしれません。音楽系の映画やドラマだと、最後の演奏シーンでやたらとドラマチックに演出しますけど、そういった作品よりも、ぐっとリアルさや奥深さを感じました。あと、いくつかある演奏シーンでは、ひたすら主人公が次の小節の入りのタイミングのことなどを考えているのも、妙なリアルさがありました。実際に演奏してるほうは一体感とか感じている暇もなく終わってしまいますからね。作者の方は経験者なのでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年1月23日 (日)

「DEATH NOTE」1~4巻 

「DEATH NOTE」1~4巻 集英社

ジャンプ連載の作品。「ジャンプ」のレベルについていけないと感じたので、高校以来、その連載作品には全く触れていませんでした。で、最初に人から勧められたときに「ジャンプ」に載ってる作品なんてたかがしれてるよ。なんて思っていたのですが、大間違いでした。ダヴィンチとかの雑誌でも大絶賛されてたし。

死神のノートを拾った少年が主人公。そのノートに名前を書くと、書いた通りの死に方で人を殺すことができます(単に名前だけ書けば心臓麻痺で死ぬ)。その条件として、相手の顔と名前を知っていることというのがあり、誰でも勝手に殺せるというわけではありません。で、主人公はノートを使って、ニュースで見た犯罪者たちを殺していきます。そして多くの犯罪者たちが急に心臓麻痺で立て続けに死んだことを不可解に思い、警察が捜査を開始します。で、FBIの名探偵がこの事件を担当することになります。ストーリーは、ノートを拾った高校生と探偵の知的な駆け引きがメインです。

とにかくストーリー展開が上手いんです。知的サスペンスといったところでしょうか。過去の名作「レベルE」なども彷彿とさせます。少年誌に載ってるのがもったいないくらいです。でも、この作品は、少年誌というある程度の規制が伴う媒体に掲載されたことで面白さが深まったと思いました。基本的に主人公がノートに名前を書くシーンはあっても、実際に人が死ぬ場面は描かれません。主人公もニュースなどでノートに名前を書いた犯罪者が死ぬのを目にするだけです。どうやら少年誌であることで、残酷な描写を避けているようなのですが、この作品ではノートに名前を書くだけで、自分は直接手を下さずに人を殺せるということで、主人公はまるで自分が神にでもなったような気分で、犯罪者達を殺していきます。彼は直接手を下すわけではないので、自分が人を殺しているという実感が薄いのではないでしょうか。で、この作品では実際に死の場面を描かないことで、恐らく作者も予期せずに、そういう主人公の立場が強調される結果になり、作品に深みが出ていると思うのです。

で、探偵の人が主人公に段々接近していくんですけど、2人のやり取りが非常に上手いのです。表紙とかはちょっとグロいんですけど、内容自体は先ほども書いたように、残酷な描写は一切ないので、安心して読めます。むしろ、そのために、知的合戦というストーリーに力が注がれてる感じです。この作品の面白い点は、主人公サイドと探偵サイドの両方の視点で物語を描いているところ。追うもの、追われるものの攻防がとても面白いです。こういう知的好奇心をくすぐる作品っていいですよね。個人的にはダラダラと長くしないで5,6巻で終わればかなりの名作になるのではないかと思います。続きが気になるー。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年1月20日 (木)

映画「メリー・ポピンズ」

「メリー・ポピンズ」スペシャルエディション

公開40周年を記念した2枚組。まだ特典ディスクの一部を見ただけです。超充実の内容にビックリ。現在の出演者達によるインタビューを交えた50分間のメイキング、撮影風景、公開当時のワールドプレミア、アカデミー賞授賞式の様子、作曲家本人による曲解説、そして、ジュリー・アンドリュースが主演の新作短編とやたら豪華なんです。さらに本編にはジュリー本人によるにコメントが副音声で入ってたりします。嬉しいですねー。

この映画、こども向けと見せつつ、こめられてる風刺もかなり強いですよね。煙突掃除と銀行の頭取が一人二役なんですよー。階級社会イギリスを舞台にして両極にあたる人物を同じ人が演じるのですからねー。近頃ここまではっきりと皮肉な演出するのはムーアさんくらいでは?さらにメイキングによると特撮シーンはワイヤーアクションだったみたいですね。40年前に現在の流行をすでに取り入れているとは・・・。アニメとの融合もCGよりもずっと暖かみがあるし。ディズニー本人によって製作された最後の作品で本人が「最高傑作」と自負するだけあって、究極のエンターテイメント映画だと思います。40年前の作品とは思えないよ!ハトにエサあげる歌は本当に名曲っす。

この映画、同じ年に製作された「マイ・フェア・レディ」で主役を射止められなかったジュリーが出演したんですよね。その年のアカデミー賞では、ほとんどの賞を「マイ・フェア~」が受賞したのに、主演女優賞はヘップバーンではなくジュリーが受賞という皮肉な結果に。で、DVDに収録されてる授賞式のジュリーのコメントもとても皮肉たっぷりでした。彼女は「マイ・フェア~」の監督の名をあげて、「私を出演させなかったことに感謝してます」と述べていました。なかなかのツワモノです。ヘップバーンは居てもたってもいられなかったに違いなんだろうなー。しかも、この「ポピンズ」の成功で、「サウンド・オブ・ミュージック」の主役がヘップバーンからジュリーに変更になったらしいですからね。この年の映画界のできごとは本当にドロドロしてますよねー。ていうか、「ポピンズ」と「マイ・フェア~」の両方が作品賞候補だったアカデミー賞もすごいと思う。しかも同じ年には「シェルブールの雨傘」も製作されててまさにミュージカル最盛期。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

映画「ネバーランド」

「ネバーランド」 2004年 アメリカ・イギリス

J・M・バリが戯曲「ピーターパン」を書き上げるまでの過程を描く作品。「恋に落ちたシェイクスピア」みたいなものを期待してたら全然違いました。でも、19世紀イギリス大好きっ子としては、20世紀初頭のロンドンという舞台設定だけでかなりツボを刺激されてます。ケンジントン公園きれいだよー!もう1回行きたい!!

さてさて、内容です。スランプ気味の劇作家バリは、公園でとある親子と出会う。夫をなくした未亡人と、4人の子供達。子供の1人、ピーターは父を失った悲しみから、無理をして、意地を張っている雰囲気。バリは自らの妻をかえりみず、この親子と親交を深めていき、この子供達を題材にひとつの戯曲を作り上げていく。映画全体のテーマは「失ったものを乗越える力」といったところでしょうか。そして、子供が「大人」になるふとした瞬間を丁寧に切り取っている映画でもあります。感動の押し売り的な映画でもなくて、丁寧に、静かに描かれる物語はかなり好印象。とても良い映画でしたよ~。

主演のジョニー・デップ、子供の心を持った青年(=ピーターパン)を見事に演じきってました。映画の中で、子供達とインディアンごっこしたり、海賊ごっこしたりするんですけど、彼らのイマジネーションの世界が映像化されて映し出されるんですね。で、「海賊ごっこ」のシーンも、子供達とデップが海賊姿になって海賊船にのってる映像が出てくるんですけど、彼は完全に別の映画の登場人物でした。ジャック・スパロー再び!って感じです。キャラも被ってたし。彼の演技でもう1つかなり印象に残ってるのは、気まずい空気になってしまって玄関先にて何か喋ろうにもタイミングを逃しまくってる場面の演技。何気ない場面だったけど輝いてました。あと、ケイト・ウィンスレットもかなり良かったです。「タイタニック」のイメージが強いけど、「いつか晴れた日に」とか「乙女の祈り」とか「アイリス」とかで見られた、彼女の演技派っぷりがここでも見事に出てました。アカデミー賞あげたいくらいです。そして、この名優2人をさしおいて、子役達がまた本当に上手!!僕は長男役の子がとてもお気に入りでした。彼が大人になる瞬間の台詞も素晴らしいです。

さてさて、この映画、カメラワークとかも凝ってて、演出もなかなか面白かったのですが、ラスト3分からエンドクレジットまでは近年まれに見る素晴らしさだったと思います。「THE END」の文字が画面に出るまでの余韻とかもすごく良いし、エンドロールのBGMがオケとか一切使わないでピアノだけの静かな曲なのもかなり良かったです。映画館中が静まり返って余韻にひたってましたねー。そして、隣にいた某君は目が赤くなってましたねー。

最後に。この映画、「ピーターパン」の物語を知っていることがかなり前提になっています。「ピーターパン」の物語そのものが関わる場面とかは、観客が知っていることを前提にして展開していってるので、観にいく前にピーターパンそのものを見るか読むかすることをオススメしますよー。感動のレベルがかなり変わると思います。ていうか映画見たら「ピーターパン」が見たくなった。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2005年1月12日 (水)

「熱球」 重松清

「熱球」 徳間文庫 重松清

これまで読んだ重松作品の中では一番微妙かも。主人公は、元高校球児で、かつて瀬戸内にある地元の公立進学高を地区予選の決勝まで勝ち進めたチームのエースだった男。進学校であることもあって、地元では初の快挙に沸きあがったが、決勝の前日、選手の1人が事件を起こしてしまい、決勝を辞退、盛り上がっていた町は、打って変わって、大不祥事に白い目を向けるようになった。それ以来、主人公は地元の町を避けるようになり、東京で就職し結婚。それから十数年、主人公は母の死とリストラをきっかけに、地元の町に戻る。一度は捨てた故郷で、かつてのチームメイトと再会し、高校以来、胸に抱き続けていた自分の思いと向き合っていくというお話し。

要は、不祥事で決勝戦に進出できなかった高校球児たちが中年に差し掛かって、長年抱き続けてきたモヤモヤした感情と向き合うという話なんですが、主人公の思いに全く共感できないんですよね。あと、全体に暗くい空気が強い作品なのですよ。重松作品は往々にして暗いテーマが多いことも確かですけど、そういう暗さとは別で、この作品では、主人公そのものがかなり根暗な人で、その町も、そこに暮らす人も全体的に暗い印象が強いんですね。そういうところがちょっと苦手だったのかも。いつものテンポの良い重松節もちょっと弱かった気がします。あー、早く「流星ワゴン」文庫にならないかなー。発表順だと、「熱球」のほうが後だから、そろそろのはず。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年1月 7日 (金)

「夕凪の街 桜の国」 こうの史代

「夕凪の街 桜の国」 こうの史代 双葉社

今年度の「文化庁メディア芸術祭」のコミック部門の大賞。この賞なかなか手塚治虫文化賞とともに割と注目してるものです。100ページほどの薄い本なのに800円くらいしてちょっと割高な感じもしますが、内容は本当に素晴らしいです。アマゾン見てみたら、なんだか大絶賛されまくってるし。テーマは、戦後のとある日の日常が映し出す本当の戦争の姿。

3つの短編が入ってる連作短編集。広島を舞台に子、孫の代が「ヒロシマ」をどのように背負っていくのかが描かれた作品。「はだしのゲン」のようにダイレクトに惨状を描くようなことはないものの、被爆者の子孫がどのようにこのできごとを受け止めるのかということを、ただ「生きていく」という点に焦点をあてて、淡々としたエピソードを描くことで、「今ある自分の命を大切に生きていこう」という強いメッセージを感じる作品。作者自身が広島で生まれ育った方のようで、いわゆる「戦争を知らない世代」である我々にとっての「ヒロシマ」の持つ意味を問いかけてきます。まるで何事もなかったかのように日常を送っている中、ふと現われる「ヒロシマ」の姿、そして、自分は今生きてここにいるのだと気づかされる瞬間があるんですね。そして、当たり前の日常がふっと途切れてしまう、戦争の怖さ(しかも戦後から相当の時が経っている)が描かれるわけです。

ていうか、第1話目、35ページしかないのに、圧倒的すぎるパワーを持った作品です。全体に流れるほのぼの感とはうらはらに、最後のほうの衝撃、そして、作者が「読者自身で物語を終わらせて欲しい」という一番最後の空白ページ。すごい完成度です。その後の2話も、「ヒロシマ」を2004年を舞台に描くということ自体が新しいと思いました。ていうかとにかく読め!という感じの1冊です。この日記でたびたび「読んで損はない」と書いてますけど、これは本当にオススメできる1冊です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年1月 2日 (日)

映画「ロスト・イン・トランスレーション」 

「ロスト・イン・トランスレーション」 2003年 アメリカ

TOKYOが舞台のハリウッド映画。日本のウィスキーのCMキャラクターに選ばれて、CM&ポスターの撮影で東京にきたやや落ち目のアメリカ俳優が主人公。異国で孤独を感じる彼は、カメラマンの夫について日本に滞在中のやはり孤独を感じている若い女性と出会い、2人が互いの孤独を慰めあうというようなお話。コメディタッチなのかと思ってたら、割と淡々として暗い映画だった。

現代の東京を描いた海外作品としては割りと頑張ってたように思います。日本人でも新宿やら渋谷らの喧騒はちょっと避けたいですよね。ましてや英語がほとんど通じない国ですから外国人の人にとってみれば取り残された感じになるのも頷けます。コメディシーンであるCM撮影に関しては、純粋に通訳が究極にダメダメなだけですよね。この通訳さん、最後までダメダメな役でした。実際、そういう人が多いってことなんですかね。孤独な主婦の日本人の友達という人々。彼ら自体が日本人の目から見てもコメントし難い微妙な輩なので、外国人の人からすればますます奇妙奇天烈かもしれませんね。通訳といい、変な日本人といい、彼は日本において、ことごとく「出会い」に関して運が悪かったようですね。店に入っても、英語が全然分からないために、一言も口をきかない店員さんだったりしてたし。でも、こういうことって外国に行ったら当然ありうることだし、たまたま自分の見た姿でその国を印象付けることも往々にありますからね。

ところで、この主人公2人も外国人とは思えない根暗っぷりを発揮しているように思いました。電話で相手に気を使って、本当は楽しくないのになかなか楽しんでるというような上辺だけの返事をするのっていかにも日本人的だなぁと思ったし、街にいてつまらないなら、もっと自分の足で良い場所を探そうとしたりすればいいのになぁ、外国の方にしてはあまりに受動的な性格です。日本という国で孤独を感じている彼ら自身がかなり日本人的な性格をしているような気がして仕方ありませんでした。同じ外国人でも、孤独主婦の夫とか、プロモで来日してる女優さんとかはとても楽しそうに日々を過ごしてるように描かれてますからね。すると彼らは言葉の違いの中で迷ってるのではなく、結局は、自分自身の心の中で迷っているわけです。この映画のテーマ、一見すると、カルチャーギャップだったりしますが、それは彼らの心の迷いを象徴するためのひとつの小道具にすぎないということですかね。

この映画、海外では多数の賞を受賞してたりして、評価が高いですけど、日本ではやっぱり、自国の描かれ方ばかりが気になってしまいますよね。この映画、アメリカでは日本語部分に字幕がついてなかったそうで、見てる人は、出演者と一緒に不思議の国、東京に迷い込めるという作りだったみたいですね。そうなると、この映画はやっぱり日本人であるというだけで、楽しみかたの大半を失ってしまってるのかもしれません。

こういう映画を見て、「日本の描かれ方がおかしい。不勉強だ」とか騒ぐ人もいますけど、そういうあなたは正しく外国のことを理解してますか?と問いたい。日本のドラマやら映画やらで描かれる外国人や外国だってひどい偏見の塊ですし。例えば、ブラジルといえば、ジャングルとサッカーとサンバとコーヒーだけだと思ってる人ばかりだし、メディアでこれ以外の登場の仕方をすることも少ないですよね。むしろこういう映画から「外からはこういう風に見られるのだ」ということを知るべきだと思います。

この映画で好きだったシーン。テレビでも見て暇をつぶそうと思った主人公が、自分の出てる映画がやってるのを発見するけど、吹替え放送で、画面の中の自分が日本語を喋ってるのを見て、余計に落ち込む場面。上手いな~と思いました。あと、いきなりのマシューが良かったです☆何気に国際的な番組。エンドロールでも、藤井さんの名前じゃなくて、マシューで登場してましたねー。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2004年12月 | トップページ | 2005年2月 »