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2005年1月26日 (水)

「楽隊のうさぎ」 中沢けい

「楽隊のうさぎ」 中沢けい 新潮文庫

中学の吹奏楽部を舞台にした小説。主人公の少年はそれまで楽器など全く経験がなかったものの、中学に入りひょんなことから吹奏楽部に入部。そこは地区大会の優勝常連校で、全国を視野に入れ、朝練~夜練までかなり激しい練習の日々。物語は、彼が入部してから2年生の夏のコンクールまでの様子を描く。

自分も音楽系の部活だったので、共感したり、実情がよく分かる場面がとても多く、その点、かなり面白い作品でした。定演やコンクール前の練習の緊張感とか、夏休みの家族旅行に行くとその間の練習に出られず、迷惑をかけてしまうのではと悩むのとか、部長&各パートリーダーが集まって悩むのとか、音楽系の部活の醍醐味がぎっしりつまっています。作者の文章の書き方に読みづらい部分が弱冠あって(視点の変え方とかがちょっとわかりづらい)、決して読みやすくはないのですが、音楽系の部活だった人ならば絶対に楽しめる作品ではないでしょうか。

この作品の面白かった点に、実際の演奏の部分はあまり描かれていないという点があります。部活を描いた作品だと、音楽系だったら、コンクールや定演での演奏での一体感を感じる描写なんかがあるのかなぁとか思いますが、この作品は、練習場面やコンクールや定演に至るまでの人間関係をメインに描いていて、実際の演奏はほとんど描かれないのです。むしろコンクールとか結果だけが描かるだけだったりします。実際、たった1回しかない本番での演奏よりも、そこにいたるまでの過程が音楽系の部活の醍醐味であるのは確かかもしれません。音楽系の映画やドラマだと、最後の演奏シーンでやたらとドラマチックに演出しますけど、そういった作品よりも、ぐっとリアルさや奥深さを感じました。あと、いくつかある演奏シーンでは、ひたすら主人公が次の小節の入りのタイミングのことなどを考えているのも、妙なリアルさがありました。実際に演奏してるほうは一体感とか感じている暇もなく終わってしまいますからね。作者の方は経験者なのでしょうか。

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