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2005年1月20日 (木)

映画「ネバーランド」

「ネバーランド」 2004年 アメリカ・イギリス

J・M・バリが戯曲「ピーターパン」を書き上げるまでの過程を描く作品。「恋に落ちたシェイクスピア」みたいなものを期待してたら全然違いました。でも、19世紀イギリス大好きっ子としては、20世紀初頭のロンドンという舞台設定だけでかなりツボを刺激されてます。ケンジントン公園きれいだよー!もう1回行きたい!!

さてさて、内容です。スランプ気味の劇作家バリは、公園でとある親子と出会う。夫をなくした未亡人と、4人の子供達。子供の1人、ピーターは父を失った悲しみから、無理をして、意地を張っている雰囲気。バリは自らの妻をかえりみず、この親子と親交を深めていき、この子供達を題材にひとつの戯曲を作り上げていく。映画全体のテーマは「失ったものを乗越える力」といったところでしょうか。そして、子供が「大人」になるふとした瞬間を丁寧に切り取っている映画でもあります。感動の押し売り的な映画でもなくて、丁寧に、静かに描かれる物語はかなり好印象。とても良い映画でしたよ~。

主演のジョニー・デップ、子供の心を持った青年(=ピーターパン)を見事に演じきってました。映画の中で、子供達とインディアンごっこしたり、海賊ごっこしたりするんですけど、彼らのイマジネーションの世界が映像化されて映し出されるんですね。で、「海賊ごっこ」のシーンも、子供達とデップが海賊姿になって海賊船にのってる映像が出てくるんですけど、彼は完全に別の映画の登場人物でした。ジャック・スパロー再び!って感じです。キャラも被ってたし。彼の演技でもう1つかなり印象に残ってるのは、気まずい空気になってしまって玄関先にて何か喋ろうにもタイミングを逃しまくってる場面の演技。何気ない場面だったけど輝いてました。あと、ケイト・ウィンスレットもかなり良かったです。「タイタニック」のイメージが強いけど、「いつか晴れた日に」とか「乙女の祈り」とか「アイリス」とかで見られた、彼女の演技派っぷりがここでも見事に出てました。アカデミー賞あげたいくらいです。そして、この名優2人をさしおいて、子役達がまた本当に上手!!僕は長男役の子がとてもお気に入りでした。彼が大人になる瞬間の台詞も素晴らしいです。

さてさて、この映画、カメラワークとかも凝ってて、演出もなかなか面白かったのですが、ラスト3分からエンドクレジットまでは近年まれに見る素晴らしさだったと思います。「THE END」の文字が画面に出るまでの余韻とかもすごく良いし、エンドロールのBGMがオケとか一切使わないでピアノだけの静かな曲なのもかなり良かったです。映画館中が静まり返って余韻にひたってましたねー。そして、隣にいた某君は目が赤くなってましたねー。

最後に。この映画、「ピーターパン」の物語を知っていることがかなり前提になっています。「ピーターパン」の物語そのものが関わる場面とかは、観客が知っていることを前提にして展開していってるので、観にいく前にピーターパンそのものを見るか読むかすることをオススメしますよー。感動のレベルがかなり変わると思います。ていうか映画見たら「ピーターパン」が見たくなった。

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受信: 2005年12月13日 (火) 00時05分

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