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2005年3月21日 (月)

「Oracle Night」 Pual Auster

「Oracle Night」 Pual Auster

上でも話題になってる、僕の一番好きな作家の地位をぶっちぎりで独走中のオースターの最新作です。去年買ったものの、入試とかで読書ペースが遅れてしまって読了に半年くらいかかってしまいました。バイトの休憩中にカフェにて読了したんですけど、良い作品を読み終えたことがかなり嬉しくて、今日はご機嫌でした。

ストーリーは、大病を患って、医者にも見離されかけていたものの、奇跡的に助かった作家が主人公。退院から4ヶ月が過ぎ、リハビリを兼ねて散歩に出かけた際に、彼はとある文具店に足を踏み入れます。そして、その店で吸い寄せられるようにして購入した青いノートに彼は物語を書き始めます。彼がノートに書いた物語や、依頼されて考えた映画の脚本のストーリー、はたまた妻の情事への妄想と主人公である小説家の頭の中に浮かぶ様々な物語と、彼の現実世界での人生模様が描かれる作品。

個人的には、前作「Book of illusion」の方が完成度は高いとは思うけれど、この作品もかなり好きです。これまでのオースター作品では、主人公自身が実際に色々なところを彷徨うな展開が多かったですけれど、今回は、主人公の頭の中での様々な思索を描いていて、より精神的な面が強調された作品だったような気がしました。また、恐らくオースター作品としては初(?)の脚注のオンパレード。脚注を用いて、メインのストーリーとは関係ない様々なサイドストーリーが語られていたのも面白かったです。あと、オースターと言えば「赤いノート」ですけど、今回は「青いノート」ってのも印象的。作中で赤いノートは他の人に買ってもらうというような文具店の台詞があり、「それはオースター?」と思わず突っ込んでみたり。

ニューヨークを舞台にしていて、前作の作品の雰囲気といい、オースターが再び往年の3部作の頃の作風に戻ってきているように感じます。そしてさらにそれが洗練されているのがかなり嬉しいです。ちなみに、主人公の妻、友人の作家とその息子の関わる現実世界での物語はオースター脚本の名作映画「スモーク」を彷彿とさせる人間ドラマでした。オースター作品のエッセンスがたっぷりつまった作品でファンとしてはかなり嬉しい。

この作品、100ページ目くらいまではかなりの勢いで面白くて、もしかしたらこれはスゴイ作品なのかもしれないと思っていました。その理由は、作中で主人公が書く小説がとにかく面白いから。いかにもオースター的な偶然の連続のストーリーなんですけど、この物語が本当に面白い!そして、それが尻切れトンボで終わってしまう(あくまで作中作だし)のでフラストレーションたまりまくりでした。

物語のラスト、主人公が感じる幸福感。それが何なのか、イマイチつかみきれなかったんですけど、4,5年後には出版されるであろう邦訳を読んでゆっくりと考えたいと思います。

ちなみにタイトルは、この作品に出てくる、作中作の中の作中作だったりします。この何重もの入れ子構造も面白かったです。

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