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2005年3月 2日 (水)

「猛スピードで母は」 長嶋有

「猛スピードで母は」 長嶋有 文春文庫

3年前に芥川賞を受賞した作品が先月文庫化しました。「猛スピードで母は」と「サイドカーに犬」の2作品を収録。どちらも、決して裕福ではないし、家庭環境にも恵まれているとは言えない子供を主人公にした作品。

2作品のうち、芥川賞受賞の表題作よりも、同時収録の「サイドカーに犬」の方が個人的にはお気に入り。小物やコネタが良い感じ。この作者さんは、作品タイトルのつけ方からしても、川上弘美的なセンスを感じるんですけど、実際の文体もとてもよく似ていました。ちょっとフワフワした乾いた文体。以前読んだ川上さんのエッセイによると、川上さんと長嶋さんは両者が作家デビューする前からパソコン通信仲間だったとかで、お友達だった様です。納得。

しかし長嶋さんのほうがやはり男性的だなぁと感じます。川上さんは擬音語の使い方とか、カタカナ/ひらがな/漢字の表記の使い分けだとかで、割と感性豊かな文章を書く一方で、長嶋さんは同じような乾いた印象の文体でありながら、理屈っぽい理性的な印象が強かったです。「猛スピード~」で気になったのは、子供の視点で描かれてるのに、たまに子供っぽくない表現が出てくるところ。あくまで子供が語り手で、彼の視点から書いているのに、語彙が子供っぽくないときがあるのです。一方で、過去を回想して子供時代を描いている「サイドカーに犬」のほうでは、語り手が大人なので、そういう点はあまり気になりませんでした。そんなところも、「サイドカー~」の方が面白かったと思った理由かもしれません。

でも、これってデビュー作ですよね?これからが楽しみな作家さんではあります。長編を読んでみたいかも。

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