「ブラックベリーワイン」 ジョアン・ハリス
「ブラックベリーワイン」 ジョアン・ハリス 角川文庫
映画にもなった「ショコラ」という作品の原作の作者が書いた、「ショコラ」と同じ村を舞台にした別の物語。続編ということではなくて、舞台が同じ(数年後という設定)なだけで、両作品には特に関連性はないけれど、同じ登場人物も出てくるので「ショコラ」を読んでると、村人達の後日の様子が分かるという作り。
お話は、かつて1作品だけヒットを飛ばして、その後、たいしたヒット作もなく、軽いSF作品を書いて暮らしている作家が主人公。長期のスランプ状態にある彼は、ある日フランスの郊外の村に一軒の家を買います。そこでの暮しの中で、村人とのかかわりや少年時代の友人であった1人の老人の霊との交流で自身を見つめなおしていくという物語。物語は作家の現在と老人と過ごした少年時代の物語が交互に語れる形式になってます。タイトルにあるように、老人が彼に残したワインが物語のキーになっています。
正直な感想、「ショコラ」のほうが数倍面白かったです。「ショコラ」って映画よりも原作の方が数倍に奥が深くて面白いと思うんですけど、この続編にはその奥深さが感じられませんでした。現在と過去が3,4ページずつくらいで交互に出てくるっていう構成もちょっと読みづらかったしね。細切れすぎな印象でした。「ショコラ」が好きだったので期待が大きすぎたのかもしれません。単体で見ればそんなに悪い作品でもない気がするし。
老人と少年の物語ならば、「アトランティスのこころ」(S・キング)のほうがずっとよくできた話ではないでしょうか。少年時代物としても「少年時代」(R・マキャモン、超名作だと思う)なんかとどうしても比較してしまうのがよくないのかもね。
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コメント
はじめまして。nioと申します。わたしも、ブラックベリー・ワイン読みました。私は、とてもいい話だなと思っています。「ショコラ」も図書館で借りたので、早く読んでみたいです。
それと、「夢みるピーターの七つの冒険」読んでるんですか?ほのぼのとした雰囲気がいいですよね~。
投稿: nio | 2006年3月17日 (金) 20時33分
>nioさん
はじめまして、コメントどうもありがとうございます。
映画の「ショコラ」を見たのをきっかけに、原作を読んで、
より深い原作世界にはまってしまいました。
「ブラックベリー・ワイン」は同じ村が舞台ということで、
似たような内容を期待したのが悪かったのかもしれません・・・。
「ショコラ」を読んでいなければ、評価はかなり変わったかもしれないです。
今はちょうど「夢みるピーターの七つの冒険」を読んでいます!
イアン・マキューアンの作品はほとんどハズレがありませんね。
ピーター少年の作り出す心の世界はかなり良いですね~。
投稿: ANDRE | 2006年3月17日 (金) 21時08分