映画「コーラス」
「コーラス」 2004年 フランス
フランスでは7人に1人が見たとかいう大ヒットになった映画。タイトルの通り、合唱がテーマの映画です。フランスにある、普通の学校では手におえないような子や、孤児なんかを集めた全寮制の学校にやってきた音楽教師が主人公。その学校は子供達もとんでもない悪ガキばっかりな上に、校長による徹底した管理教育、スパルタ教育がなされていた。主人公は校長から反感を買いながらも子供達に歌を教え、やがて、教室には美しいコーラスが響き渡るという物語。監督は「WATARIDORI」(渡り鳥の生態を追うやつ。これも結構好きな映画。)などのドキュメンタリー作品が多い人。
物語は言ってしまえば「いまを生きる」の国語の先生が音楽の先生になって、微妙に「天使にラブソングを2」テイストになったようなお話。歌うのはクラシックな曲ですけど。でも、感動を押し売りするわけではなくて、クスリと笑わせてくれるシーンがたくさんあったのはフランス映画らしいセンス。「いまを生きる」のほうが泣けたけど、「コーラス」の方がほのぼの感がありました。あと、作品全体に影を落とす、一人の暴力的な少年の存在なども興味深いところ。でも、そんなのよりもなによりも、やっぱり合唱が良いのです。そんな短期間であんなに上手くなるはずがないとか、楽譜も歌詞カードもなしに彼らはどうやって覚えたのかとか、不満をあげればキリがないのですが、合唱は本当に綺麗だし、全編にわたって音楽に満ち溢れているので、とても心地の良い作品でした。何かと話題のソロを歌う少年、決して「天使の歌声」ではないちょっと荒削りな感じ(世間では「天使の歌声」とか言われてるっぽいけど、ちょっとかすれたり、高音部への切り替えが気になったのですよ。)が逆にリアリティがあってよかったと思います。CD欲しいな~。
宣伝とかだと主役はソリストの少年っぽいんですけど、実は彼よりも数倍美味しい役を担っている子がいました。そしてこの子供の使いかたが、ズルいくらいに憎いんですよ。かわいすぎです。妙に特別な役を演じてると思ったら監督のお子さんだったみたいです。あと、主人公の教師を演じる俳優さん(「パシニョールおじさん」の人)が決して2枚目の素敵な先生じゃなくて、ちょっと哀れな中年男性なのも良かったです。彼が恋心を抱くエピソードは、全編を通して最もほほえましいエピソードだったかも。あと、校長先生の役をした俳優さんも良かったですねー。特にいつの間にか3枚目のキャラになってるのが笑えました。
ボーイソプラノって声変わりとともに失われるだけに、本当に一瞬のきらめきですよね。映画を見ながら、この子も数年後にはこの声を失ってしまうのかぁと思うととても複雑な気持ちになります。この辺のことは「独立少年合唱団」ていう日本映画でかなり象徴的に描かれてましたね。
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