映画「スイミング・プール」
「スイミング・プール」 2004年 フランス
昨年公開されていたフランス映画。監督はミュージカル風密室サスペンス映画「8人の女たち」のフランソワ・オゾンです。今作もジャンル設定が難しい作品で、あえていうならば、官能ミステリー風ファンタジーといったところでしょうか。「8人の女たち」でボーイッシュな末っ子を演じてた女優さんが成長して、同一人物とは思えないくらいにセクシーなお姉さんを演じてます。恐るべしフランス女性という感じです。
イギリスの中年女性作家がフランスにある編集者の別荘で作品を書くことになるところから物語は始まる。1人で別荘ライフを満喫していた彼女だったが、そこにフランスに住んでいるという編集者の娘が現われ、同居生活をすることに。毎晩違う男性を連れ込み、自由奔放に過ごす娘に堅物英国女性である主人公は苛立ちを感じつつも、次第に彼女そのものに興味を抱くようになり、彼女を題材に作品を書き始める・・・という物語。これだけだと「サスペンス風」ってのが伝わりませんけど、一応サスペンスです。音楽もそれっぽいし、思わせぶりな場面も多いし。あと、この映画はやたら女性の裸体が多いです。それでも全然やらしさを感じず、むしろ美しいのはさすがフランス映画。
ハリウッド系の作品とは完全に一線を画すフランス映画ですが、この作品も、見終わった後に頭の中に「?」がいっぱい残る作品。決して気分爽快でも、ハラハラドキドキもしないけれど、「雰囲気」を堪能することができて、考えさせられる映画。ラストまで見ると、果たしてあれは何だったのかという様々な疑問が頭をよぎります。いかようにでも解釈できる作品で、みんなでそれぞれの解釈を語り合うなんてのも楽しいかもしれません。
<ネタバレ僕の解釈(反転させて読んでください)>
最後に出版社の入り口ですれ違う本当の娘さんは主人公に対して明らかによそよそしい態度であったので、2人は初対面だったと考えられます。すると、主人公は別荘では誰とも会わなかったことになり、この映画は全て彼女の妄想(小説世界)を描いているということになります。ここで問題なのは、管理人との情事や、カフェ店員との交流は事実だったのかどうかという点。見ようによっては全てが妄想ではなく、部分部分は実際の彼女の暮らしを描いているともとれる作り方をしてますよね。もしかしたら、全て彼女が経験したできごとで、自分がやったことを、「娘」というキャラクタに置き換えて描いたのではないかとか色々な憶測が可能だと思います。実際のところどんななんでしょうかね。そもそも別荘に行ったってこと事態が妄想っていう見方もありだしなぁ・・・。
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