「月山・鳥海山」 森敦
「月山・鳥海山」 森敦 文春文庫
「月山」はいまから30年くらいに前に芥川賞を受賞した作品です。作者は、昭和20年代に作品を発表してから文壇から離れ、40年以上して復帰したこの作品で芥川賞を受賞したそうです。今ではすっかり芥川賞は若い人向けのイメージが定着しているけれど、60代の作者が受賞することもあるんですね。当たり前だけど。
全て同じ庄内平野の地域をモチーフにした短編が収められている短編集。受賞作品の「月山」は訪れた山奥の寺で一冬を過ごす旅人のお話。120ページほどの中に色々なエピソードがあるのだけれど、どれも淡々としていてあまり印象に残りませんでした。「何も起こらない小説」のシリーズは割りと好きなんですけどね・・・。恐らく、人里離れた寺という空間での、見方によっては異様ともとれる些細なエピソードの数々が、「現実」とはかけ離れてた場所で生死の狭間にいるような空間を示しているとかそういうところなんだろうなぁ。個人的には平野氏の「一月物語」のようなものを期待していたせいもあるかもしれないのだけれど、自分にはこの作品のよさは今一歩分からずじまい。どなたか読んでみて、面白かったら解説していただきたいところです。
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