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2005年8月24日 (水)

「アムステルダム」 イアン・マキューアン

「アムステルダム」 イアン・マキューアン 新潮文庫

ロンドン社交界で数々の男性と情事を交わした女性モリーが亡くなり、彼女の葬儀にイギリス中の名士(かつての恋人達)が集まるところから物語りは始まる。彼女の最期は、痴呆にかかり、衰弱していったというもので、葬儀に参列していた、作曲家クライヴと新聞の編集長ヴァーノンはそれを聞き、もし2人のうちのどちらかが、そのような状況に陥った場合には相手を安楽死をさせるという約束を交わす。そんな中、モリーと政治家のスキャンダラスな写真がヴァーノンの編集する新聞社の手に渡る。この写真事件を新聞に掲載するかどうかをめぐり、編集長、作曲家、政治家の3人の運命の歯車が回りだすという物語。タイトルの「アムステルダム」の意味は読めば分かります。

非常に面白い物語で、グイグイとひきつけられるように一気に最後まで読んでしまいました。登場人物3者3様の生き方、考えかたにザクリとメスをいれるような物語の展開で、大人の駆け引きを見事に描いた作品。映画にしても面白いかもしれません。この作者の人、大学で創作を専門にしてたみたいですけど、このような作品を生み出せる作家を輩出するとは、そちらの大学も気になるところです。一読して損はない名作ではないでしょうか。

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