映画「茶の味」
「茶の味」 2004年 日本
不思議な映画です。ストーリーの説明がとにかく難しいです。北関東の山間の町に暮らす春野さんという家族のある年の春のできごとを淡々と描く作品。中心になるのは、転校生の女の子に恋をする高校生の長男(金八パート6でユイカさんと一緒に学級委員してた子)。そこに、巨大な自分の分身に見つめられている気がしてならない小学生の妹や、ミキサーの仕事をしつつブラブラしてる叔父(浅野忠信)、家で自作アニメを製作する母(手塚里美)、さえない催眠療法師の父(三浦友和)、元アニメーターの超エキセントリックな祖父(我集院達也)といった個性豊かな家族の日常や、彼らの身の回りで起こる奇人・変人大会のようなシュールな事件を描く映画。
数分の小さなエピソードを集めて一本の映画にしているのですが、ちょっと長いのが難点です。2時間半くらいありました。冗長なエピソードも割りとあったので、そういうのをカットしてコンパクトにまとめたほうが個人的にはもっと好きになれたかもしれません。この映画の特徴はとにかく演技が自然なところ。「演技してるの?」、「脚本あったの?」と疑問に思ってしまうくらいに自然体な会話がとても心地よい作品です。極めて前衛的でシュールな演出がところどころにチラホラと現われるんですけど、そこにこの自然体な演技が混ざることで、とても「ゆる~い」感じの作品になっています。まさに「茶の味」という感じ。
小さなエピソードの中にいくつか、とても心に残る良いものがありまして、その中でも、浅野忠信が昔の恋人(中嶋朋子)に会いに行くエピソードは5分くらいの短いものながら、本当によくできていて、思わず巻き戻して2回見てしまいました。全体的に浅野忠信が出演している場面がとても良いです。あと、主人公が好きになる転校生を演じる土屋アンナがとても可愛いです。今風な感じなのに転校するなり囲碁部に入るという不思議ちゃんを演じているんですけど、かなり良い感じです。他にもアニメーターとして庵野監督が出演してたり、クサナギ君が出てたり、チョイ役が何気に豪華。そして何よりも和久井映見のナレーションがとても心地よい作品でした。一番インパクトに残ったのは「山よ」ですかね。僕はこの歌、相当好きです。
と、良い場面は本当に良いのだけれど、ひとつの長編としてみたときに、ちょっと物足りなさを感じるような作品でした。なんでだろうね。やっぱり長すぎるのかな。各エピソードの面白い、つまらないの差が大きいのも確か。
ちなみに金八ファンとしては、主人公の少年と浅野忠信が会話してる場面で、「お、新旧生徒が夢の共演!」なんて思ってしまいました。浅野忠信が金八生徒だったとかって割りと知られてないのでは。
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