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2005年9月22日 (木)

映画「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」

「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」 2004年 アメリカ

今年のGW頃にやっていた映画です。原作は、洋書売場の児童書コーナーなんかに行くとよく山積みにされている、英語圏ではかなりのベストセラーになっているシリーズ。両親を火事で亡くした3姉弟妹が、様々な後見人のもとに預けられるも、彼らの遺産を狙う伯爵の魔の手によって、次々と災難に見舞われるという物語。次は何が起こるの?とワクワクしながら見ることのできる作品でした。とにかくこれでもかというくらいに作りこまれた不思議な世界観とセットや小物の数々が素晴らしくて、映像を見ているだけでワクワクするような作品です。ティム・バートンが好きな人はきっと気に入るはず。と思ったら、製作総指揮が「アダムス・ファミリー」の監督さんで、美術スタッフは「スリーピー・ホロー」の方々だったらしいです。なるほど納得。

作品の売りはとにかく不幸であることなので、次から次に、不幸なできごとが彼らに襲い掛かって、その都度、子供達が知恵を絞って、その不幸を乗り切るというのが全体の流れ。しかし、この映画は主役である子供達よりもずっと目立っているキャラがいるのです。彼らを不幸に陥れる張本人たる伯爵を演じるジム・キャリー氏がそれ。役者という設定で、様々な変装をして彼らの前に現われてあの手この手で悪さをするんですけど、様々な変装をして、かなりのハイテンションで「マスク」を彷彿とさせる怪演を見せるジム・キャリーは、本当にお見事!!途中、メリル・ストリープとの共演の場面があるのですが、両者の演技がまさに「競演」という感じで、かなりの見ごたえでした。しかし、悪く言ってしまえば、ジム・キャリーの印象が強すぎてしまい、作品全体がかすんでしまっているのも事実。彼の才能を受け止め切れていなかったように思いました。メイキングによると、彼のアドリブがそのまま作品に使われているらしいので、その才能を見るだけでも価値がある映画といえばそうかもしれません。

割とコメディのきいた場面も多くてクスリと笑うような場面も多かったのですが、この作品はやはりファンタジーなので、子供達の活躍に期待したいのが本音。子供達にはそれぞれ、「発明」、「膨大な読書による知識」、「脅威の噛み付き力」という特殊能力が与えられているんですけど、それがそこまで生かされていなかったのが本当に残念。映画自体は十分満足できる内容なんですけど、素材がとてもよいので、もっともっとスゴイ作品になれる可能性を大量に秘めているように感じました。子供達の能力も、ジム・キャリーも、本当に素晴らしいセットと小道具も、この世界観も、ミステリー風のストーリーも全てがも物足りない。これは本当に欲張りなのかもしれないけれど、作りようによっては、傑作に化けていたのではないかと思います。そこれそティム・バートンが映画化したらどうなってたのかなぁと思ってしまいます。

ところで、この映画には本編とは別にかなりのお宝があります。オープニングとエンディングのアニメがあるんですけど、この完成度がものすごく高いのです。鳥肌ものです。「アズカバン~」のエンディングも面白かったけれど、この映画は久々に最後までじっくりと味わいたいエンドロールでした。選曲もかなり良かったし。この感じで本編も作ればよかったのになぁ。そしてお宝がもう1つ。ジム・キャリーとメリル・ストリープはもちろんですが、他のキャスティングが素晴らしい!なんとナレーターがジュード・ロウですよ!エンド・クレジットをみて「え~」と驚いて、思わず戻して聞きなおしてしまいました。さらにクレジットには名前が出ないんですけど、超大物俳優もカメオ出演しています。こういうのは純粋に嬉しいですねー。

どうやらこの映画は10巻くらい出ているシリーズのうちの2巻分しか映画化してないようなので、まだまだ原作のストックがあるみたいです。続編作られるのかな・・・。もし作られるのであれば、とんでもない傑作になって欲しいものです。

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