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2005年10月 5日 (水)

「マルセル・エメ傑作短編集」

「マルセル・エメ傑作短編集」 中公文庫

9月の新刊。フランスの作家さんの短編集です。誰?っていう人も多いでしょうが、以前に劇団四季がミュージカルをした「壁抜け男」の原作者であるといえばピンと来る人も数名いるのではないでしょうか。ちょっと奇妙な味わいの短編が7つ収められているのですが当たり外れの差が結構大きいです。割とタイプの異なる作品を集めているので、好きなタイプの作品はヒットするんですけど、そうではないタイプはかなり退屈。

気に入ったのは「こびと」と「ぶりかえし」の2編。「こびと」はある日突然サーカスの小人が成長をはじめてしまい、普通のサイズの美青年になってしまうというお話で、サーカス団に所属する彼のアイデンティティは「小人であること」であり、それを失った悲哀が描かれる物語。なかなか切ない作品でした。

もう一編の「ぶりかえし」は、「1年を24ヶ月にする」という法律が施行されて、人々の年齢が皆半分になってしまった世界の話。しかも年齢が半分になるだけではなく、その年齢に合わせて肉体も若返ってしまったからさぁ大変。はてさて、この混乱が招いた悲劇とは?という物語。テーマは「上流階級の偽善」ということで、笑える中にも考えさせるテーマのある物語。

いくつか好きな話があったから良いのだけれど、そのためだけにはちょっと価格が高いですね。こういう本(もとは福武書店)を発掘して文庫化する中公文庫の勇気ある判断は嬉しいけれど、講談社文藝文庫のように、価格が高いのはちょっと残念です。まぁ、元を取るためには仕方ないのかもしれませんが。

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コメント

はじめまして。『マルセル・エメ傑作短編集』で検索してきました。
僕もこの作家の大ファンです。面白いのとつまらないのと、結構ギャップが大きい作家ですけど、面白いときにはとてつもなく面白い!
この短編集で言うと、やっぱり『こびと』と『ぶりかえし』がお気に入りです。
もうお読みかも知れませんが、同じ著者の『マルタン君物語』(ちくま文庫)もすごく面白いのでオススメですよ。

投稿: kazuou | 2006年5月16日 (火) 19時57分

>kazuou様

コメントいただきましてどうもありがとうございます。
kazuouさんのブログものぞかせていただきました。
自分も奇妙な味わいのある短編が好きなので、
色々と興味深く拝見いたしました。

この中で好きな作品が同じというのはなかなか嬉しいコメントですね。
そうとなればオススメの「マルタン君物語」が気になります。
エメの作品はこれと「壁抜け男」(角川文庫)しか読んでいないので
機会を見つけてそちらも読んでみようかと思います。
どうもありがとうございました!

投稿: ANDRE | 2006年5月16日 (火) 22時42分

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