「葬送 第1部 上・下」 平野啓一郎
「葬送 第1部 上・下」 平野啓一郎 新潮文庫
舞台は19世紀のフランス。ドラクロワとショパン、そしてショパンの愛人ジョルジュ・サンドを中心に展開する物語です。サンドの娘の結婚がらみの問題がこの第1部のメインストーリー。養女と自分を平等に扱う母を憎む娘だとか、結婚相手が借金だらけの放蕩野郎だったとか、昼ドラさながらのドロドロ系ストーリーです。
長い!!!!!しかも第1部読み終わっても、普通に中途半端な部分なので、第2部読まないと何もコメントできません。中だるみも結構感じるストーリーなんですけど、最後のほう、しっかりと盛り上がって、読者をひきつけて、第2部へと橋渡しするのは上手いですね。
今回の平野氏の文体は、芥川賞のデビュー作に見られた読みにくさはほとんどなくなっていて、非常に読みやすいのが印象的。必要以上の漢字の使用もかなり減ってますし。擬古文もどきのような文体や、泉鏡花的世界は今回は感じられないものの、やっぱり明治文学の香り漂う作品なのが平野流なのでしょうか。「一月物語」の鏡花的世界が好きだった自分としてはちょっと物足りなさもあるものの、しっかりと作りこまれた大作なので、普通に面白いですね。まだ後半を読んでいないので何も言えないのですが、現段階では、このような大作を使って何を表現したいのかというところまで見えてこないので、それはまた後半を読んでからしっかりと感想書きますね。
この本、第1部だけで700ページ以上あって、第2部はさらに厚みが増すようなので、文庫の刊行も1部と2部の間で1ヶ月空いたことだし、他の本もたまってしまうので、ちょっと休んでから続きを読みたいと思います。
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