映画「シンデレラ」
「シンデレラ」 1950年 アメリカ
ディズニーの名作がDVD化しました。デジタルリマスターの力とはスゴイもので、半世紀以上前のものとはとうてい思えないような素晴らしい映像美にまず目を奪われます。
ディズニーのシンデレラは、皆さん御存知のあの物語であることには間違いないのですが、実際は一般にもたれている「ロマンティック・プリンセンス・ストーリー」みたいなイメージとはかなりかけ離れた作品だったりします。あの有名な物語とは別に映画の3分の1くらいを占めているサイドストーリーがあるのです。シンデレラの家で飼われている動物たちを主体にした部分なんですけど、この場面ははっきり言ってしまえば「トム&ジェリー」そのまま。古きよきアメリカのドタバタコメディの仕上がりなのです。さらに、メインのストーリーもかなりコメディタッチの演出がされている部分が多く、シンデレラをはじめとして、魔法使いや、王様などがとんでもないくらいに「天然キャラ」で、思わず突っ込みたくなるようなベタなボケを連発するのが、何気にかなり面白かったりします。
この作品でもう1つ傑出しているのは、イジワルな継母。もうとにかくヤバイくらいに怖いんです。普通の人間のはずなのに、魔女やらモンスターやらよりずっと怖い。他のキャラと比較して顔が妙にリアルな「人間の顔」のイラストになっているのも怖さを引き立てています。イジワルな義姉たちとあわせて、あんたらの家、4人しか住んでないのに、一日にどれだけの食器を使って、洗濯モノを出しているんだ!といいたくなるくらいにシンデレラに課せられる仕事が多いのは、ちょっと突っ込みたくなるところではあるものの、悪役としての完成度はピカイチではないでしょうか。
この映画の名作たるゆえんは、恐ろしいまでのバランスの良さにあるのだと思います。単なる女の子向けのお姫様物語に終わらせず、ドタバタコメディや、クスリと笑うような小さな笑いを大量に散りばめて、怖がらせるところではとことん怖がらせ、笑わせるところではとことん笑わせ、美しいところではとことん魅せてと、こだわりまくって作られたそれぞれの場面が非常に上手く配置されている作品だなぁと感じました。
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