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2005年11月

2005年11月29日 (火)

「4TEEN」 石田衣良

「4TEEN」 石田衣良 新潮文庫

「池袋ウェストゲートパーク」などで知られる石田氏が直木賞を受賞した作品が文庫に。これはずっと読みたかった本だったので、早速読んでしまいました。

月島を舞台に、中学2年生の仲良し4人組の少年達の1年間を描く作品。連作短編集の形をとっていて、4人それぞれに主役となるエピソードが用意されていて、さらに、彼らのクラスメートとの関係を描くエピソードがあったりします。4人少年のキャラクターはかなりしっかりと性格づけされていて、家が裕福な早老症の少年、家庭での父の暴力に悩む太った少年、クラス一の秀才くん、そして、極普通の少年である主人公といった感じです。14歳の1年間を描くということと、4人の10代の少年が主人公ということで、「4TEEN」というわけです。

一番最後のエピソードを読むと、「スタンド・バイ・ミー」じゃん!!とかなり突っ込みたくなるようなお話で、特にラストでみんながぶっちゃけ話を始める場面なんてのは、まんま、「スタンド・バイ・ミー」で夜に焚き火の番をしながら、主人公がリバー・フェニックスと語る名場面と同じ雰囲気。どちらも、自分の町だけが世界だった少年達が、広い世界に足を踏み入れると同時に、それまで感じることのなかった様々な現実を目の当たりするような内容ですよね。4人ってとこも一緒だし。それぞれが何かしらの問題を抱えているというところも似ています。しかし、この本でそれが感じられるのは一番最後だけで、全体的には中学生日記みたいな感じで単発の「良い話」系のエピソードが目白押し。蓋をしたくなるようなくさい台詞や展開も結構多いのだけれど、一つ一つが結構しっかりと読ませる面白さがあって、とても面白い本でした。特に、エンターテイナーを目指す放送委員の少年の話と、仲間の少年の1人が青い自転車を手に入れる話が好き。

さて、石田氏の作品は、これで2冊目ですが、今回もやはり重松の影を感じずに入られませんでした。14歳の1年間を描く作品といえば、重松清の「エイジ」がそれは素晴らしい作品で、自分は大好きな1冊。重松氏の作品は、同級生が犯罪を犯し逮捕されるという事件をメインに据えつつ、14歳の日常を描く作品で、最大の特徴は妙なリアルさだと思いました。一方で石田氏の「4TEEN」はかなりの点でファンタジーではないでしょうか。どこにでもいる中学生達の日常を描いているようでいて、決して現実的ではない展開も多く感じられる作品でした。これは、重松氏がほとんど使わないのに対して、石田氏が現実の固有名詞を多く用いるということを考えると、なかなか面白い対照性があるように感じられます。

あと、「LAST」で感じた石田氏の妙にクールな視点はやはり今回も感じられて、一つ一つのエピソードの中で事件はそれなりの解決を見せるのだけれど、他のエピソードではそれぞれが全く触れられていなくて、「で、結局その後はどうなったの?」と思わざるを得ない気持ちが残りました。4人の友情が保たれれば、全てが解決というわけにはやはりいかないのが現実であって、どんなに友人達が支えてくれても、どうしようもできない現実が絶対に訪れているであろうエピソードがいくつかあるのだけれど、そういう苦しみはあまり触れられなくて、単に「おれたちの友情は固いぜ!」で終わってしまっているような部分が感じられたのはやや物足りなかったです。

こういう友情が永遠のものではないことを大人の読者はよく知っているわけで、それがために、ラストで出てくる台詞が妙に切ない1冊でした。ちなみに映画「スタンド・バイ・ミー」は、その後の4人の説明をしっかりと説明することで、より一層その切なさを具体的に表現していたなぁなんてことを思い返してみたり。

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2005年11月28日 (月)

「つむじ風食堂の夜」 吉田篤弘

「つむじ風食堂の夜」 吉田篤弘 ちくま文庫

クラフト・エヴィング商會の本で文章を担当している吉田篤弘氏の書いた長編小説が文庫で登場しました。クラフト~の魅力は、その素晴らしい発想による数々の創造物であることは確かなのですが、その文章の上手さにもいつも感心しているだけに、吉田氏の書く小説を読むのをとても楽しみにしていました。まぁ、「THINK」とか「クラウドコレクター」とかもある意味で彼の長編小説ということになるんだろうけど。

期待通りにキラキラキラキラと輝く素晴らしい作品でした☆気が向いたときにさらっと読み返して、その世界に浸りたくなるような1冊です。ハードカバーで買っても良かったかもしれないと思わせるくらいに僕のツボを直撃です。

「月舟町」という町を舞台に、「人工降雨機」の研究をしている主人公と、町にある通称「つむじ風食堂」に集う人々との交流を描く作品。短い複数の章でできていて、最初のほうは連作短編のような感じで互いに関係の無いエピソードが紹介されていくのですが、最後に進むにつれて、それらのエピソードを全て回収して、とても上手くまとめている作品です。

やはりこの作者さんは、とてもセンスが良いですね。手品師の父とか、コーヒー屋さんとか、読書を愛する果物屋の青年とか、あまりにもステキな登場人物たちが多数登場して、ひとつひとつのエピソードもこれでもかというくらいに、ほのぼのとしてしているのが良いですね。

そして、一見するとどこにでもありそうな町のお話なのに、よくよく見てみると、やはり、どこにも存在しないような場所やできごとばかり。この近いようで遠い不思議な距離感がたまりません。

二重空間移動装置、僕は買いますよ!たとえその正体が○○○だったとしても、夢があるじゃないですかっ!

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2005年11月25日 (金)

「ヴィンランド・サガ 2巻」 幸村誠

「ヴィンランド・サガ 2巻」 幸村誠 講談社

「プラネテス」という名作を書いた漫画家さんの新作です。1巻は本当に紹介程度で終わってしまって、あまり内容に踏み込んでいなかったので、面白いかどうかの評価をつけがたかったのだけれど、今回の第2巻は間違いなく面白いですね。哲学的要素も多かった「プラネテス」とはまた違った雰囲気の作品ですが、この作者さんは、人物の心理描写の盛り上げ方、読ませ方が上手だなと思います。何気ない表情や、動作の描写に色々な感情や思いが詰め込まれているのが感じられる作品です。「少年マガジン」という週刊の少年誌に掲載されているようで、そもそもの雑誌の雰囲気にあってない気がするのと(自分は高校のときまでしか読んでないのでそれ以降の雰囲気は知らないのだけど)、週刊で少ない10数ページの中に毎回盛り上げどころを作らなければいけないペースが作品とあっていないと思っていたところ、どうやら掲載雑誌が変わるみたいですね。「アフタヌーン」ですか、そうですか。自分の本棚、「アフタヌーン」の作品多いなぁ・・・。

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2005年11月23日 (水)

「地下鉄のザジ」 レーモン・クノー

「地下鉄のザジ」 レーモン・クノー 中公文庫

フランスのユーモア(?)小説です。パリに住む叔父のもとにやってきた少女ザジ。一番楽しみにしていたのは地下鉄に乗ることだったのに、あいにくのストで乗ることができません。そんな彼女が叔父とともにパリで過ごす数日間のできごとを描く作品。叔父の職業が、表向きは夜警、実はゲイバーのストリップダンサーとか、色情魔の未亡人だとか、出てくる人たちがとにかく一癖も二癖もある作品なのですが、主人公の少女ザジも決して可愛らしい田舎の少女ではなくて、二言目には「けつ喰らえ!」と怒鳴るような、口の悪い相当お転婆な少女で、なかなか楽しめる内容になっています。一言で言ってしまえば、会話主体のパリを舞台にした超ドタバタ不条理コメディといったところでしょうか。

この小説はとにかく台詞の量が半端じゃなくて、舞台や映画なんかにするといいのではないかと思うくらい(実際映画化されてるようですね)。で、この会話の多さこそがこの小説の真髄で、人々の会話そのものがこの小説のメインなわけです。なので、とても生き生きとした会話がばかりでして、作者は言語実験と位置づけて6年間も推敲を重ねて書いたとのこと。こうなってくると、フランス語で読めないことがただただ悔やまれますよね。こういう本って翻訳してしまうと価値がほとんどなくなってしまうのではないかと思います。言ってみるなら、笙野頼子の作品を外国語に訳してもその真髄は伝わらないだろうなという感じ。でも、パリの市民の生活が生き生きと伝わってくるような場面も多くて、雰囲気を楽しめる作品でした。

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2005年11月18日 (金)

「青空感傷ツアー」 柴崎友香

「青空感傷ツアー」 柴崎友香 河出文庫

映画にもなった「きょうのできごと」の作者さんの作品です。「きょうの~」は映画も原作もとても好きな作品なので、こちらにもかなり期待していました。

会社を辞めた26歳の女性が、学生時代の男友達がかつて付き合っていた年下の女の子と再会し、ひょんなことから2人だけで旅に出るというお話。仕事をなくした超メンクイで僻み屋な主人公と、恋人に二股をかけられた誰が見ても美人&スタイルの良いワガママ娘のコンビで、トルコ~高知~石垣と旅をしていき、人生を見つめなおしていくというような内容です。

「きょうの~」は、極めて日常的な生活の1コマを取り上げて、何も起きない「静」の日常を淡々と描写する中にドラマを感じさせるような作品でしたが、こちらは、移動が多いこともあり、全体にかなり動的なイメージの作品です。それでいて、各地での主人公達の日常(というか、関西弁での会話のやりとり)を丁寧に描くので、前作の雰囲気もそのままという感じでした。主人公よりも、サブキャラである、ワガママ美人娘のキャラが際立っていて、そのキャラクターのおかげで、ぐんぐんと物語が引っ張られていきます。一緒にいたら疲れそうだけど、憎むことのできないキャラクターに仕上がっているように思いました。あちこち舞台が移っていって、「え?」と思うような唐突な流れも多少あるんですけど、映画とかにしたら面白いんじゃないかと思う作品です。

「きょうの~」でも感じましたが、この作者さんは、臨場感を楽しむことのできる作家さんだと思います。日常の中の自然で何気ない会話の積み重ねの間に、冴え渡る情景描写をキラリと織り込んで、一見単調な作品になりそうなところを、しっかりと読ませてしまいます。そういう点で、「この人の閾」の保坂和志氏がイチオシの作家にしているのもよく分かります。解説で長嶋有氏も書いていますが、このようないわゆる「何も起きない」小説っていうのは、僕はかなりありだと思っています。小説だから何か大きな事件がなければいけないというわけではないし、むしろ、たとえそのときは気づかなくても小さな日常のわずかな会話の中に人生を変えるようなきっかけがあることもしばしばですよね。

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2005年11月15日 (火)

「LAST」 石田衣良

「LAST」 石田衣良 講談社文庫

気になっていたもののずっと読んでいなくて、これが初石田作品です。最近はすっかりテレビのコメンテイターなどでマスコミの露出度が上がってる作家さんですよね。この方の仕事場を訪問するというテレビを見たことがあって、作家の部屋とは思えないくらいにスタイリッシュでオシャレな部屋だったのがとても印象に残ってます。ご本人も割りとお洒落さんですよね。

この作品は、タイトルにあるように、人生追い込まれた人々の最後のあがきを描いた短編集です。借金の返済に困って自殺or家族を売るの選択を迫られるとか、ホームレスデビューするとか、テレクラでの恐怖体験とか、AVカメラマンの最後の仕事とか割と裏の世界を中心に描かれてる作品集。

扱ってる題材だけを見ると、重松清を連想させずにはいられない短編集なのですが、重松作品とはかなりテイストが違っているように思いました。重松氏は一人称語りのときが多くて割と主観的に物語を進めることが多いのに対して、この本は客観的な描写が目立ったように思います。結果、この作品はかなり冷めたクールな描写が多いように感じました。割とラストがハッピーエンドでない話が多いので、それと併せて、とても冷めた感覚の小説だなと。そういう中にも、さりげない描写の中に力強さや温かさを感じさせるところがあるので、安心感を持って読むことができたのも事実ですが。

あと、重松作品にある、目を背けたいほどのリアルな辛さはこの作品にはなかったですね。重松氏の辛さは、主観的に描くことで、主人公の感情がよりダイレクトにこちらに伝わることで生まれているのかもしれませんね。一方で、この作品の石田氏の書きかたは、とても辛い状況を描いている一方で、そのクールな切り口のおかげでそこまで辛さを感じることがないのかもしれません。

どうやら、これは普段の石田作品とは少し毛色が違うもののようですね。一番読みたかった「4TEEN」が今月末に文庫化するので、石田作品が好きかどうかという評価は他の作品を読んでからまたじっくり考えてみたいと思います。自分は重松作品は文庫化されてるフィクションものはほとんど読んでいるくらいに重松清ファンで、徹底してリアルに描くことで、読み手の心に怖いくらいの緊張感を与える一方で、決して突き放すことはなく、温かく登場人物に接しているというのが重松氏のイメージ。今回の「LAST」だけだと、石田氏のイメージはとてもクールな作家ということになってしまうのですが、果たしてどうなんだろう。この2人、読み比べてみると面白いかもね。

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2005年11月 7日 (月)

映画「ベルリン、僕らの革命」 

「ベルリン、僕らの革命」 2004年 ドイツ=オーストリア

すっかりドイツ映画ファンになりつつある今日この頃。古いものはほとんど見ていないので、最近のドイツ映画が面白いのか、はたまた、自分がこれまで意識してなかったのかは分からないのだけれど、ドイツ映画って独特の面白さがあると思います。

「教育者」を名乗って、大富豪宅に潜入し、物などは一切盗らず、家具の配置などをメチャクチャにしては、「贅沢は終わりだ!」という書置きを残し、資本主義社会に抵抗しうようとしているヤンとピーターの2人のお話。あるとき、ヤンはピーターの恋人ユールとともに夜のドライブをしていて、自分達が「教育者」だることをばらしてしまう。ユールはとある大富豪と交通事故を起こしてしまい、多額の賠償金を払うはめになり、借金に苦しめられていて、彼らが「教育者」であることを知り、ヤンとともにその大富豪の家に潜入していく・・・。結果的に、潜入したことがばれて、大富豪を拉致することになり、そして・・・。という物語です。

これはやはりドイツならではの作品だと思います。こういう活動が盛んだったのは、世界的に見てもやはり70年代までで、21世紀の今、このようなことをしても「いまどきこんな若者がいるのか!」という印象ばかりになってしまうのではないかと思います。しかし、ベルリンは、旧東ドイツの首都。資本主義が生活に入り込んでから20年もたっていないわけです。しかも、東西での貧富の差の拡大などが問題になっているとはよくきかれる話。このような背景があるからこそ、生きてくる物語ではないかと思いました。そんな点で、主人公ヤンを演じるのが、「グッバイ・レーニン」の主人公を演じたダニエル・ブリュールであるというのは非常に面白いキャスティングだなぁと感じました。ちなみに、この手の映画がスコットランドに行くと、「トレインスポッティング」になるのかもなぁと思いました。

この映画、一見すると、社会に抵抗する若者を描く作品なのですが、物語のメインはむしろ後半。彼らが拉致した大富豪と会話を重ねていく場面なのだと思います。やはり、一方的に思い悩んで、行動をするのよりも、お互いに前を向き合って話をするということの大切さを感じさせます。自分の置かれてる立場から、不平、不満を言って、よく知らない相手のこと、社会のことをののしるのは誰にでもできますが、成長をするためには、「対話をする」ということが大切なんだなぁ。と感じました。そして映画の最後、この出来事を温かく見守るかのように流れる歌が、「ハレルヤ」を連発するなかなか良い曲でした。う~ん、青春だねぇ。ちなみにこんな映画なのに政治色は意外といって良いほどに希薄に描かれているのも面白いところ。やっぱりこれは青春映画(=政治色が強かったら自分は最後まで見てなかったかもしれないし)。

<以下ネタバレのため反転してください。>大富豪さんがかつて、政治運動をしていたということで、物語は俄然面白い展開になったと思います。さらに、露呈していく、彼の世代と若者の世代との運動に対する温度差。この温度差はまた、「自由恋愛」に対する若者達の態度にも表れているのがとても面白かったです。で、それを象徴するようにして、この作品で、とても印象に残った台詞は、彼らが別荘を離れるときにユールが言う「自滅してちゃ革命はできない」(字幕)(=「救いたかったのは世界ではなく、私たちだった」(吹替え))というもの。すべてを社会のせい、世界のせいと必死になって抵抗していた彼らですが、彼らが本当に直面している問題は、自分自身の行く末であり、恋愛問題であり、友情問題であるわけです。繰り返しますが、「青春」ですなぁ。でも、これを台詞として言ってしまうのはちょっとなぁ・・・という気も。そして、いつでも逃げられたであろうに、彼らをそっと見守ったオジサンも「青春だねぇ」と感じたのでしょうね。ちなみに、あんなことがあったのに、「3人の絆は固い」って、オイオイ本当に良いのか!と思ってしまいました。

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2005年11月 6日 (日)

映画「オペレッタ狸御殿」

「オペレッタ狸御殿」 2005年 日本

いうなれば全編が新春かくし芸大会みたいな作品でした。やたらと「舞台」を意識した演出が多いので、かくし芸っぽさがさらに強調されてるんですね。役者さんたちも「自然な演技」をすることは目指していなくて、ベタベタな台詞回しが妙に面白い作品です。ストーリーなんてあってないようなもので、一つ一つのショーをとにかく楽しみましょっという感じの映画。一回笑い始めてしまうと、真面目なシーンも全て面白く見えてきて、全編ずーっと笑えてしまうような映画です。

自分よりも美しいと父親に嫉妬され命を狙われる美青年と狸の姫君との総天然色時代活劇恋物語です。親子の争いに巻き込まれて倒れてしまった姫様。はてさて、無事「極楽蛙」を捕まえて、姫の命を救うことができるのか!?しかしそんなストーリーはもはやどうでもよくって、とにかく派手な演出、オーバーな演技、徹底してバカバカしくてシュールなミュージカル&ダンスがこの映画の全て。

それはそれは見所満載の作品でした。一番のインパクトは由紀さおりと平幹二郎のラップ(コレ見るだけでもこの映画は価値あります!)。薬師丸さん(木更津キャッツ以来、コメディが似合いますね~)と由紀さんの妙なバトル。パパイヤの相変わらず切れのあるダンス。いきなり流れるやたらとソウルフルな歌声。すり足ダッシュ。CGで出演の美空ひばりの妙な自然さ(声もコンピューターで作ってるというのだから驚きです)。オダギリさんの歌はとにかく○○で・・・大爆苦笑。何故か一人だけ中国人の姫チャン・ツイィーとたま~に登場する妙な日本語。そして、メインのラブバラードのタイトルは「恋する炭酸水」。謎のポルトガル人たちも妙に笑えるし。ラストの盛り上がりはマツケンサンバもビックリ。もはやネタなのか何なのか分からないくらいに何でもありのスーパー娯楽大作。

この映画のもとになっているというかつて日本で大量に製作された「狸御殿」シリーズは全く知らないのだけれど、こういう無駄に豪華な娯楽大作って見ていて楽しくなるし、元気がもらえますよね。何年かに1度、こういう作品がコンスタントに出るのも良いんじゃないかなぁと思います。80歳を過ぎて、このみずみずしい感性を持った娯楽大作を製作できる鈴木監督に拍手!

DVDはミュージカルシーンだけを取り出して、他の部分をカットして再生&歌詞表示できる機能がついてて、見終わった後、音楽シーンだけまた見てしまいました。笑える歌もたくさんあるし、普通に良い曲もあって、なかなか楽しめます。異色の変化球ではあれ、自分はやっぱりミュージカル映画が好きです☆DVD買おうかな・・・。

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2005年11月 5日 (土)

「塵よりよみがえり」 レイ・ブラッドベリ 

「塵よりよみがえり」 レイ・ブラッドベリ 河出文庫

ブラッドベリファンにはすっかりおなじみの、イリノイ州にある屋敷を舞台にした「一族もの」と呼ばれる一連のシリーズがあります。古くは1945年に構想を始めたというこのシリーズ、ブラッドベリは様々な短編集の中に、このお屋敷を舞台にしてそこに暮らす幽霊や魔物たちを描く短編を発表してきました。この本はその集大成で、50年の間に書き溜めた「一族もの」の作品群に書下ろしの作品を大量に付け加えて、1冊の本としてまとめたものです。

イリノイにあるとある屋敷にはミイラの老婆や魔女などが暮らしている。その屋敷には孤児だった人間の少年が一人だけ魔物たちと一緒に暮らしていて、彼が見聞きしたその屋敷に暮らす魔物たちの一族の物語を連作短編の形で描く作品です。ハロウィンの日に世界中から魔物たちが屋敷に集まるという「集会」というエピソードが中盤あたりに収録されているのですが、この作品が発表されたのが1946年でシリーズ中で一番古いもの。その後も、いくつかの作品が色々な短編集に収録されてて、自分もいくつか読んだことがあるものの、それらは完全に独立した作品でした。その独立した短編の隙間を埋めるように新しい短編を挿入し、さらに、「集会」に至るまでの物語全体の背景設定もしっかりと描くことで、全体が1つの長編になったわけです。それはもう「お見事!」としか言いようのない仕上がり具合。てうか、1946年から現在までずっと現役の作家であり続けて、50年以上の歳月をかけて一つの作品を完成させたという事実からして脱帽です。

人間の少年が魔物たちと交流してるという世界観が昨日の「GOGOモンスター」を彷彿とさせます。こちらは本当に一緒に暮らしてるんですけどね。さらに、魔物たちの雰囲気が「コープス~」とか「ナイトメア~」とかのバートン風の世界観ともかなりよくマッチしてます。映画化してくれないかな~。とても詩的で、視覚的な要素が強い作品でした。

ものすごく面白かったというわけでもないんですけど、なかなか楽しめる1冊でした。ブラッドベリはとにかく「火星年代記」が大好きでして、原書でも数回読んでるし、邦訳に至ってはかなりの回数読み返してる1冊です。内容も大好きなのですが、この本は邦訳のタイトルのセンスがなんともいえず好きなんですよ。「夜の邂逅」とか「優しく雨ぞ降りしきる」とか「百万年ピクニック」とか(まぁ、英語の原題がそうなんですけど・・・)。あ~、こんなこと書いてたらまた読みたくなってきたよ・・・。

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2005年11月 3日 (木)

「GOGOモンスター」 松本大洋 

「GOGOモンスター」 松本大洋 小学館

有名どころで言えば映画にもなった「ピンポン」を描いた作者さんが5年位前に発表した単行本書下ろしの作品。書下ろしということに加えて、400ページ以上の長編で、装丁も良いので値段が高いので(2000円以上します)、読みたいなぁと思いつつも踏みとどまっていたのですが、ついに購入してしまいました。そして、十分過ぎるほどに元がとれる内容の素晴らしさに大満足しました。

舞台はとある小学校。他の人には見えない何かが見える少年と彼のクラスに転校してきた少年との1年間の交流を描きます。少年ユキは、他の人には見えない「もうひとつの世界」を見ることができるがために、他の友人達からは馬鹿にされ、教師からは虚言癖があると思われている。彼の唯一の理解者は、用務員の男で、ユキは男と一緒に花壇の世話をしながら、別の世界のボスである「スーパースター」とそこを脅かそうとする悪の存在について話して聞かせている。一方、転校生マコトは、ユキの不思議な言動に少しずつひかれていき、心を開いていくというお話。これ以上書くと核心に迫っていくので、こんな感じのストーリーです。

どこにでもある普通の教室、学校の廊下、水道などに他の人が感じない「何か」の存在を感じる少年。少年時代にしか感じることのできない「何か」。感受性が強すぎるあまりに、自分のいる世界とは別の世界を作り上げてしまい、その中で必死に本当の自分を探そうとする一人の少年の物語なのだと思います。自分の心の中でつくりあげた虚構の世界と向き合う少年が、そこから自立して、成長していく過程を描いている作品です。転校生マコトとの交流で、外の世界へと飛び出すきっかけをつかみ、そしてまた、主人公は自分が確実にその世界との離別のときをむかえようとしていることを感じながらも、必死になってその世界の存在を確かめようとするんですよね。うんうん、切ないねぇ。そして、ラストもいいねぇ。自分を受け入れてくれる存在がいるってことは素晴らしいことです。

この作品のスゴイところは、主人公が感じる「もうひとつの世界」を直接描かず(描いている部分も一部ありますが)、普通の風景を描写している中で読者にその存在を強く感じさせるという点です。台詞もかなり少なく、一見すると単調な日常描写でしかないような絵の中には確かに「もうひとつの世界」が存在するんです。自分は「別の世界」があったなんて思ったことはないですけど、小学校のときに見ていた景色は明らかに今見ているのとは別の世界だったような気がします。そんなことをふと思い出させて気づかせてくれる1冊です。こういう子供の世界を描く作品って実際の子供が読んだら何が良いのかさっぱり分からないんでしょうね。かつて子供であって、明らかに今とは違う世界に暮らしていた大人のための物語。

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2005年11月 2日 (水)

このブログに関して(09年版)

こんにちは。

「Andre's Review」管理人のANDREです。

数年前から見聞きしたものの記録をしようということで、日記に簡単な感想を書いていたのですが、ブログの形にすれば、それをデータベース化して管理できるのはないかと思いブログを始めました。

ブログ開設は2005年11月ですが、過去の日記から抜粋して、それ以前に書いたものも日付を遡ってアップしています。もともと日記に書いていたものだったり、古い記事もあるので、文体などに統一性がなかったりしますが、その点はご了承ください。また、誤字脱字、ミスタイプも極めて多数存在しますが、その辺りも寛容に対処していただけると幸いです。

自分自身、映画を見たり本を読んだりした後は、ネットで色々な人の感想を読むのを楽しんでいるので、このレビューを多くの人に読んでいただければと思います。コメント等がつきますと俄然やる気が上がりますので、TBやコメントは記事の新旧にかかわらず大歓迎です。

また、極めて勝手な視点からの感想ばかりですので、その点もご理解いただきたいと思います。

過去記事はレビュー作品のINDEXへのリンクをサイドバーに設けていますので、記事検索などにご活用ください。

当ブログは「基本」リンクフリーですが、どこかで簡単にコメントでもいれてもらえると嬉しいです。また、相互リンクをご希望の場合も同様に軽くコメントいただければ対応いたします。

その他、管理人へご意見等ありましたら、andresreview☆gmail.com(☆→@)まで連絡ください。

それではよろしくお願いします。

* * *

<2009年現在の記事のスタイル>

数年ブログでレビューしてるうちになんとなくスタイルが固まってきたので一応簡単に説明。

■タイトル

書籍と映画に関しては以下のようにタイトルをつけています。

書籍: 「書籍タイトル」作者
映画: 映画「映画タイトル」

■記事

大体以下のような構成になってます。

☆作品情報:最初に以下のような簡単な作品情報を載せてます。

 書籍: タイトル、出版社、出版年月 翻訳本の場合は原著の情報も。

 映画: 原題 製作年 製作国 日本公開年 鑑賞形態 

☆作品を見たきっかけ

 レビューの冒頭には作品を見たり読んだりしたきっかけを簡単に書いてます。

☆あらすじ紹介

 あらすじ紹介は全て僕のオリジナル文章です。割と力入れて要約してます。
 大体導入部分だけを簡単に書いて、皆さんの興味をひけるように頑張ってます。
 08年5月より、あらすじ部分を青文字で表示しています。

☆一言感想

 あらすじに続いて書いてるのは、全体を通しての第一印象です。

--- トップページではここまでが表示されて以下は「続きを読む」で表示 ---

☆詳細なレビュー・感想など

 基本、ネタバレしません。
 どこまでネタバレせずに感想を書けるかというのに勝手に挑戦中です。
 たまに失敗してたらすいません。
 
 ネタバレするときには「反転してください」のメッセージとともに
 反転して書いているので、その部分を読むときは反転させてください。

 ここまで読まれた方は既にお気づきかと思いますが、
 基本的に話の長い人間なので記事も長文になりがちです。
 全ての感想はあくまで僕個人の勝手な見解なので
 適当に受け流してもらえると嬉しいです。

☆参考過去レビュー

 08年5月下旬より記事の最後に、
 関連作品などのレビューへのリンクを参考として載せるようにしました。
 記事の数が増えてきたので、せっかくなので、
 過去記事も読んでいただければ嬉しいです。

☆トラックバック&コメント

 コメントやTBがつくと結構嬉しいです。

 但し、記事内容からあまりに逸脱する場合や
 不適切であると判断した場合、場の空気を乱していると判断された場合など、
 こちらで勝手に削除することがありますのでご了承ください。

* * *

■HNに関しまして

ブログのタイトル:Andre

HN:ANDRE

現在、上のような表記が標準となっています。

ブログ開始当初、色々と定まっていなかったこともあり、大文字小文字が統一されていないため、混乱される方がいらっしゃるかもしれませんが、管理人本人は特に気にしませんので、大文字小文字、適当にお使いください。

* * *

2008年11月に日刊ココログ・ガイド様より「おすすめブログ」としてご紹介いただきました。(コチラ

もったいなすぎるほどの紹介文をいただきまして、誠に感謝しております。どうもありがとうございました。

* * *

というわけで細々とやっていきますのでよろしくお願いします。
 
 

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