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2005年12月 5日 (月)

「愛別外猫雑記」 笙野頼子

「愛別外猫雑記」 笙野頼子 河出文庫

芥川賞受賞作の「タイムスリップコンビナート」ですっかり心を奪われて、「母の発達」で完全にはまってしまった笙野さんの作品。今月の新刊です。他の笙野作品と比べると、かなり平易な日本語で書かれているので、非常に読みやすい本ではあるものの、彼女の文章のセンスはやはり天下一品だと感じざるを得ないテンポの良さ。

猫好きというわけでもなかったのに、たまたま「親友」になってしまった近所の野良猫、捨て猫たちを世話していた作者さんが、あまりにもひどい仕打ちに会い、一大決心をして、その野良猫たちを世話するために30年のローンを組んで都内から千葉県のS倉市(恐らく我が市のすぐ近くのあそこ)へと引越しを決行することになるあらましを書き綴った私小説。どこまでがフィションなのかは分かりませんが、写真もありますし、恐らく、実話に基づいている作品。もともと自分のところで飼っていた猫と新しい猫たちと両方に気をつかいつつ、近所の猫嫌いの方との激しい論争バトルや、猫たちに対する各団体の態度への憤りなどをこれでもかというくらいに、激しく本音をぶつけて罵りまくような1冊で、なかなかの読み応えです。都会に暮らす野良猫たちが置かれている状況も垣間見れて、なかなか興味深い1冊でもあります。

猫をめぐる様々な人々、団体とのバトルを通して、作者の激しい憤りが手に取るように伝わってきて、さらに、その表現の仕方がとても面白い一冊です。もともと日本語の使い方がとても上手で洗練されている作家さんなのですが、そういう人が窮地に立たされると、ここまでおもしろおかしく罵倒することができるかと思わせるような1冊。特に、強敵である猫嫌いの洋食屋の人の書かれようが、もうあまりにも酷くて、ここまで酷いと笑うしかないような書かれっぷりなのがとても面白かったです。

10ページに1枚くらい猫たちの写真が収録されていて、猫ファンならば必読!というような装丁が内容の濃さと対照的でこれもなかなか良いなぁ~と思ってしまいました。S倉市での猫をめぐるバトルを描いた続編なんかがあれば是非読んでみたい!

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