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2005年12月20日 (火)

映画「歓びを歌にのせて」 

「歓びを歌にのせて」 2004年 スウェーデン

知らない人も多いかと思いますが、北欧はかなり合唱が盛んな地域です。そんな北欧から届いた、合唱映画。スウェーデンの映画なんて、「ロッタちゃん」シリーズとか「やかまし村」とか、「ピッピ」なんかの児童文学関係の映画のイメージしかありません。あと見たことあるのだと「幸せになるためのイタリア語講座」がデンマークとスウェーデンの共作だったくらいでしょうか。とにかくほとんど馴染みの無い国、スウェーデンの映画。出演してる人々は知らない人ばっかりなのだけれど、パンフを見ると、スウェーデンのTVで活躍してる人々のようなので、邦画だったら、こういうキャスティングなのかなぁなんて頭の中で思い浮かべるのが楽しかったです。

世界的な大指揮者が体調を崩し、仕事を全てキャンセルして、7歳まで過ごした故郷の村に戻ってくるところから物語りはスタート。ふとしたことから村の聖歌隊の指導をすることになるが、閉鎖的な村ということもあり、周囲の反応はあまり良いものではなかった。聖歌隊のメンバーはそれぞれに様々な問題をかかえていたが、彼のユニークな指導により、徐々に心を開き、自己の内面とも向き合っていくという物語。聖歌隊のメンバーとその周囲の人々との間に溝ができていくなかで、彼らはコンサートを開き、コンクールを目指します(←お決まりの展開ですな)。合唱シーンの練習シーンがこの手の映画としてはかなり好感のもてる描き方だったので、かつて合唱部だった者としては好印象。

合唱映画といえば、「コーラス」が記憶に新しいところ。しかし、この映画は、「コーラス」とはかなりタイプが違うように思える作品でした。「コーラス」は、どちらかというと、「いまを生きる」合唱版みたいな雰囲気がありましたが、こちらはもっともっと大人の物語で、どちらかというと、「ショコラ」合唱版みたいな作品でした。主人公は、聖歌隊のメンバーに、自分自身の声を知ることが大切だと教え、歌の練習よりも、自分自身の声を発見するための発声トレーニングを繰り返します。やがて、「自分の声を発見する」という行為が自己の内面と向き合うことへとつながっていき、聖歌隊のメンバーたちはが心の奥に秘めていた思いを表に出していくというのがこの映画のポイント。閉鎖的な村の環境でそんな彼らが好ましく受け入れられず、指揮者に集まる人望に嫉妬してか、牧師が「罪」の名のもとに、主人公を責立てていく様子も、「ショコラ」を彷彿とさせました。

で、面白かったかと聞かれますとですね、最初の1時間までは、相当面白かったのですが、後半1時間でなんとも言えないよな~となってしまいました。前半部分は、純朴な村の聖歌隊メンバーと、世界的指揮者が目指す練習の温度差をコメディ調に描いていて、笑ってしまう場面もかなり多く、ほのぼのとした雰囲気も心地よかったのです。そして、メンバーたちが心を開いていく中で中盤の最大の山場となる演奏会が開催されるのですが、この場面が映画全体を通してみても、最大の盛り上がりだったように感じました。この演奏会までで映画が終わっていれば、間違いなく今年見た映画の中でも、かなりの上位にくいこむ素晴らしさだったのですが、その後の1時間がね・・・。ちょっとグダグダになってしまった感じ。舞台が冬から夏に移って、北欧の短い夏の美しさを感じるような映像になった一方で、物語からは前半部分の明るさがなくなってしまい、さらにラストに向かって突然の急展開。えーーーーーーーーーー!?と思ってるうちに映画は終了しました。

<以下、かなりのネタバレなので反転させて下さい>

心臓発作が再発して倒れるのはまだ許すにしても、体がふらついた拍子にトイレで頭打って倒れて、誰にも気づかれずにそのままってのはちょっと強引なのではないかと。しかし、最後の歌の部分、どのような曲で閉めるのかと思っていたら、素晴らしい倍音の嵐でした。あの大合唱を始めるきかっけになるのが、あの純真無垢な青年の唸りだというのが、とても印象的でした。彼の役割は「天使」だったのかと気づかされて、はっとなった場面です。冒頭で主人公に聖書を差し出そうとした場面も、ここで、深い意味を持ったなぁと。そう思うと、無駄な場面や人物のほとんど無い、とてもよくできた作品なのかもしれません。

というわけで、最後、一部の展開がかなり微妙だったものの、途中までは素晴らしいし、最後の歌の場面は、人間の声の持つ力強さをこれでもかというくらいに伝える、鳥肌モノの場面(「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラストと同じくらいの衝撃)で、全体的には好印象な作品。中盤の盛り上がりで出てくる歌がとにかく良いのさ。エンドクレジットもこの歌だったし。アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされたそうですが、どうですかねぇ~。

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コメント

はじめまして。コメント&TB失礼します。
中盤の村の演奏会が一番の盛り上がりだったと、僕も感じました。
あのシーンでは涙がこぼし、サントラも欲しいと思ったのですが…
後半の展開は読めてしまいましたし、
前半部をもうちょい膨らませて云々、
しかしトーレの唸りが聖書と繋がるなんて、
そう捉えると「アリかなぁ」と思えてきました。

投稿: 現象 | 2005年12月24日 (土) 02時33分

はじめまして。
TB&コメントどうもありがとうございます☆

村の演奏会の場面、自分も涙腺がかなりゆるんでしまい、サントラ買うぞーと思いました。やはりあの場面が最大の盛り上がりでしたね。あのようなラストにするならば、「ブラス!」みたいな持っていきかたをすれば、良かったのかもしれないなぁなんて思いました。

投稿: ANDRE | 2005年12月24日 (土) 23時39分

ガブリエラの歌声がいまだ耳に残っています。素敵な作品でしたね。サントラ欲しい!ベストテン、アップしたので見に来てね。

投稿: あん | 2005年12月25日 (日) 18時00分

コメントありがとうございます。

ガブリエラの歌は本当に素晴らしかったですね。
あの1曲だけシングルでCD化とかしてくれれば即買いなんですけどね。

投稿: ANDRE | 2005年12月25日 (日) 22時58分

先ほどは当方においでいただいてありがとうございました!
合唱をやられていらっしゃるのでしたか!
実際に練習であのようなワークショップはするのでしょうか?
人の声って本当にパワーを感じます。映画館で見るべきでしょうね。
オスカーは確か違う作品だったと思いますよ。(忘れました、ごめんなさい)
また遊びに来ます♪

投稿: cahrlotte | 2005年12月25日 (日) 23時48分

>cahrlotteさん

この作品、今年のアカデミー賞にノミネートされたんですね。そういえば次回分はまだ未発表でした・・・。受賞したのはスペインの「海を飛ぶ夢」だったような気がします。当時はこの映画のことなど全然知らなかったのでノーマークでした。そうなると、今年の外国語映画賞は、「コーラス」と「ヒトラー」も見たので、割と見たことになりますね。(後半はちょっと独り言ですね・・・。)

合唱でも、発声方法のレクチャーなんかを受けると、あのような体を使った練習はいくつかすることはありますが、普段の練習ではほとんどしないですね。いわゆる「発声練習」ばかりです。あの手の練習はどちらかというと演劇の印象が強いので、とても興味深く見ました。自分の声を知ることは歌をする際の第一歩だとは思うのですが、あまりそればかりやってしまうと、合唱の場合は、今度は合わせるのが難しくなるのではとも思います。

そちらのブログで書かれていましたが、ミュージカル映画は、歌の場面はスタジオ録音したものをかぶせた口パクがほとんどですよね。楽器もほとんどそうではないのでしょうか。演奏の吹替えは、気にしてしまうと作品が楽しめなくなってしまうので、気にしないことにしています。自分はピアノも多少弾くので、「指と音が合ってない・・・」と思うことがあるのも確かですが・・・。

投稿: ANDRE | 2005年12月26日 (月) 23時32分

ANDREさん。
TB&コメントありがとうございました。
中盤の曲は魅せ場のひとつでした…が、ラストに流れる
レナの歌声。。。
これがまた何とも形容し難い至極の音(ね)でしたよね♪
最後の声だけの大合唱(?)。ホント鳥肌でした!

では、またお邪魔させてもらいます。

投稿: purple in sato | 2006年1月16日 (月) 00時41分

>purple in satoさん

コメントありがとうございます。
観終わって1ヶ月、中盤の演奏会よりも
最後の大合唱のほうが余韻として強く残っているのは
我ながらちょっと意外でした。
あの場面、今でも鮮明に思い出せますからね。
馴染みの無い外国語で歌われる歌よりも、
純粋に人間の声だけで作られた場面だったからかもしれません。
とても力強い作品でしたよね。

投稿: ANDRE | 2006年1月17日 (火) 11時18分

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