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2006年1月12日 (木)

「愛の続き」 イアン・マキューアン

「愛の続き」 イアン・マキューアン 新潮文庫

この作者さん、「アムステルダム」につづいて、なかなか面白い本でした。もう1つ文庫になってる作品を買っているのでそれを読むのが楽しみになりました。

サイエンスライターをしている主人公はある日、恋人とも一緒に出かけた折に、気球の事故に遭遇する。この事故で、気球にのった少年を救おうと、主人公を含めた人々が集まったものの、ヤジウマ集団にはチームワークがあるはずもなく、結果、気球に乗った少年は助かったものの、救助にあたった1人が命を落としてしまう。その晩、主人公のもとに1本の電話がかかってくるところから物語は動き出します。電話の主は、事故の際に一緒に救助をした見知らぬ男、彼は、突然「あなたは僕を愛している」と電話で告げ、それ以降、主人公をしつこくストーカーしはじめて・・・、という物語。信仰の深い男が神の意志によって2人が引き合わされたのだと、言って主人公に執拗に迫る恐怖と緊張の中、このできごとを笑い話としてしま受け取ってくれない恋人を疑ってしまったり、自分のアイデンティティに不安を感じたりと精神的にも問い詰められていく様子が描かれます。

もしやこれは映画「シークレット・ウィンドウ」(キング「秘密の庭、秘密の窓」)と同じ展開では・・・などという心配をしながら読み進めたのだけれど、それは杞憂に終わり、最後までじっくりと読み応えのある作品でした。「アムステルダム」のほうが、文学的に深い気がしますが、物語の面白さはこちらのほうが上ではないでしょうか。映画化されて先月くらいまでやってたんですよねー。見に行けばよかったよ・・・。映画にしてしまうと、単にサスペンス映画みたいになってしまう気もするのだけれど、この作品は、追い詰められていく主人公が次第に自らの内面に向かい合うようになるところに面白さがあるわけで、危機に直面した主人公が、最終的に何を見出すのかというのを読者であるこちら側が一緒に追体験できる非常によくできた小説でした。

それにしてもマキューアンは本当に書くのが上手いですね。途中でストーカー男や恋人の手紙を挿入したりする上手さや、冒頭からいきなりの気球事故(恐らく作中で最も「動」の部分)という飛ばし具合に加えて全く無駄の無い展開が気持ちよいです。正直、あまり期待しないで読み始めたものの、非常に面白い1冊でした。またしてもやるな新潮クレスト!です。それにしても、実際、こんな人いたら怖いよなぁ。

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