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2006年1月10日 (火)

映画「恋は邪魔者」

「恋は邪魔者」 2003年 アメリカ

ユアン・マクレガーとレニー・ゼルウィガー主演のラブコメ映画です。冒頭でわざわざ「舞台は現在」と言ってから1960年代であることを示すように、この映画は、演出や音楽など、全編にわたって60年代を意識していて、21世紀に作られた「60年代型ラブコメ」といった様相。

舞台は男尊女卑が当たり前だった1960年代。女性も男性同様に愛の無いSEXを楽しむようになれば、社会で男女同権を勝ち取れるという内容の本(要は、成功のためには恋は邪魔者ということ)を書いた女性バーバラは、本の売り上げを延ばすために男性読者を獲得しようと、人気男性誌の売れっ子ライターであるキャッチャーと会おうとする。しかし、プレイボーイのキャッチャーは田舎娘の書いた本には興味がなく、バーバラとの約束をデートのためにドタキャン。その直後、バーバラの書いた本がテレビをきっかけに国際的な大ベストセラーになり、彼女は一躍時の人に。そんな折、バーバラがテレビのインタビューで「女性に嫌われる男性とは?」と問われて、キャッチャーの名を実名で答えてしまい、これを見たキャッチャーが、たとえバーバラであろうと、女の本音は恋して結婚することこそが幸せであることには間違いがないはずだと憤り、彼女に本音を言わせ、暴露記事を書いてやろうと、プレイボーイである威信をかけて立ち上がるが・・・。てな物語。この2人と、バーバラの担当編集者&キャッチャーの上司の2組の恋愛模様が描かれます。

オープニングのアニメも昔の映画っぽいし(これは「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」なんかと同じ)、いきなり映るマンハッタンの空撮映像も昔の映画っぽいし、いかにも「絵」な窓の外のビル群や、いかにも合成な車の中のシーンでの窓の景色、あまりにもカラフルで妙にポップな不思議なファッション、大げさな演技、面白い画面割などなど、60年代くらいの映画によく見られるような演出スタイルをふんだんに使っているのが逆に新鮮で、オシャレでポップな感じの仕上がりが心地よい作品です。あまりにも作り物っぽい世界がラブコメというファンタジー世界とよくマッチしてました。それでいて、やはり現代の映画で、話の展開が非常に早くてポンポン進んでいくし、現代的な台詞回しもチラホラ。ストーリーも、単純なラブコメで終わるかと思いきや、最後近くで、二転三転の繰り返しが入り、なかなか面白い。しかし、それなのに、何かが物足りない。そんな映画でした。

この映画、ミュージカルにすればきっと相当面白かったのではないかと思うのです。60年代ってのはミュージカル映画全盛期ですし。「ムーラン・ルージュ」のユアン・マクレガーに、「シカゴ」のレニー・ゼルウィガーという主役のキャスティングもミュージカルでいけると思うし。そもそもの、オシャレでポップなレトロな世界観や軽いストーリーがとてもミュージカル向き。実際、エンドロールで、主演の2人が歌い踊る映像があるのですが、本人歌唱の歌は余裕で合格点だし、踊りも楽しいし、この映画の世界観とよくあっているし、この最後の映像がこの映画で一番楽しめる部分でした。本編でも、こういうシーンがあれば良いのになぁなんて思ってしまいました。

ちなみにこの作品には、僕の大好きな海外ドラマ「フレイジャー」で、一番ナイスなキャラであると思われるナイルズという神経質な弟役を演じているデヴィッド・ハイド・ピアースが、ユアン・マクレガーの上司役で出演しています。彼のこの中での役どころが完全に「フレイジャー」のナイルズと被るキャラクターで、彼がちょっと喋るだけで、もう面白いの何の、とても楽しめました。この映画、サイドストーリーである、彼と編集者との恋愛模様にも割りと時間をさいていて、メインのストーリーが多少ぼやけてしまっていた感は否めないのだけれど、大好きなナイルズ君が大奮闘するのを見れて嬉しかったから全然OKです。

ユアン・マクレガーって出演する作品ごとでガラリと雰囲気が変わる気がします。きっと良い役者さんなのでしょう。レニー・ゼルウィガーはすっかりブリジット・ジョーンズですが、この映画でもキュートに頑張ってました。

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